King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
~決意表明~
オリンポスコロシアム。
日の光が遮られている薄暗い水辺にグミシップ、カレイドスターが止まっている。
船の隣。水面に映る二人の真っ暗なシルエットが会話をしていた。
一人は青年、もう一人は頭に大きなリボンがついている少女だ。
「ヒカリ、今までキミの戦い方を側で見てきたけど、本当に一人で大丈夫かい?」
「なにを今さら」
少女の影はそう言って、カシャンッと杖に専用の装備を付け替え、軽く天へ放った
杖から光が出現すると、影がかき消された、少女の身体が真っ赤な輝きを放つ球体に包まれる。
リンゴのような光が一瞬にしてはじけ、赤い球体から純白の粉がキラキラと舞い落ちる。
「それに今の僕はヒカリじゃない『ミッキー』さ」
そこに居るのは頭にリボンが付いている少女ではない。いつもの不敵な笑みとはまた違う、柔和に微笑む少年がそこに居た。
「声は僕に似せているようだけど、外見は僕とはちがうんだね」
ミッキーが『変身したヒカリ』に言った。
「おなじ人間が側に居たらみんな混乱するだろ?」
「それもそうだね」
「それに声が低くなっているだけで女には変わりない。でも自分じゃない誰かになれるって、なんだか不思議だね。作ってくれたマフがすごいんだか、それともこれを使う僕がすごいんだか……」
この自信にあふれた口調は彼女の性格そのものなのか。それとも相棒の真似なのか。
そんな『彼』は男装してもなお健在の自分の長い髪を、さっきまで自分の頭に可愛らしく乗っかっていたリボンで、今度は低い位置にまとめる。
キュッと音を立てて固く結んだ真っ赤なリボンが青と黒を基調とした服装によく映えた
「服はどうやって変わったんだい?」
ミッキーは彼の服装を眺める。
「フェアリーゴットマザーが変身と同時に変わるように魔法を掛けてくれたんだ」
ミッキーに返答を丁寧に返す男装ヒカリ。
変身前まではオレンジのジャケットだったのがマットなブラックに。明るい水色のキュロットは真っ青なインディゴブルーのハーフパンツに。胸元に輝くジャケットのハートのジッパーチャームは星の形に変わっていた。
次にヒカリは「ロックセプター」を「ロック・イン・ロックブレード」に変えロックブレードの柄の脇に刺さっている小さな鍵をチェックした。
この一連の動きは、いつかの王様のようにとても素早い。
「……なんか、ヒカリと一緒に居てまだまだ間もないけど」
ミッキーは目の前のヒカリを上から下までゆっくり見て、しばらくして言った。
「キミ、実は性別を間違えて生まれてきたんじゃないのかい?」
「しっ……失礼なことを言うなっ!」
真剣な面持ちで言うミッキーにヒカリは間発入れずに目の前にいる彼、ミッキー口調で叫んだ。
今の姿が男装と言えど、実を言うと昔から男じゃないのかと言われたことに定評があるヒカリ。
そんな長年の男前女子……ではなく、今度は粗暴なく『好青年』を演じてやろうとしている時。
今の男装のお手本としている当人に言われるのは、想定外だった。
「……これならなんとかなるかな」
「へっ?」
ミッキーのつぶやきに疑問符を浮かべる好青年。
「ごめんごめん、ちょっと試してみただけだよ」
「?」
「声。これならヒカリって雰囲気が全くしない」
「……そういえば」
ヒカリは変身前の自分の声を出そうと頑張ってみた。どんなに裏返った声を出そうにも低い声は変わらない。変身した今の彼女には無理なようだ。
「この大会にはソラも居るようだしキミには自分を見失わないで欲しい。どんな時、どんな姿であっても『今の自分』を押し通す。それが大事さ」
「うん、わかってる」
「誰がなんと言おうがこれは君自身の試練なんだ」
「マーリン様との約束だから、魔法は使わないよ」
「いいや、そう言うことじゃない」
「?」
「僕の考えでしか無いけど、ヒカリは魔法についてなにか勘違いをしている気がするんだ」
「どういうこと?」
「それは僕も良くはわからない。ただ、僕が思うにキミは魔法の本当の意味をよく知らない」
「……」
思わず悔しそうな表情があらわになるヒカリ。
私の魔法はいつも強力で、そのおかげで今まで切り抜けられたことが沢山ある。
だけど、今はその魔法はヒカリを苦しめる。
「ヒカリ、キミの魔法はキミが作り出した物だ。今この世界でキミにしか使えないんだ」
ヒカリはうなずく。こうやって勇気をくれるミッキーの言葉にも十分、魔法の力がある。
「何事もやってみないとわからない事は沢山ある。だけど、いざと言うときの為に、常にいろいろな考えをめぐらしてほしいんだ。常に予測して、問題をとらえ、そして余裕を持っていてほしい」
「……努力はする」
複雑な表情のヒカリにミッキーは元気付けるように言った。
「キミだったらきっと魔法が無くても切り抜けられる、だからマーリン様は魔法禁止令を出したんだ」
「それ、違う意味で緊張することになりそうだ」
緊張した面持ちでミッキーに言うヒカリ。
「僕の考えにすぎないけど、ちゃんと練習は必要だと思うよ」
今まで自分のとっさの判断だけで作り上げてきた魔法。それはあまりにも不完全で使いこなせるまでには時間がかかる。だけど、今はそんな事を気にしている時間がない。
ヒカリは気をとりなおしスイッチを切り替えた。
「僕を誰だと思っているんだい? 魔法がなくても大丈夫さ!」
ミッキーの言葉を見事なまでに爽やかに打ち切り、彼女はコロシアムに向かって歩き出した。
背を向けた彼女に彼は何も言わない。
「!」
ヒカリの背後から何かが迫る!
(バフッ!)
とっさに背後を振り返り、横に凪いだロックブレードに熱気が伝わる。
「……ファイア、苦手意識は解消したんだね」
眼光鋭く睨みつけるヒカリにミッキーが安堵したように言った。
「意外な攻撃も十分に備えておいてくれよ王様」
「本人に言われると、なんか照れるな……」
ミッキーに『王様』と言われるとなんだか自分がニセモノのような気がする。
「あ、なんなら、まだ間もないだろうから、今から試しに僕と――」
「これ以上怖いこと言われないうちに行ってくる」
ヒカリは速足で今度こそコロシアムを目指した。
(冗談。今からミッキーと試合なんかしたら――)
絶対、大会どころではない。
ミッキーは格闘ゲームのラスボスを倒した後に
低確率で出現する意外な裏ボスに近い。
一言で言えばかなり強い。
「クラウドによろしく」
ミッキーの言葉にヒカリはふと立ち止まって彼に振り返る。
「僕が僕によろしくって言えば良いのかい?」
「ははっ、それもいいね」
ヒカリは軽く肩をすぼめ、そして何も言わずくるりと目的地へ進路を取る。
風が吹き彼女の髪がフワリとたなびいた。
直後、落ち着き払った声が響いた。
「クラウドに、この前の屈辱を晴らしにいくよ」
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