King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~真夜中の島~

 

 

 ヒカリは目を覚ました。

 誰かの背に揺られて自分の家に着いたのは薄々感じた。

あれって、ソラじゃないよな――。

だったらリクかな?

 ヒカリは納得してすぐに落胆した。

あーあ。こんなだから私、三人とは一緒に行けないんだよね。

一人で突っ走ってそのせいでバタンキューって。

ああ~かっこ悪い!

 

 この間ティーダに大口かまして言った言葉がよぎる。

「これでも私、リクより強いんだからっ!』

 ティーダの勝負を断る口実にしてしまったのが事の始まりだったのだ。

 

「ヒカリ! おれと勝負っス!」

「やだ、サラサ貝探してるんだからあっちいってよ」

「くぅ~いつも言ってるんだから今日くらい、いいじゃないっすか~」

「じゃあなんで私なんかとなのよさ、カイリにも言ってみれば?」

「カイリはなんか別っス、それよかヒカリの戦い方が見たいっス!」

「ティーダ、私と戦ったことあったっけ?」

「ないっすよー。だから是非お手合わせを……」

「なら、なおさらダメね」

「なぜっす?」

「これでも私、リクより強いんだからっ!」

 

 ……ってなかんじで。

 あんなこと言ったけど、リクと勝負したのは昔のことだったしなぁ~。

 今日ソラと勝負したのも久々で、いっつもソラのこと見ていたはずなのになんだか調子狂っちゃってさ。

 もしかしてソラ、私が体弱いから手加減していたのかな? あと、ほんの少し戦ってたら私はソラを倒せたのかな?

 

 ――単純なソラなら何とかなるって思ってたのが敗因か。

 

 窓が光った。

「?」

 体を起こして窓の外を見る。

 波が、少し荒い――。

 島を見ると不気味に明るい光が見える。

 おそらく雷雲だろう。

 

「やばいんじゃない? 明日の航海は――」

「やばいイカダッ!」

「?」

 ソラの声が隣の窓越しに聞こえた。

 その後バタバタと音が絶えない。

 ヒカリは窓から身を乗り出してソラに聞いた。

「イカダ……ってソラ、もしかしてつなぐの忘れたの⁉」

「うわぁ! び、びっくりした。ね、姉ちゃん! おどかすなよ、寝てなくて大丈夫なのか?」

「それよりイカダってなに……? つながなかったの⁉」

「だ、だって姉ちゃんが戦おうって言って、そんでそのままで……」

「……っ!」

 ヒカリは部屋にお気に入りの靴をそばに置いている。それをひっつかみ、窓から飛び出した!

 そして、島に向かって走り出す。

「ちょと姉ちゃん、オレが行くから戻れって! ああ、行っちゃった。頼むから戻ってくれ~リクにまた怒られる~」

 頭を抱えて嘆くが姉はもう見えなくなっている。仕方がなくソラも家から飛び出し、浜辺のボートへ乗ろうとしたが。

「このオール、オレのじゃない……って、姉ちゃん、オレのボートで行ったのかよ~」

(姉ちゃんのボートってオレのと全然違うから苦手なんだよ~)

 

 ☆

 

 ソラのココロの叫びなどお構いなしにヒカリは島までたどり着いた。

「あっちゃ~。リクもカイリも来てるわぁー」

 明日のイベントに関係のない自分がココに来てしまったことに少し後悔を感じた。島で野放しのイカダが心配で二人が来ることは考えてみればすぐにわかることで、帰り際に倒れた自分が来るまでも無い。

「どうしようか引き返すか。でもソラが……」

 せっかく飛び出してきたのに引き返すのも格好がつかない。

 板ばさみの状態で考え抜いた答え。

「よし、カイリを探そう!」

 カイリだけは私が倒れたことは知らない。

 ようは一番口実がつけやすい!

 イカダまでの近道を通ろうとした所、

「あれっ? こんな所に扉なんてあったっけ?」

 薄暗い滝の真横の草むらに白くて真新しい立派な扉が、ミスマッチに立っていた。

「なんだろう? テーマパークに有りそうな扉ね」

 公園でも作るのか。いいや、公園には扉は無いか。

 上から下までながめたとき、

「あ、なんか落ちている……壊れてる?」

 拾い上げるとサラサ貝のペンダントのようだ。

「!」

これは、壊れているんじゃない。

できていないんだ。

 こんな細かく丁寧で、少し変わったデザインは見覚えがある。

 

「この扉の向こうに、カイリがいるの?」

 

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