King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
カイリを小人たちに任せ、ヒカリとミッキーは鏡のあるという城にたどり着いた。
やっぱりグミシップって速くていいね。移動が早い。
「ミッキーは私が居なくなってから何をしていたの?」
「え、ええと……」
言葉に詰まるミッキー。
「はは~ん。何かあったんだ」
一人で納得するヒカリ。
「そ、そんなことないよ!」
「とぼけなくてもいいんだよ~」
「だっ、だから僕は……!」
「僕は?」
「も、もういい! ヒカリはあっちを探してっ!」
ミッキーは逃げるように城の階段を駆け上がっていった。
「あっ、ミッキー!」
引き止めようとしたがもう見えなくなってしまった。
仕方なくヒカリはミッキーとは別の場所を探すことにした。
「なんなのよ?もしかして私、ミッキーに悪いこと言ったのかな」
私が飛ばされた後、甲冑ハートレスにとり囲まれた彼はその後どうやってこれを切り抜けたのか、少なからず興味があった。彼のことだから本気を出せばきっと大事ないとは思っていたが。
(なんか怪しいな……)
ミッキーのこともそうなのだが、さっきからこのフロアーでハートレスに出くわしていない。相棒が居なくなったせいで無意識に警戒しているからだろうか?
そう考えているうちに一つの扉を見つけた。
やっぱりおかしい。けど――。
ここの扉の中には何かがある気がする――。
(バタン!)
勢いよくドアが閉まる。
思わず入っちゃったよ!
もしかして、これは罠?
あたりを見てみる、分厚いカーテンが窓を遮る真っ暗な部屋。
「!」
目の前に――自分がもう一人。
「……かがみ?」
真っ暗な部屋に自分の姿が浮かび上がっている。
「やっぱ鏡だ、だって同じ……!」
鏡の中の彼女には、左手にあるはずのロックセプターが無い。
「うそ、どうして」
『私は魔法の鏡、世界の全てを知っている』
鏡の中のヒカリが話し出した。
「!」
やはりこれがミッキーの言っていた――。
『魔法の鏡』
自分そっくりの自分が独りでに話しだすなんて。
正直、こわい。
その恐ろしいヒカリにむかってヒカリはおそるおそる質問した。
「せ、世界で一番美しいのは……?」
質問が安易だった。自分でもそう思う。
ここでその答えが自分だと言ってきたら、この鏡はガセだと言うことにしよう。
なんて考えていたが――。
『そりゃぁなんて言ったって白雪姫でしょ☆』
満面の笑みで目の前の彼女はセプターのない左手をグッと胸に引き寄せて叫んだ。
(なるほど、聞き手も逆なのか)
ヒカリは変なところで納得する。それどころか鏡のくせに目の前のヒカリは自分と同じ動作をしてくれない。
「……これ、本物だ」
『何言ってるの、鏡は本物なんて映さないわよ!』
目の前の自分は変なところで現実的だった。そして、なんとなくネガティブな今の自分よりも目の前の自分が生き生きとしている気さえする。
「ええと……。あなたは何でも知っているんでしょ?」
『何他人行儀になっているのよ?ヒカリって呼んでよ』
「ヒカリは、何でも知っている?」
自分で自分の名前を呼ぶなんて、なんか変な気分だ。
『うん』
こっくりとうなずくヒカリ。
「この世界で起こっている異変も?」
『私があなたの姿になっている時点で、もう異常だと思うけど?』
両手をひるがえして、あきれたように目の前のヒカリが答えた。
(そりゃ、私はここの世界の人物じゃないよ……でも)
目の前の左右真逆の彼女を見ていると。
(なんか、自分のくせにムカつく)
知っているのがさも当然だとばかりに言うところが気に食わない。
『冗談☆ここの世界以外のことなんて見たことも聞いたこともないや、でも感ならあるよ?魔法の鏡なんだし。ただし、そこらへんは私の憶測になっちゃうけどね』
ヒカリは目の前の彼女をすこし見直した。いさぎよく外の世界はわからないと答えるところとか。この鏡、意外と面白い。
「そっか、じゃぁ、この世界以外で美しいのは誰だと思う?」
ヒカリが昔からの友達のように鏡に問いかける。
『私が思うに……七人居ると思う』
向こうのヒカリも楽しそうに言った。まるでうわさ話を始めたような不適な笑顔で。
『美しい。と言うか七人ともかわいい子だね』
「へぇ……」
『一人はさっき言った白雪姫』
なるほど、『美しい』というよりも『かわいい』が当てはまるな。
『あとは順番に言うよ。オーロラ姫、シンデレラ、アリス、ジャスミン、ベル。……それと、カイリ』
「……カイリ?」
えーと。この名前どこかで聞いたような?
しばらく考えるヒカリ。
「カイリ……カイリ⁉」
世界で美しい人物に、私の知るカイリがいるなんて驚きだ。
確かに、かわいいけど――。
そこでヒカリは新たな疑問が残る。
「じゃぁ私。ヒカリは?」
自分で言っておいてドキドキする。
なんで今、私はこんなことを言っているのだろうか?
世界で一番美しいって質問にカイリがいるって知ったから?
これって嫉妬、だよね。
白雪姫のお妃さまもこんな気持ちだったのかな。
目の前の自分はその質問にきょとんとしている。
「あ……や、やっぱ答えられない、よね?」
はじめに彼女がこれは『自分の勘』だと言っていたんだから。やっぱり、私はカイリなんかよりも綺麗じゃないよね?
うつむくヒカリ。
これが鏡の中の自分であっても今すぐには顔を上げたくない。
今の自分は世界の誰であっても醜いだろう。
『ヒカリは、綺麗だよ』
はっとヒカリは鏡を見る。
「う、嘘だ。だって私、お妃さまみたいに――」
『でもね、それは今じゃないよ』
「?」
『ヒカリはね、これからすべてを知ることになるよ、それはきっともうすぐ』
「あなたは知っているの? 本当のことを!」
この質問に彼女は困った顔をして首を横に振った。
ヒカリは気づく。
魔法の鏡にそれが真実なのかと聞くことはタブーなんだ。
『何でも知ってる鏡』には、己の知識を疑うことは自分が不完全だと認めることなんだ。
『なに、変な顔してるの?もう質問は終わり?』
気を取り直して魔法の鏡が聞いてくる。
ヒカリは複雑な表情をして聞いた。
「ヒカリは未来を知っていますか?」
これは『賭け』だ。
嘘か本当か答えられないのなら未来を聞けばいい。
鏡は、何も言わなかった。
しかし、彼女は本来ロックセプターを持っているはずの左手をヒカリの方へスッと指指した。
『それがカギ。だけどそれは『鍵』じゃない、鍵の対になるモノ』
ヒカリは右手に持つロックセプターを見る。
「これっていったいナニ? どんな力があるの⁉」
『それは、鍵をかけるモノ。離れたモノを繋ぐモノ。そして、束縛する物』
「わたしが使い方を知ってるの? 忘れているだけなの?」
ヒカリは懇願するように自分に聞く。何でも知っている彼女と、何も知らない自分がとても悔しい。
『それはコレしか分からない。それはあなた自身も』
「なんで、コレはあなたの所にはないの?」
『それは、そこにしか存在しない物。この星には一つとしかない物』
鏡の中のヒカリが消え、鍵穴が鏡の中から現れた。
「まって、消えないで!」
ヒカリが鏡に手を伸ばそうとしたとき、後ろから光の光線が差し込んだ。
「え?」
ヒカリが後ろを振り返ると、
「ミッキーこれは?」
ヒカリが鏡の中に浮かぶ鍵穴を見た。ガチャリと音がして鍵穴がスゥと消えた。
「この星の鍵穴はこの鏡だったってことだね」
鏡の中からコトンとグミのかけらが現れた。
振り返るとそこにはセプターの持たない自分の姿はもういなかった。
「ひどい。ミッキー、私今いろいろ聞きたいことがまだあったのに……!」
「ヒカリ、さっき見つけたんだ日記の続き。あの魔法の鏡はお妃が作り出したハートレスだったんだ。だから、この世界以外のことは知らない」
「うそ、ちゃんと答えてくれたよ!」
信じられないヒカリにミッキーは苦笑して言った。
「それは、きっとヒカリを誘惑するためだと思うよ、昔から鏡に質問をすることはよくないって言われているから」
「鏡に、質問?」
「もう一人の自分はとても近い存在だと思ってしまう、よって鏡の中の自分が口にすることは自分の良い解釈だけ――。つまり他の人を尊重できない、自惚れるということなんだ」
「うそだ、分からないことを……。教えてくれたよ。さっきそこにいた私は!」
「もう、やめよう」
ヒステリックぎみのヒカリをミッキーが短く制した。
「……」
沈黙がこの部屋のカーテンのように重い。
「さぁ、カイリを迎えにいこう」
何も言えずうつむくヒカリにミッキーは優しくそっと手を差し出した。
「カイリのことは何も分からなかったけど、白雪姫がいなくなった理由が分かった」
「!」
思わず顔を上げるヒカリ。涙をいっぱい浮かべていたがその瞳は彼の言葉で凛と輝いた。
「どこにいるの⁉」
「この世界にはいない。なぜなら世界で一番美しい心の持ち主、その中の一人だったからだ」
「……どういうこと?」
さっき鏡に聞いたことを思い出す。なんだか彼の言葉は矛盾している。
優しく、しかしどこか強くミッキーが言った。
「さっき鏡が言ってただろ? ハートレスを従える者達によってさらわれたんだ」
「ミッキー……!」
ヒカリは高揚して顔が赤くなった。
彼の言葉は、鏡に少なからず偽りの無い答えがあったという確信。
ここまで読んでくれた貴方。なんで?
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kh好きなんで、続けてください
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次回が楽しみだからにきまってます
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読み上げ機能使ってるので余裕です
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長文ドンと来い
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たまたまです。失礼しました
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どハマりしました。特に王様!!
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ヒカリちゃん萌え(これ本人、引くよ)
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ソラは、まだですか?