King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~魔法禁止令~

星の輝きが遮られている闇の中。

 ソラ達が魔法の扉から三番街へやって来た。

 

「外の世界に来てお使いなんて思っても見なかったよ」

 ソラがドナルド&グーフィ―にぼやく。

「でも、お使いでマーリン様に会えたのは良かった!」

「そういえばコロシアムで出逢ったミッキーについて聞くのを忘れちゃったね」

 グーフィ―の言葉でソラは真っ暗な空を眺める。

「ミッキー予選のごたごたから全然見ていないなぁクラウドみたいに別の世界から来てたみたいだし」

「グワワ……教わった魔法についてもっとくわしく聞きたかったなぁ」

 ドナルドもソラに続いて空を眺める。

「この前はまだ予選だったから本戦できっとまた会えるよ」

 グーフィ―が二人に続き空を眺める。

 

「……そうだな、会えるよな!」

 

「誰に会えるんだって?」

「え?」

 第三者の声にソラは聞き覚えがあった。

 広場をみると見覚えのある姿が――。

 

「リク?」

 

 ソラはリクに駆け寄り彼の頬をつねった。

「ホントにリクなのか?」

「おい……つねるなって!」

 リクはそう言ってソラの手を引きはがし、ガシッとソラの頭をわし掴みした。

 ソラはその行動に身に覚えがあった。

 

「うわ、本当にリクだ……!」

「オイ、幽霊みたいなこと言うなよ」

「はは、ゴメン。そうだ、カイリは?」

「一緒じゃなかったのか?」

 その答えに肩を落とすソラ。リクはそんなソラの表情を元気付けるように言った。

 

「心配するなよ、俺たちで探せばすぐに見つかる。

俺たちは、外の世界に出られたんだぜ。もう、どこへだって行けるんだ」

 リクの背後にシャドウが現れたがリクは気づかない。

 

「カイリを見つけるなんて簡単さ。そうだろソラ。ぜんぶ俺にまかせろよ。そうすればすぐに――」

 

(バシュッ!)

 

 リクがソラの動きに一瞬、驚く

 

「誰にまかせろって?」

「ソラ、おまえ――」

 驚きを隠せないリクにソラは得意げに言う。

「俺だってリクとカイリを探してたんだ。この二人といっしょに」

 ソラが自分の後ろに居たドナルド&グーフィ―を見る。

「え~我々は―――」

「三人でいろんな世界を回ってるんだ、あちこち」

「もう、ソラ!」

 割り込んだソラにドナルドがぼやく。

 

「へぇ、おまえが? 信じられないな」

 平坦な声でリクがそう言った。

「ソラはキーブレードに選ばれた勇者なんだ」

「そうは見えないけど」

「なんだと!」

 グーフィ―の解説に今度はドナルドが割り込みソラが不満そうに叫んだ。

 そんなやり取りの中。

「キーブレードって、これか?」

「あれ? あ! 返せって!」

 いつの間にかリクの手にしているのはさっきソラがつかんでいたキーブレード。

 

(アイツの武器と似ている……)

 

 リクはそう思ってそれをソラに放り投げた。

 

「ホラ」

「おっ」

 リクが投げたキーブレードは一瞬輝き姿をくらましたが、その瞬間ソラの手に収まった。

「そうだリク、おまえもいっしょに来いよ! 俺たちすっげー船に乗ってるんだ。特別に乗せてやるって」

「そんな勝手に!」

「いいだろ?」

「ダメ!」

「なんでだよ! せっかく会えたのに!」

「だめったら、だめ!」

 

「あれ?」

 ソラとドナルドの言い合いはグーフィ―の疑問符で打ち消された。

「リク――?」

 さっきまでここに居たはずのリクが、いない。

「なんだよ――ま、いっか! リク、元気だったし。リクに会えたんだ、カイリにだってきっと会えるよな!」

 

 

 宿舎・赤の間。

全ての物が赤で統一されているこの部屋にいるのは三人。

 

「あー負けた……」

「君の戦っていたのは一見、ガードアーマーのようだったけれど、オポジェットアーマーって言うボスハートレスだったんだ。もし戦闘が長引くと身体が反転してバズーカ砲を撃ってくる危険なハートレスなんだよ」

 精も根も尽きたとばかりにベッドに寝転がるヒカリにミッキーが淡々と言う。

「よくそう言うこと知ってるよねミッキーって」

抑揚の無いヒカリの声にミッキーはため息まじりに彼女に聞いた。

 

「なぜマレフィセントを挑発するようなことを言ったんだい?」

 ヒカリはしばらく無言で天蓋を見つめた。

「ごめんミッキー、そこらへん記憶が曖昧なんだ。タイムの魔法を覚えたあたりまではいいんだけど」

 

「私も、ヒカリさんがどうやってオポジェットアーマーを倒したのかは分かりません」

 ヒカリに続いて天蓋の横のイスにしばらく突っ伏していたマフがミッキーに言った。ふらふらとした足取りで部屋に入り、しばらく無言だったマフはようやく回復したようだ。

 

 数分前。

 マレフィセントに挑発をしたヒカリは、すぐにその場に倒れたのだった。あまりの無理な力の使い方に体の方が音を上げたのだろう。当人のマレフィセントはそれを見て無言で姿をくらました。

 

 マフがヒカリに駆け寄るなか、ミッキーがロックセプターをたずさえて現れ――今に至る。

 なぜミッキーだけがロックセプターを持つことが出来るのかは、いまだ謎である。

 

「とにかくダルイ」

「それは力を使い切った結果じゃよ」

 声が聞こえ、同時に赤の間に魔法使いが現れた。

 

「ま、マーリン様!」

 マーリンの出現でヒカリは思わずベットから身を起こす。

 ヒカリとマーリンの間に居たミッキーはマフの横に移動した。

 

「実を言うと、マレフィセントと遭遇した時から全て見させてもらったんだよ、ヒカリ。もちろん、時間魔法の発動中もな」

「……はい」

「まず、お前さんは自分の魔法に頼りすぎたため、自分の魔法にのみこまれ視力を失ってしまった」

「はい」

「さらに視力が失われているお前さんは、自分の不甲斐なさのあまりとっさの勢いで時間魔法を編み出した」

「……はい」

 

 できればもう、これ以上は、聞きたくない。

 

「最後に、お前さん自分で【闇の魔法】を編み出してしまったようじゃのう」

 

「!」

 ミッキーとマフがヒカリをはっと見張る。

 

「……はい」

ヒカリは今の満身創痍な自分を叱咤する。

 

魔法を唱える直前。一瞬でも、こうなることもわかっていたはずなのに。

 ああ、なんか、私ったら。

 自分で自分の首閉めてる気がする。

足がすくみそうな感覚を気力で保ちマーリンの言葉に耳を傾けるヒカリ。

 

「破門、とは言わない。結果的には良いように事が運んでくれたようじゃから。しかしなヒカリ、おまえには試練をあたえよう」

「……」

 ヒカリは無言でコクリとうなずく。

「よかろう、世の中には魔法無しでも乗り越えられることが沢山ある」

 マーリンが片手を上げる。

「!」

 ヒカリの胸元のペンダントが輝く。

 マフと視界を共有していたペンダントはヒカリが闇魔法で盲目を克服した時から効果が無くなっていた。

 

 輝きはやがて小さくなり、前まで石がはめ込まれていた場所に新たな石が出現した。

「これは…?」

 マフとミッキーがペンダントを見る。

 疲労で目がかすんできたヒカリはよく見えない。

 

「魔法制限のかかる石じゃ、技は使えるが魔法はいっさい使えない。ヒカリや」

「はい」

 そろそろ限界寸前のヒカリを見て、いつのもようにマーリンが言った。

「コロシアム本戦、魔法はいっさい使わず優勝してみなさい」

「は、い……」

 声を絞り出したヒカリはその直後、身体の糸が切れた。

 

 

 さっきまでだるかった身体が嘘のように軽くなっている。きっとマーリン様のお陰だろう。

「気がついたかい? まだ数分しか眠ってないけれど大丈夫?」

「うん、大丈夫。もうなんともない」

「マフならマーリン様に介抱してもらってすぐに店に戻ったよ」

「そっか後でお礼言わないと」

 ベッドから起き上がり服のしわを整えるヒカリ

 

「光の力を具現化したロックセプター。そのセプターが無い今の自分は闇の力を使えるはずだ――って考えたのだろう?」

 ふとミッキーがいつもの会話ように明るくヒカリに聞いた。

 

「……うん」

「結果的にうまくいったのなら責めることはなにも無いよ」

 なんだか自分は重大な過ちを犯してしまった気がするから、さらりと弁解するミッキーが少し信じられなかった。

 

「闇なら僕もお世話になっているから」

 

「え?」

 ヒカリは目を見開いてミッキーを見つめる。

「ミッキー今、なんて言った?」

「ようは、その使い方なんだよ」

 

 ミッキーはそれ以上何も言わなかった。

 

「ミッキーっていっつも重要なことは何一つ教えてくれないんだね」

 不満そうに睨むヒカリにミッキーはただ微笑んでいるだけだった。彼の表情は、言いたいのに言えない気持ちがあふれている。

 ヒカリはしばらくミッキーを見つめていたが、そんな彼の目を真っ直ぐに見ることが出来なかった。

 

「修行してくる、もちろん魔法以外の」

 ロックセプターを出現させたヒカリが振り返りざまミッキーに言った。

「ロックセプター、ありがとう」

「仲間だろ? 当たり前のことだよ、僕はカレイドスターのメンテナンスをしているからマーリン様の所に居るよ」

 ミッキーの口から『マーリン』と聞いて少し後味が悪いヒカリだった。

 

 

「魔法以外の特訓ってことだから体力作り!」

 そうなると、広い所で戦った方がいいね。

「二番街が妥当なんだけどここはあえて――」

 そう思いながら歩いていると。

 

「お前、俺と来ないか?」

 後ろから声をかけられた。

 

「その声は…!」

 勢い良く振り返るヒカリ!

 

 すると……その目が反せなくなる。

 

「う、そ……」

 

 目の前。

 今、自分に声をかけたのは――。

 

 マレフィセントの子分だと思い込んでいた少年。

 

「リク」

 

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