King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
あの頃のヒカリは今のソラと外見も内面もまったく同じだった。
「リク、この木刀ほしいっ!」
「自分で作ればいいだろ」
「イヤ! これがいいの!」
ヒカリがイキナリそう言ってきたのは、たしか十歳の頃――。
「何だよヒカリ、戦士にでもなるのか?」
「ううん、そうじゃないの」
「じゃあ、なんだよ?」
「強くなるの」
にっこりと満面の笑みで答えたヒカリに俺はなぜか嬉しかった。
「木刀持つんなら戦わなくちゃいけない。俺と戦って勝ったらやる」
「うん!」
(ヒカリは女だし俺と戦っても無理だろ)
ヒカリがほしいと言ったソレは俺が作った中で自信作のモノだった。だから遠まわしにあきらめさせて新しい木刀をヒカリに作ってやろうと思って言ったんだ。
そう、ヒカリは俺と同い年で――。
女の子のくせにやたらと強かった(涙)
ガツン!
「っ……いっでぇー!」
「やった、勝ぁった~~!」
リクが頭を押さえてのたうち回っていてもヒカリはお構いなしだった
「やくそくっ! この木刀ちょーだいっ」
「……ああ、いいよ」(せっかくの自信作だったのに)
「わーい」
「喜んでないで、終わったなら、ちょっとはケガの心配とかしろよな……ところで、それ持って何するんだ?戦うのか?」
「えーっとね……」
ヒカリは両手を広げて勢いよくくるりとターンした。(多少フラついたが)
そして、リクに向き直って言った。
「お姫様になるの~」
「?」
今ヒカリは何になりたいって言った?
戦士じゃなくて、勇者じゃなくって――。
お姫様。
「ぶ、あっはっはっは!」
のた打ち回っていたリクが今度は笑い転げている。お姫様とは多少根拠がなくても女の子らしい発想といえばそうなるのかもしれない。しかし俺はヒカリのことはソラの女バージョンとしか思っていなかったので、
笑えた。
「なによぅ~強くなってお姫様になるもん!」
「はは……。いや~お姫様か~くくっ……」
「だって、だって! お姫様だもん! 強いお姫様!」
「くくっ……って言うか、お姫様は戦わなくていいだろ?」
やっと笑いが抜けたリクが起き上がって言った。
「だってだって、王国の王様と一緒に国を守んないといけないじゃない!」
「それは王子様の役目だろ? お姫様は戦ったりはしない」
ヒカリは聞き分けがないように体をゆすり顔をふくらませた。
「お伽話のお姫様は強くてカッコいい王子様が側にいるだろ?」
リクの言い分にヒカリがうつむきながらもうなずいた。
「お姫様は美しくて綺麗で可愛くて――」
「うん」
「だれも強いお姫様なんて出てこないだろ」
ヒカリは木刀を握り締めて立ち尽くしていた。
うつむいている格好はソラとおり二つだ。これがソラだったら慰めの一つや二つかけるのだが、いまそこに居るのはさっき俺を負かした女――。
「でもっ、私……王子様にはなれないよ?」
ヒカリの顔が赤くなっている。今にも泣きそうだった。
「だから王国のお姫様に……強よくてカッコいいお姫様になりたいの!」
――そうだ、女なんだ。ヒカリは――。
ソラとは似ているけれど、でも違う。悪い意味じゃない。俺とは違う考えを持っているんだ。俺はこの時からヒカリを知ろうとしたんだ。けしてソラとは違うヒカリという女を。
「そしたら……王子様はどうなるんだよ」
つぶやくように俺は聞いた。
自分で言ってて恥ずかしい。
ヒカリは、さっきまで泣きそうにしていたくせにケロリとこう言った。
「別に王子様は弱くても強くてもいいよ。……リクみたいに!」
「バッ……!お、俺が美しくて綺麗で可愛くてどうするっ!」
「さあ?お姫様にでも聞いてみればー?」
俺、ヒカリが強くなりたいって言ったとき嬉しかったよな……?
そして、負けて、なだめて、恥ずかしくて。
幼心には大きな屈辱だった……。
カイリがここに着てからヒカリは俺と戦ったりはしなくなった。たまに二人っきりになった時には勝負はしてみたこともあったが、ヒカリはその頃から病気がちでほとんどの相手がソラとだった。
「カイリってさ、お姫様みたいだよな……」
カイリとヒカリが浜辺で貝拾いをしているのをソラはボーっと見てリクへつぶやいた。
「姉と比べたらそう思うのは自然だろうさ」
「なんていうかさ、姉ちゃんはリクと同じくらいなんだよ」
「俺って、どういう位置づけなんだよ?」
「う~ん。勇者のパーティの一員って言えばいいのかな?」
「俺とヒカリはおまえのお供かよ」
「ち、ちがうって! 三人とも勇者でさ、カイリと世界を守る仲間っていうカンジ!」
「なんだよそれ」
(ま、ヒカリは姫とは言い難いのはわかった)
そう思いながらもリクはカイリの隣のヒカリを見て思った。
『私、王子様にはなれないよ……だから』
あの時は、意味不明だったがなぜかココだけずっと、はっきりと俺は覚えている。
☆
リクはヒカリを部屋に送り届け扉を閉めた。
ソラがヒカリの部屋の窓から身を乗り出してリクに叫んだ。
「リク! ごめん……な。姉ちゃん、送ってくれてありがとう!」
ソラのためらいがちにとって付け足したような言葉を背にリクはフッと微笑んで振り返らずひらひらと手を振った。
「今さら言ってもしょうがないだろ、明日遅れんなよ!」
「お、おう!」
リクは小さくなった窓を今さらになって見つめた。もうヒカリの部屋にはソラがいない。
ヒカリ、おまえは王子様にはなれない。
だったら――お姫様でもいいんじゃないのか。
そうしたら俺はー。
「!」
リクは背後に迫り来る気配を感じ、振り返った。
その目に映るのは、幻か。
「扉が、開く――」
暗く、星明りをそこだけさえぎる島の輪郭がリクの目に映っていた。
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