King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~灰色の心~

 

「よって、ソラ、ドナルド、グーフィ―を『英雄の卵』とする」

「英雄じゃないの?」

「馬鹿者! そんなんで英雄になれると思っていたのか? まだまだ修行が足りん!」

 ソラがフィルに勢いよく口を挟むが、フィルの怒鳴り声にかき消された。

「修行って言ったって、俺たちココまでちゃんとついてこれただろ? 前より強くなったし、今さら何をすれば」

「お前たちには英雄の証が見られん……」

 考え込むフィル。

 その横でヘラクレスが言葉を引き継ぐ。

「強さでだけは無い、何かがかけているんだ」

「何が足りないんだ? 教えてくれよヘラクレス」

 ソラが彼に聞いたドナルド、グーフィ―もヘラクレスを見つめる。

「そればっかりは自分たちで探すしかないよ」

「ちぇ……」

「ところでクラウドとミッキーは大丈夫なの?」

 グーフィ―がヘラクレスに聞いた。

「大丈夫だとは思うよ、僕が見に行ったときはもう二人とも医務室には居なかったから」

「そうだ、ミッキーはどうにかして本線に出場できないのか?」

 フィルはソラの口からその人物の名前が発せられたことに驚きを隠せないようだ。

「何を言っておる! アヤツは……」

 

 ☆

 

 ヒカリは再び男装に戻ってコロシアム入り口でたたずんでいた。

 予選が終わってしまい次の本戦まではココも寂しくなるだろう。しかし、本線の声がかからなかった自分には関係の無いことだ。

 相棒の帰りを待つかソラに会おうか考えていると、コロシアム正門でクラウドを見つけた。

 

「クラウド、もう大丈夫なのかい?」

「ああ」

「キミの言ってた『仕事』ってソラ達を倒す事だったんだね」

「……ああ」

「クライアントに裏切られるなんて……ちょっとは仕事を選ぶべきだよ」

「……」

「ま、どうしてもやらなければならない事だったのなら、僕は何も言えないのだけど」

 クラウドの表情が見えないので彼はなおも話を続ける。

「君の仕事の事なんか何にも分からないけど、ただ僕が言えることは……」

 彼はクラウドへ歩み寄り空を見上げ言った。

「君は少し無理をしていたってことだ」

「……」

「焦らなくたっていいから。もしも出来なければやらなければいい。例えば自分が正しいと思うことを、行動に出すだけでいいと思うよ。それが間違っていても素直に元来た道を戻ればいい。それは正しい道への寄り道にすぎないのだから」

「お前はどうなんだ、ヒカリ」

 クラウドは彼の身につけているリボンをつかみ一気に引き抜く。

 彼女の長い髪がバラリと肩にかかる。

 いきなりで目を大きく見開く。

 

(やっぱり、バレてた)

 

「自分を隠してまで何をしたい」

 鋭くクラウドが言い捨てた。

 

 大空に響く、クラウドの声。

 今この瞬間が――怖い。

 

 しかし、彼は戸惑いながらも口を開いた

「僕は、こう思うんだ。人が失敗を繰り返すことは、当たり前の事なんだって。だから、自分に欠けている何か――そう、『必要な何か』を気付かせてくれるんだ」

 クラウドはどこか理解が出来ない。

「今から過ちを正すことは不可能だ、だってもう、戻れないから。

「……俺は進むしかない」

 クラウドが自分に確かめるように言った。

「過去に戻れないから、戻らないことを悔いることが出来る。だから――」

一息ついてクラウドを見つめる。

 

「だから、人は人を助けることが出来る」

 

 そう言ってにぃっと笑いかける。

 本来の彼女のような笑顔だ。

「私は、この姿になって自分の過去をあいまいにしていたわけではないよ。むしろ逆だね。私を知っている……ソラに全力で向かってきて欲しかった」

 

 クラウドからするりとリボンを取り返し、髪をさっきのようにまとめて巻き付ける。

「そして、その反面で僕は僕であることを、認めて欲しかったんだ――最後の方はもう僕自身の完全なわがままだよ」

キュッと音を立ててさっきよりも固く結ぶ。その表情はさっきまでの彼女の面影が微塵もない。

そして今まで演じてきたミッキーである面影もなかった。

「俺は光を見失ってしまった――だから」

 彼はクラウドの言葉を、手を上げて制した。

「仮に、もしも心が無かったら、こうやって他人に自分の心情を語ることが出来ないよ。ハートレスがいい例だね」

 クラウドは目を見開いて何も言えない。

「僕らの行動の根元は、心なんだ」

 胸に手を当て、はっきりと言い切るミッキー。

「心には光と闇がある……どちらか一方が強ければ答えはきっと見つかる。君は、そうだな――」

 彼は薄く微笑みながらあたりを眺め、しばらくしてクラウドに歩み寄る。

 真っ直ぐ目の前に迫るミッキー。

 そしてクラウドの脇を通り過ぎる瞬間に言った。

 

「クラウディ――。そう、光でも闇でもない。君はまだ、どちらも薄そうだ」

「!」

 クラウドはさっきの彼女のように目を大きく見開いた。

 ミッキーがクラウドのマントを引きはがしたのだった。

 真っ直ぐな眼差しに思わず抵抗できなかったクラウド。

 

「仕返し」

 勝ち誇ったような笑みで振り帰り、その際にマントを羽織った。

 かなり大きいマントであったが細身の体が隠れてその分勇ましさが見えた。

 そしてミッキーが勢いよくクラウドに指を突きつけた。

 バサリとマントがはためき彼女の体のまわりで踊る。

 

「予選で気絶させた屈辱は――忘れないからな」

 

 半眼でクラウドを見つめるミッキーにクラウドはただならぬ殺気が見えたような気がした。

 ミッキーはさっき羽織ったマントを彼めがけて高く放り、コロシアムの出口にむかって歩いていった。

「今度は本気で、全力で行く」

 彼がコロシアムを出る直前にクラウドが彼に叫んだ。

 

 ☆

 

 コロシアムから出てきたミッキーに、さっきまでここでずっとたたずんでいたミッキーが言った。

 

「よく出来てるわね~その女装」

「この格好は女装と言うよりも男装の方があってると思うな」

 さっきまでコロシアムにいた本物のミッキーがにっこりと笑いかける。

「ってか、何時から試合見ていたの、ミッキー?」

 男装ヒカリが冷めた目でミッキーに言った。

(なんだかミッキーにおいしい所をとられたような気がする)

「君がクラウドと出会った時から」

「それって私の男装前じゃん!」

「神様ってのはいつ何時にでも下界を見ていたりするからね」

 神様って、なんか嫌だな……なんて思うヒカリ。

「初めからずっと見ていたけど、君も僕によく似ていたね」

 そう言って女装ミッキーは長髪(赤いリボン付き)のカツラを取った。ヒカリが男装していたのでむしろ女装とは言いがたいのだが。

「クラウドにリボンを引かれた時は本気で怖かったよ……僕自身がばれたかと思った」

 ヒカリは驚いた。

 彼の右手が、震えている。

「でもさ、あんな難しくもありがたい言葉、私には到底無理だってことクラウドは気づいてないのかしら」

 気を取り直してヒカリが明るく言った。

「彼は真面目だからね。それにあの言葉に偽りはないから」

 何気なく右手をぐっと握り締めて震えを収まらせるミッキー。

 ヒカリはあえて見ないフリ。

「それにしても、私もクラウドのマント羽織りたかった~。あれ?ちょっと待って!」

 いつの間にか男装から普通に戻ったヒカリがミッキーの前に立ちはだかる。

「ミッキー! 私、本戦出れないよ?」

 しまった! とばかりに顔を歪ませるヒカリ。

「ん? その事か、君に渡したエントリーチケット、ちゃんと見なかったのかい?」

「?」

「あのチケットは普通のチケットではないんだよ」

「そりゃぁ、キラキラしてて普通のチケットよりもすごい物だとは思うけど」

 王様宛に神様が出した物だし、フィルに見せたときもなんだかかなり驚いていたからなぁ。

 でも、普通のチケットの方を見てないからヒカリにはその凄さがいまいちわからない。

 ミッキーが苦笑して言った。

「あれはHEROチケット、それを渡した時から君は英雄として、すでに本戦にエントリーされていたんだ」

 




バトル書いてる時も楽しいけれど戦闘後の親密度うかがえる会話が好きな物に入ります。そのためにバトルパート自分の表現力可能な限り絞り出して書いてるってのもある。しかも主人公じゃなくて相棒が代わりに言ってるのが本音とは違った仲間意識というか、気にかけている人は主人公以外にもいるよって思っててほしいという。勝手なお節介心な王様です。

キーブレード使いってある意味みんないい人だと思うんだよね。強い心の持ち主って言われるから、闇堕ちしても色んな葛藤があるだろうし。何はともあれ、大会は一時終了。次回も楽しみに!!

そうです、最終戦はちゃんとあの長髪剣士も出てきますよ。

オリンポス大好きなんです。皆さんもそうでしょう?

  • 興味無いね。
  • やり込みました(私はそうでも無い
  • あの人とバトルなんて、妄想が捗る
  • 原作はハデス様推しなんで同意
  • 勝利時の決めポーズ良いよね
  • それよりオリ主の乱入話はよ
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