King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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Another06~Good night~

ワンダーランド 短編

Another06~Good night~

 

 

「やっぱ、カレイドスターが一番~!」

 バフッとベッドに飛び込むヒカリ。

 

 オリンポスコロシアムの世界からワンダーランドの世界へ単独で飛ばされて以来、自分のベッドで眠るのは久々だとしみじみ思うヒカリ。

 まだ日数は経っていないはずなのにこんなに懐かしいなんて、島に帰ったらどうなることやら。

 

「シャワーも浴びたし、幸せー♪」

 気を取り直してゴロゴロと転がりふと向いのベッドが目に入った。

 

「そっか、カイリが居ないっけ」

 

 そこに居たはずのカイリの姿が――いない。

 

 

 格納庫のドアを開ける。

 ヒカリがカレイドスターに乗った時から彼はこの場所で寝ている。

「一緒の部屋に寝るのは別に構わないよ」

とヒカリが言ったのだが、

「女の子の部屋で一緒に寝るなんて一生王妃が口をきいてくれないよ‼」

――と断固拒否し(汗)

「私が後から乗ったんだから私が格納庫で寝る!」――と言ったが、

「それはだめ! 女の子なんだから。王妃に知られたら後が恐いし」

――と即答で言い返され、ヒカリはこれ以上何も言えなかった(いいわけは王妃様ばかり……)

 

 格納庫はヒカリの寝室より多少広い。

 しかし、モノが無いときに限ってだ。

 

 今回の格納庫は前に訪れた時よりもモノが多い。

 ヒカリが居なくなっていた間、あまり気を配らなくなっていたのだろう。

 格納庫の奥にある小さな窓。その横にミッキーのベッドがある。

 

 彼はベッドの上で本を読んでいた。

 脇のキャビネットには部屋のまわりを照らすランプと、今回の軽食。二切れのチーズと少しのワインがのっかっている。

 

『倉庫内のアイテム整理』と『ちょっとしたつまみ食い』がいつもの彼の日課なのでおそらくこの部屋にベッドを置いたのはあながち偶然ではないだろう。

 本のページをめくる音だけが空間に響き渡る。

ヒカリは思い切ってその静寂の空間を破った。

 

「ねぇ、ミッキー。お願いがあるんだけど」

「あ、居たのかい。ヒカリもチーズ食べる?」

「うん」

 ヒカリはすすめられたチーズを手に取り一口で食べる。中にアーモンドダイスが入っていてしばらくの間チーズを食べるのに専念していた。

 

「それで、お願いってなんだい?」

 

「……ここで寝ていい?」

 

「なっ⁉」

 思わずヒカリの顔を見上げるミッキー。

開いた口が塞がらないミッキーにヒカリはすかさず次の言葉を言う。

「今日だけで良いから……私、すみっこで良い!」

 そこで言葉を切り口ごもる。

「前までカイリが居たから……一人じゃ、淋しい」

 

「だめだ」

 気を取り直してミッキーはさっきまで読んでいた所を探し出し読書を続けた。

 

「子供っぽいって言われてもいい! でも……」

「女の子と一緒の部屋で寝ることは出来ないよ」

 きっぱりと言い張るミッキーに子供のようにしゅんとするヒカリ。

 ランプの明かりに照らされるミッキーの横顔に、何を言っても聞いてくれない頑固な表情を見る。

 

「ごめん……おやすみ」

 か細い声で彼に告げ、ヒカリは薄暗いドアを目指して歩き出す。完全にあきらめモードだ。

 

「一緒に寝てはあげられないけれど、話しならしてあげるよ」

 

「?」

 敗北感が拭えない表情で思わず振り返るとミッキーは今まで読んでいた本をパタンと閉めてヒカリに微笑んだ。

 

「オリンポスでカイリが消える前、僕はカイリを見たんだ」

 

 

「なんだ、あの光は?」

 カレイドスターのある薄暗い水辺からまばゆい輝きがはっきりと見えた。

 

 走り出すミッキー。

「これはいったい?」

 カレイドスターが輝いている。

「そうだ、カイリ!」

 ミッキーが輝くカレイドスターに乗り込む。

 ドアを開けた瞬間。

 ミッキーの目の前に人がいた。

 

「カ、イリ……?」

 

 カイリが目覚めていた。

 しかも、船と共に彼女が輝いている。

 

 彼女はぼんやりとミッキーを見つめている。

「おうさま。ヒカリねぇ……は?」

「僕のこと分かるのかい⁉」

「ヒカリねぇから、見ていたよ」

「そう、だったのかい」

 輝きと共に体が薄れるカイリ。

「ど、どこに行くんだ、カイリ!」

 慌てた様子もなくカイリは微笑む。

 ミッキーの声にカイリは気づいていないようだ。

「心配しないで王様。私はちゃんと、見ているから」

 輝きが消滅するとカイリは完全に消えた。

 

 

「私が、ソラと会っていた時、カイリが?」

「カイリは、僕たちのことを見ていたんだ。おそらく今も、きっと」

 そう言ってミッキーが微笑む。

 ヒカリはその顔につられるように笑顔になる。

 

「うん、カイリの事ばかり心配してらんないね! 待っててカイリ……はくしゅん!」

「あ、ほら。ここ寒いからもう戻りなよヒカリ。寝る前にちゃんと髪乾かして、肩まで布団掛けて寝るんだよ」

「なによ……子供扱いしちゃって!」

「さっきまで一緒に寝たいって言っていたのはだれだっけかな?」

 

「おやすみっ!」

 

 

 ヒカリはバタバタと入り口を目指し……。

「んぎゃっ!」

ばたりと倒れた。

 

「だっ、大丈夫かいヒカリ⁉」

 ランプを片手にヒカリが倒れた場所を明るく照らすミッキー。

「うん、痛くは……ない?」

 エアログミのおかげで衝撃は吸収されたようだ。

「それよか、なんだか、転んでも地面がクッションみたいに柔らかく感じて……体が痛くない?」

 

 

「それって、前に比べてヒカリ、転ぶのうまくなったんじゃないのかい?」

「そんなの……嬉しくない」

 ムスッとした表情でグミの山に埋もれているヒカリにミッキーは首を横に振る。

「いいや、これが出来なければ勝利への道は始まらないんだよ!」

「勝利への道って(汗)」

「例えば、回復魔法が使えない時とか、一人で戦う時とかね?」

 キミも成長したねーとうんうん頷くミッキーにヒカリは気づかれ無いようにため息をついた。

「……とりあえず助けて」

 

(ピロリーン☆)

ヒカリはアビリティ『受け身』を覚えた!

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