King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

40 / 167
~再会~

 

「ええっ~~⁉」

 ヒカリがコロシアム外で叫んでいる時、コロシアムロビーに居るソラ達も同時に叫んでいた。

「ミッキーが正真正銘の英雄!」

「たしかに体は細いけどかなり強かったね」

「でも、なんで予選に出場してたのかな?」

「聞いてこよう!」

 ソラがロビーの外へとび出した。続けてドナルドグーフィ―も出て行く。

「お、おいコラ! まだ話は――」

 我に返ったフィルは三人を呼んだが、時すでに遅し。がっくりと肩を落とすフィルにへラクレスが声をかけた。

「フィル、あの子のことなんだけど……」

「言わんでも、もう分かっておる、女が英雄には成れんなどと一度も言ってはおらん」

 ほぼ即答で淡々とフィルがヘラクレスに答えた。

「やっぱり、分かってたのか」

 驚いた様子も無くヘラクレスがフィルに言う。

「分からん訳がなかろう、男だったらもっと鍛えておったわ」

「彼女にもソラたちみたいにテストしたんだ?」

 見てみたかったなと後悔するヘラクレス。

「見るからに英雄の面構えがなかったからな。見かけによらずあいつらより様になっとったわい。しかも、戦いは力だけではないことを熟知しておる」

 惜しいようにフィルが言った。

「へぇ、彼女の強さは魔法だけじゃないんだ」

「しかし、あやつに新しい魔法をやろうとした時に――」

 

『僕は僕自身で覚えてみせます』

 

「そういって聞かんかった。何が気にくわんだか」

 フィルは不機嫌そうに腕を組みカツカツと足を鳴らし始める。

「偽りの自分には力は望まない……か」

 ヘラクレスはロビーの外を眺める。

「今度こそ彼女はHEROになるのかもしれない」

 それはきっと、僕が居ないどこかで――。

 

 ☆

 

「君は男装してエントリーしてしまったから僕はもう出場は出来ない」

 ミッキーがヒカリに言った。

「ってことは……」

「さっきの僕がクラウドに言った事はちゃんとした君の言葉! 僕になりきるのならそれぐらいの意気込みを見せてもらうよ!」

 ミッキーの言葉は淡々としているが何かものすごい圧迫感がある。

「王様ってやっぱ大変だなぁ」

 その一言は説得力があり、逆にそれは自分自身の使命でもある。

 彼は気づいていないとは思うが、いつも笑っていても、自分に厳しい。

「なにかいったかい?」

「いいえ、精進させてもらいます!」

 気を引き締めてヒカリはふとミッキーの顔を見ると――。

「……ミッキーどうしたの?」

 ものすごい形相で遠くを見つめていた。

 それはもう、猫に睨まれたネズミのように。

「ヒカリ、ソラがこっちに、き、来た……から。僕は船に戻っている!」

 口をパクパクとあけていたがやっと言葉が出てきて言った。

 さっきまでの余裕が微塵もなく(汗)

(ホントに……自分に、きびしい?)

 そそくさと逃げていくミッキーのギャップを眺めながらも、ヒカリは次第に鼓動が高鳴っていくのに気がついた。

 

 ソラが、こっちにくる。

 しばらくしたら姉ちゃんって呼びかけてくる。

「久しぶりだね」

「その顔、はずれだって思ったわね! カイリじゃなかったって」

「それにしてもアンタはどこに居ても超がつくほど元気なのね?」

「もしかして、気づいたら島も無いし誰も居ないからって……泣いてた?」

 

 それとも、私に会えて安心した?

 何を言ったらいい?

 

 ヒカリの背後でソラの足音がやんだ。

 自分に声がかけられる。

「ミッキー! 本戦に出られるんだっ……」

 ヒカリがくるりとソラに振り向くとソラの言葉が途絶えた。

ヒカリはソラに微笑んだまま、しばらく何から言おうか考えていた。

一方ソラは目の前の彼女を見て目を丸くしてさっきまでのミッキーのように口をぱくぱくさせていた。

 二人が同時に息を吸って叫んだ。

 

「元気だった? ソラ」

「ごめんなさいっ!」

 

「?」

 ソラの謝罪にすかさず疑問符がよぎるヒカリ。

「オレ先走っちゃって」

「あ、いいよ――ってか何改まってんのよ?」

「オレ、ミッキーだって思っちゃって」

『ミッキー』にピクッと反応するヒカリ。

「ああ、予選に出てた、私に似てた?」

 鈍感なソラにしては勘が鋭い。

(こんなんで本戦やっていけるかなぁ)

 ドナルドもグーフィ―も不思議そうに自分を眺めている。

「似てるも何もびっくりしたよ」

屈託の無い表情で自分を見るソラが眩しい。

(ホントに……どこに居たって、元気なんだから)

「ミッキーには姉ちゃんが居たんだな!」

「――」

 ソラの発言にヒカリの開きかけた口から次に発せられる言葉が見つからなかった。

 ソラはなおも話し続ける。

「てっきり女装かと思ったけど雰囲気まったく違うから」

(もしかして、しばらく見ないうちに私の顔忘れた?)

 これはコントなのか? それともドッキリ?

(あ、そっか。リボンしてたっけ!)

「ふっ……ソラ、これでも分からないの?」

 ヒカリは自分の頭に乗っかっている赤いリボンをほどいた。

「これでもう分かるでしょ?」

 これで服装も、格好も、島にいた時とまったく変わらないヒカリだ。

(あ、それとも私が知らないうちに雰囲気変わったのかな? 島を出てから幾分かタフになったし、なにより、強くなったから?)

 ソラは目の前に立っている自分を必要以上に眺めまくり。

 そして、キッパリと言った。

 

「あのさオレ『君』の事よくわかんないや……」

 

 ぐるぐるとせわしなくめぐらしていたヒカリの思考がここで途絶えた。

「?」

 青い空にもかかわらず、そこに浮遊する白い雲の時間が、ヒカリには、今止まっているように思えた。

「な、何言ってるのよソラ? もしかして記憶喪失?」

 明るくしながらも、顔が笑えない。

 自分でも分からないうちに雲がゆっくりと動き出す。

「忘れたの? リク、カイリ、ティーダ、ワッカ、セルフィ」

 スラスラと名前を言うヒカリにソラは唖然とする。

「何で――俺の居た島のみんなのこと知ってるんだ?」

 問いかけというよりもソラの表情は懇願だった。

 必死で何かを探す表情。

「そ、ら?」

 それは、始めから私という存在を感じていない。

 微塵も私を探していた表情ではない。

「……っ! そんなの始めっから知ってるわよ!」

 今のソラは私をからかってはいないのは――よくわかんないけど、頭では、わかった。

 

 けど――。

 

「それ以前に私はあんたの事を知っている!」

 ものすごい形相でビッとソラに指を突きつけて叫ぶヒカリ。私の気持ちが、それを押さえようとする理性に追いつかない。

 ソラのこの表情を見ていると、

 

 イライラする。

 

「俺は……君の事は知らないんだ」

 孤立したようにうつむくソラ。いったい誰なのか思い出したいのに、目の前の彼女の顔を見ることが出来ない。

「ウソだ」

 途方にくれるソラに追い討ちをかけるヒカリ。

 ウソじゃないって頭がちゃんとわかっている。

 でも――。

 

「うそだ、うそだ、うそだ……っ、うそだ」

 

 真っ直ぐに伸ばした指が次第に下がる。のどがつっかえて声がかすれる、鼻がツーンとして痛い。

 このとき、ヒカリの記憶が一瞬、とんだ。

「あっ! 俺、ちょっと忘れてるだけだって!」

 必死に誰かも思い出せない自分をかばうソラを見ていられない。

 歯を思いっきり噛み締めてうつむく。

 全身、ガタガタと震えが止まらない。

「そらの……」

 青い空が音を立てて大気を揺るがす。

「ソラのォ……」

いつの間にかヒカリの手にロックセプターが現れる。

 

「バッカヤロォオー!」

 

 ソラに向かって至近距離で振りかざすロックセプター。

 迷うことなくセプターを振り下ろすヒカリ!

「ソラ!」

「危ないっ!」

 さっきまで見守っていた後ろの2人が飛び出した。

「邪魔!」

(ドオォン!)

 ヒカリが罵倒すると同時に、今まで晴れていたはずの空から稲妻が炸裂!

「グワァ!」

「アヒョ!」

「ドナルド、グーフィ―!」

 ソラが二人の安否を確かめる暇は無かった。

 衝動のまま行動するヒカリがソラに襲いかかる!

「うわぁ!」

 思わずソラが身構えると同時に彼の手にキーブレードが出現。

 二つの武器が、

 当たる瞬間。

(ブワァ)

 突如、風圧と輝きが、二人の間で巻き起こった。

 そして、武器を交えることなく、個々の武器が至近距離で同時に魔法を使ったように二人は反発される。

「うわぁ!」

「っ~!」

力に負けた二人は吹き飛ばされソラは跳ねるように地面に転がり込んだ。

 

 しばらくして光の嵐が消えると、さっきまでここにいた少女がどこにもいなかった。

「ってぇー」

 ソラが擦りむいたひざと強く打ちつけた腰をさすって立ち上がった。また彼女が襲ってこないかキーブレードを構え、辺りをせわしなく見回す。

「……そうだ、二人とも大丈夫か⁉」

 彼女を探すのをやめてドナルド、グーフィ―を助け起こすソラ。

「グワッ! こんな魔法、へっちゃらさ!」

「これぐらい、いつもたたき起こされるドナルドの魔法と同じだよ」

「よ、よかった」

 そして三人はあたりを見渡すが、やはり少女はいなかった。

「グワァ~いったいなんだったんだ?」

「なんかミッキーに似ていた気がしたけど、たぶん別人だろうね」

 そう言ってグーフィがあたりを見渡す。ミッキーだったらイキナリ理由も無く襲うはずが無い。

「イキナリ魔法だなんて、生意気だ!」

「でも、なんだか悲しそうだったよ」

「……」

 無言で考え込むソラに二人は顔を見合わせて言った。

「ソラ、いなくなっちゃったんだから、考えてもしょうがないよ」

 グーフィ―が肩にポンと手を乗せる。

「とりあえずミッキーを探そうよ」

 ドナルドがソラを見上げた。

「……そうだな!」

 うつむいていたソラが顔を上げた。

 

二人は分かっている。

ソラは、本当は寂しいって。

でも、ソラの顔は見るからに、いつものような屈託の無い笑顔だった。

 

 

 

King And Hearts~鍵を待つ者~ 2巻へ続く

 




書籍用編集文そのまんま構成なのでここで1巻終了となります。
ええ〜気になりすぎ〜なんでそんな謎出して終わりにするのーな構成です。
お話はこのまま連投していきますのでご安心を。その前に箸休めで次の短編も読んでみて。

オリンポス大好きなんです。皆さんもそうでしょう?

  • 興味無いね。
  • やり込みました(私はそうでも無い
  • あの人とバトルなんて、妄想が捗る
  • 原作はハデス様推しなんで同意
  • 勝利時の決めポーズ良いよね
  • それよりオリ主の乱入話はよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。