King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~ナイショ話~

「これがセプター?」

 ヒカリの手にはいつものセプターではない。しかしどこか見覚えのある武器が――。

「……と、言うか、これキーブレードじゃん!」

 あまりの相似にヒカリが思わず叫んだ。

「ヒカリ、キーブレード知ってるの?」

 シドとエアリスが同時にヒカリに聞いた。

「え、えと……」

 ヒカリがミッキーを見るが、彼はキーブレードを出したくないらしい。

(そっか、シド達はソラのこと知ってるから……)

「いや……あの、通りすがりの旅人に聞いたことがあって」

「ソラ達のことか?」

「違う、多分セプターに似ていたから聞いたんだと思う……」

(やばっ、ごまかすのキツくなってきた)

 なんだか自分で言っててわからなくなってくる。

「私そのキーブレードとか言うのどこかで見た気がして!」

 そう言ったのはヒカリではなくマフだった。

「マフ?」

「いったいどこで見たんだ?」

 シドがマフに聞く。

「もしかして王様とか言ってなかった?」

 続けてエアリスがマフに聞く。

 シドとエアリスの後ろでそろりそろりと後ずさるミッキー。心なしか顔が固まっているように見える。

(なんか居づらい)

 ヒカリはこの状況を打破すべく声を張り上げた。

「うわぁ~振り回してもうるさくないよ~。マフ、この武器どんなことが出来るの~?」

 ロックブレードをぐるぐると振り回すヒカリに皆が注目する。

「は、はい! 振り上げるときに邪魔だった、小さな鍵を収めることが出来る鍵穴を作りました」

「えっと鍵、カギ……どこにあるの? 見当たらないんだけど」

「あ、それなんじゃない?」

 エアリスがキーブレードで言う黄色い柄の場所を指差す。

「ホントだ、あった~すごい二つとも柄のほうに刺さってる!」

「錠の中にカギが刺さっている――なるほどロックinロックか」

「どうしても質量の関係であまり形状が変わっていませんが、これだけではないんです!」

「?」

 マフの言葉に一同は疑問符をうかべる。

「鍵の一つをひねってみて下さい」

「これを……こう?」

 剣の形の鍵をひねると。

 カチャリ。

「音がした?」

 しかし、見た感じ何も起きない。

「それは魔法制限。名付けてロックオンです」

「魔法制限?」

「全て鍵をかけると魔法が一切使えません。今は二つのうちの一つ鍵をかけているので半分ってところでしょうか」

「それはなんとまぁ、扱いづらいというか……」

 シドがぎこちない表情でマフに言う。大振りなシドにとっては制限なんて少なからず反論があるように見える。

「僕は案外、ヒカリには丁度いい能力だと思うよ」

 ミッキーがヒカリに言った。

「無茶をしすぎて、肝心なときに倒れられちゃうから……」

 ミッキーの言葉にエアリスがうなずく。

「無茶は、ダメ」

「ま、それを言っちゃ違いねぇな」

 正論を聞かされしぶしぶ納得するシド。

「なんか、子ども扱いされてる気分」

 すねるヒカリにマフが言った。

「いいえ、それだけではありません。個々の鍵によって魔法が制限されている分、セプターに魔法属性が付きます!」

「それは、ロックオンされている分だけ攻撃威力が増すってことだよね?」

「はいっ! そのとおりです。威力が大きい分だけMPも多少減りますが、魔法発動よりかは極端に減りません」

「それじゃぁ属性は何で決まるの?」

 エアリスが首をかしげて聞いた。

「多分それは、その星で覚えた魔法の属性だと思う」

 これにはマフではなくヒカリが答えた。

「今のところワールドごとに一つの属性を覚えているから」

「魔法をいつ覚えるのかはヒカリ次第だからね」

 ミッキーが補足するように言った。

「それってなんか私が気まぐれだって言ってるみたい!」

「マイペースともいえるさ」

 キッとミッキーを睨むヒカリに皆が苦笑した。

 

「それにしても、こりゃぁスグレモノだな~」

 シドが興味津々にロックブレードを眺めた。

「いいえ、これはまだ発展途上の作品にすぎません。私が創りたいものはメタルチョコボを使った伝説の武器ですから!」

「シルバーメダルだけじゃダメなのか?」

 シドがついさっきクリスタルの横に飾ったチョコボの彫刻のメダルを指差した。

「実は、あれ一つだけではまだ無理なんです。金のメダルだったら一つで十分なんですけど、銀はあと四つ必要なんです。銀は酸化されやすくって純銀の精製には最低でも五つ無いと……」

 うつむいてしゅんとするマフ。ヒカリをじっと見つめる長耳帽子の表情がマフと対比するようにかわいい。

 

「分かった。私とミッキーが残りのメダル探してきてあげる!」

「ええっ⁉」

 ヒカリの突拍子も無い言葉にマフが驚いた。

「でも、だって、このメダルは本当に突然見つかったんじゃ……」

「そうだよっ!」

 マフの制止の言葉を真っ向から受け止める。

「そうだよって、嬢ちゃん何か根拠は?」

「ないけど、きっとまた見つかるよ」

 シドの言葉にサラリと受け流す。

「ヒカリ、なにか理由、あるの?」

「しいて言えば勘かな?」

 エアリスにも理解できない意味不明な結論。

「ヒカリがそう言うとなんだかそうなってしまいそうだな」

 ミッキーだけがなにかに納得したような表情でヒカリを見た。

「それでは……ダメ元でいいです、銀のメダル四個と、金のメダルを見つけて来てください」

「銀が四個と、金ね。絶対に見つけてみせるよ!」

 

 ☆

 

「ヒカリさん。ひとつ、聞いてもよろしいでしょうか?」

「何?」

トラヴァースタウンの扉の向こう。

グミシップのとめている場所で見送りに来ていたマフがヒカリを呼び止めた。

「ヒカリさんは……あのお兄さんの、何なんですか?」

 ミッキーに聞かれないぐらいの小声で真剣にヒカリに聞く。

「ミッキーのこと?」

 マフはコクリとうなずく。

 ミッキーははシドにグミシップのグレードアップした所を聞いている。見るからにこちらの話はまったく聞こえていないだろう。

「簡単に言えば、相棒だけど?」

(明らかに向こうの方が優秀だけど)

「それだけ?」

「うん、それだけ……だけど?」

「本当に、ほんっとぅ~に、それだけなのね!」

 念押しするマフが少し怖い。

「うん。それに、ミッキーにはずっと前から婚約者が居るし」

「……よかった」

 めいっぱいヒカリを見上げていたマフが脱力するように頭を垂れる。なぜかほっとしているようだ。

「?」

「あのね、私があのお兄さんを見なかった理由はですね」

 マフがヒカリの耳に手をあて、ヒカリだけにしか聞こえないようにしゃべった。

「マフ。それって」

 ヒカリがあきれたように、しかし少し困ったように言う。

「はい」

 照れたようなマフ。遠目で見ていたミッキーはその表情に疑問する。

 こちらへ駆け出し船に乗り込むヒカリが、なぜかにっこりしている。

「じゃぁね~みんな! メダル見つけたら持って来るよ!」

 カレイドスターの入口で大きく手を振るヒカリ。そして勢いよく、くるりとミッキーの方を向いた。

「出発しよっ♪ ミッキー!」

「えっ、うん」

 

 ☆

 

「ただいま、カイリ。私、友達ができたよ!」

 眠っているカイリに向かってヒカリが言った。

「マフって言うんだ。その子ったら、私をミッキー……王様だって思ってたんだって。たぶん始め出会った時、キーブレードを持ってたからかな?」

「ふふっミッキーが私……王様をたぶらかして連れてったって勘違いしてたみたい。でも、私が王様じゃないこと分かったときに、敵視は出来なかったんだって」

 返事が来ないカイリに向かって寂しく微笑むヒカリ。

「ミッキーを知ってるってこと内緒だよって言われたの。だからミッキーにはヒミツ」

 ヒカリがポケットから武器強化のアクセサリーを取り出した。

 これはヒカリのための物ではない。

 

 

 マフにこれはしばらく渡さないでと言われた。

「なんかいろいろ、分からないことばかりだな」

 ヒカリがそう言ってカイリの居る船室を出た

 

 ☆

 

「御武運を――王様」

マフが夜空の星と区別が付かなくなったカレイドスターを見つめ見守るように微笑んだ。

 

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