King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
ヒカリはタイヤの後をたどって森を散策している。途中ハートレスが現れたが数が少なかったので一人でも大丈夫だった。
「やっぱ、あのメイドがここのボスなんだよ!」
そんなことを考えているうちにタイヤの後が消えていたが、その後を作っていたものがそこにあった。
小さな荷車。ヒカリが引くには車高があまりにも低い。
「お城には続いてなかったのか」
少しがっかりするヒカリ。しかもヒカリの目の前は行き止まりだった。
「?」
引き返そうかと思ったとき、人の声が聞こえた。
良く見ると木々の間から、ヒカリがやっと入れそうなくらいの小さな穴があった。
「洞窟……?」
穴をのぞいてみるとまだ奥がある、どうやら何かを採掘しているようだ。
「もしかして鍵穴!」
ヒカリは洞窟に入ろうとしたが、ちょうどそのとき中から人が現れた。
2、4、5……7人。
でも、人にしてはやけに小さい?
とりあえずヒカリはロックセプターをどこからともなく取り出して、錠の鍵穴部分を七人の小人達に見せた。
「あっ、ええと……こっ、この洞窟の中にこんな形の穴とかありますか~?」
なんだか七人がいぶかしげにヒカリを見ている。
ヒカリよりも小さいくせにチョット恐い。
「私、この穴を探して旅をしていまして」
しばらくして代表でメガネをかけている賢そうな小人がヒカリに言った。
「いんや、この中では見た事がないね」
「そう、ですか」
(やっぱ鍵穴はお城かな?)
「あ、じゃあお城の場所知っていますか?」
「まぁな、俺達はこの森のことなら知り尽くしているからな」
今度は、なんだか怒っている顔の小人が言った。
「よかった~そこまで案内してもらえませんか? 私、迷っちゃって」
またひそひそと七人で言い合う。
「いいけど今日はもう遅いから。僕たちの家に泊まりなよ」
代表で、もじもじしている小人が言った。
「あ、ありがとうございます!」
よかった。とりあえずミッキーのところに行けそうだ。
「さて、今日も大収穫だ」
賢そうな小人『先生』が満足げに荷車を見る。
荷車にいっぱい洞窟で採った光る石を乗せて、小人達はタイヤの後をなぞるように家路へ向かう。
「大収穫!なんていい響きなんだ~」
ニコニコ顔で幸せそうな『ごきげん』の横で、さっきからヒカリの行動に憤慨する小人が一人。
「ワシは人も、女も嫌いだっ!」
なんてことをぶつぶつ言っている。
彼の名前はその名のとおり『おこりんぼ』だそうだ。
「人を招き入れるなんて何年ぶりだ? はくしょん!」
『くしゃみ』と呼ばれている小人がさっきからくしゃみをしながら鼻歌交じりに歌っている(なんて器用だ)
その側で荷車を引いている小人は目が半開きでとても眠たそうだ。
「え~と。眠たそうだね?」
ヒカリが半開きの小人に聞いた。
「そ、ソイツの名前はねぼすけ、いつもこうだから気にしないで」
大きな目をヒカリに向けてはそらす、を繰り返して『てれすけ』が言った。
最後に……七人の中で耳が大きい小人が荷車の後ろを押しているのだが、つまずいてはヒカリにぶつかっていた。
「さっきから、大丈夫?」
ヒカリの言葉に気にせずさっきの行動を繰り返す小人。七人の中で一番のどじっ子『おとぼけ』は言葉がしゃべれないらしい。
『先生』『ごきげん』『おこりんぼ』『くしゃみ』『ねぼすけ』『てれすけ』『おとぼけ』
なんだかそれぞれ個性がありすぎて面白い。
「ところでお嬢さんは一人で旅をしているのかね?」
先生がヒカリに聞いた。
「いいえ。その、お城に相棒が居まして。よくわからないけど私、ここまで飛ばされて着ちゃったんです」
「飛ばされたって誰に?」
「それは――」
「どわぁっ!」
イキナリ荷車の先頭に居たおこりんぼが声を上げた。
煙とともに黒い影が実態を表し、先頭のおこりんぼを襲う!
それよりも早く行動するヒカリがロックセプターを出現させ、黒い影を吹き飛ばす!
「ここは私にまかせて、早く走って!」
七人がうなずく。
「消えて無くなれ、クリアー!」
後ろから追いかけてくるハートレスをヒカリは覚えたての魔法で消していくと。その後ハートレスから小人達をかばいながら家路まで走った。
「こいつらに飛ばされて、ここまで来たんです」
家のドアを閉めて七人に振り返るヒカリ。
小人たちはヒカリをまじまじと眺めていた。
「おまえさん一人であんなのと? すごいじゃないか!」
先生が始めに言った。それに続いて小人達が口々にヒカリを褒め称える。
「やっ、やるじゃないか……」
彼の意外な発言に全員おこりんぼを見る。
「わしは……。ほ、褒めているんじゃないぞっ!」
否定するがもう遅い。ヒカリはにっこりと微笑んで言った。
「ありがとう、おこりんぼ」
「だから! わしはまったくこれっぽっちも褒めていない――」
「あ~~!」
「どうした? ねぼすけ」
「だれか僕のパンをかじった~」
「あっワシのスープも減っている!」
「もしかして……」
ヒカリがあたりを見渡す。
「上かな?」
ヒカリが二階に登る、小人達もそれに続いた。
「あ……」
「どうしたんだよヒカリ……ってこれはワシのベッド――」
「しーっ! 起きちゃうよ!」
「いったい何したの?」
後から来た後ろの小人達をヒカリが征する。
「みんな静かにね、お姫様がお疲れでご就寝なされておりますから」
「お姫様⁉」
「おこりんぼ! 声が大きい!」
注意するヒカリの声の方が大きかったのだが、ヒカリが怖いから何もいえない。
静かに七人の小人が白雪姫を眺める。
「それにしても、なんて美しいんだ」
「ヒカリとは大違い――」
「なんですって~!」
「しぃー!」
「むぐっ……」
一斉にヒカリの口をふさぐ七人。
「ん……っ」
周りの喧騒に気が付いて、白雪姫が目を覚ました。彼女はぼんやりとあたりを見渡し、大勢が自分をとり囲んでいることにやっと気がついた。
「あっごめんなさい。つい眠ってしまいました」
「ついってなんだ! ここはワシらの家だぞ。勝手に上がりこんで」
「私が悪いの! 危なかったから、ここに勝手にかくまって。白雪姫は悪くない!」
おこりんぼがこの上なく怒るがヒカリがそれを制した。
「本当にごめんなさい。お母――、お妃様が私を殺そうとしていて。私、お城に帰れなくって」
白雪姫の言葉に小人達が驚く。
「なんと! お妃様がなぜ?」
先生が白雪姫に聞いた。
「それは、分からないわ」
少し厳しい母親だとは思っていたが、本当にいままで一緒に居た自分を殺そうとしていたなんて白雪姫は夢にも思ってもいなかった。
「でも、きっと私に原因があるのだとは思っているの……」
皆が白雪姫の表情を見て静まり返る。
「ねえ、白雪姫を許してあげて」
ヒカリが小人と白雪姫の間に割り込んで言った。
「ヒカリがそういうなら」
「そうだな、嘘をついてるって訳でもないし」
「……かわいそうだし」
「おこりんぼは?」
ヒカリが口を閉ざしているおこりんぼに聞いた。
「ワシ一人が反対でもしょうがないだろ」
「ありがとう小人さん。ヒカリも」
この上ない笑顔で白雪姫が言った。
「この笑顔。へっくしっ! 癒されるねぇ」
「やっぱり女の子ってかわいいね」
「とにかく、周りが華やぐことこのうえない!」
「へん! 賛成だとは言わんぞ」
おとぼけも身振り手振りで嬉しさを表現する。
「ねぇ、私は?」
ヒカリが自分を指差して笑顔で小人達に聞いた
「ヒカリは……。えーと、う~ん……」
ねぼすけがそのあとの言葉を言わず、眠りこけた。隣にいたおとぼけは――。
「……」
動きが止まった。
「おとぼけも、そこで詰まらないで……」
あいまいな小人達に、ヒカリは微妙な動きのおとぼけだけつっこむことしかできなかった。
☆
空には無数の星が輝いている。こんな深い森だからこそ星の輝きが身近に思う。
「はっくしょん!」
ヒカリがくしゃみに負けないぐらい大きなくしゃみをした。
「あぁ、さむ……」
ヒカリは七つのベッドの下で一人だけ毛布に包まって寝ていた。
白雪姫は小人のベッドを三つ占領していて、残りの四つのベッドは小人たちがちょうど二人で一つずつ使って寝ていた。
くしゃみのベッドだけはだれも一緒には寝たくないらしい。
一人だけ床のせいか寝つきが悪いヒカリは、しばらくたってから窓辺まで行き頬杖をついて星を眺めていた。
(なんか待遇が違う)
白雪姫を眺めぼやくヒカリ。
しかし、こんなことになったのはヒカリのせいでもある。
ハートレスが現れないか心配で最後まで起きていたヒカリが一人だけ余ってしまったのだから。しょうがないといえば、しょうがない。
「ミッキー心配だなぁ」
輝く夜空から目の前の真っ暗な森に目を向ける。
木々が生い茂りこの場所ではお城の屋根さえ見えない。
あの扉がただの空間転移ならミッキーはまだ私を探しているのだろうか?
それとも――。
「?」
影が動いた。
目を凝らすと、暗闇にぼんやりと移る人の影。
「!」
あれは、間違いなく。
メイド姿のハートレスだ!
ここまで読んでくれた貴方。なんで?
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kh好きなんで、続けてください
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次回が楽しみだからにきまってます
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読み上げ機能使ってるので余裕です
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長文ドンと来い
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たまたまです。失礼しました
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どハマりしました。特に王様!!
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ヒカリちゃん萌え(これ本人、引くよ)
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ソラは、まだですか?