King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
「こんなに早くキミと戦う時が来るなんて……」
やはりこれは何かの策略か?
壇上の上、ミッキーが自分の目の前にやって来たクラウドに向かって言った。
「前にも言ったようなセリフだな」
相変わらす愛想の無い無精面にミッキーは微笑してそしてすぐに表情を一変する。
「今度は、気絶なんてしない――」
スッと目を据えてミッキーはロックブレードを構えた。シャリンと音がしてキーホルダーが揺れる。
「この前の借りがある、そんな物は無しだ」
クラウドが短く言った。
ミッキーは軽くうなずく。
『REDY GO!!』
「はぁ!」
ギィイン!
二人の掛け声と、二つの武器が勢いよくぶつかりあう。はじき返されたのは一方だった。
(重っ!)
クラウドの剣の重圧にロックブレードの攻撃は圧倒されたのだった。それぐらいクラウドの剣は所持者の素早い扱いが嘘だと思えるほど、重い。
クラウドの剣に押しつぶされないように後方へ飛び退くミッキー。空を切る音がミッキーの身体を紙一重で通過する。
(こんな剣、よく振り回せるなぁ~)
クラウドの攻撃に圧倒されながらも、続く剣撃を見事なほどに流れるように受け流す。
(切り返しが速い、かなり使い慣れているんだな)
自分の動きに忠実に食らいつくクラウドの剣技に緊張しながらも感心する。
(でも、この剣には弱点がある)
それは大きい武器であるが故の大きな欠点。
大きくて重い分、威力があるが――。
『勢いよく空振りをすると動きが鈍くなる!』
ミッキーは足を開き、迫り来るクラウドにガードアクションを施す。
「はぁっ!」
クラウドが声を発するとともに、ミッキーは右側へ素早く移動し、クラウドの背後にまわった。
(とらえた!)
ミッキーが攻撃をしようとした瞬間。
(ブンッ!)
「⁉」
クラウドが身体を横にひねって回転切り。
思わぬ行動にミッキーはロックブレードを盾にして剣の軌道を防ぐが、その重い攻撃の勢いで横へ投げ出された。
吹っ飛ぶミッキー。
「このっ!」
身体を横にひねって空中で体制を整える。
(ズザザアッ!)
ほぼ直線に吹っ飛んだおかげで勢いを殺すだけで大事にはいたらなかった。
安堵もつかのま、即座にクラウドがミッキーに向かって走り出す。
同時にミッキーもクラウドに向かって走り出し、またしても二人の声が重なる。
「はぁっ!」
クラウドが飛び上がりミッキーめがけて大剣を振り下ろす。しかし、ミッキーはかけ声をあげたにもかかわらず武器を振り上げたりはしなかった。
(ドン!)
クラウドが大剣を地面に突き立て衝撃波が起こる。ミッキーはその攻撃を至近距離でかわした。
そして、その大剣に足を掛け、助走の勢いも相成って彼の頭上に舞い上がる!
真っ青な空に眩しいほどに輝く太陽。その太陽を遮るようにクラウドの頭上を覆う影が――。
今、キラリと輝いた!
「ファイナルブレイク!」
ミッキーはロックブレードを振り上げ着地スレスレで真下に振り下ろす!
クラウドはガードアクションをおこたらない。
が――。
(ボオッ!)
「なっ⁉」
ミッキーが振り下ろす直前、ロックブレードから炎が吹き出す!
(ギイィン!)
音と同時にその武器から火花が散り、クラウドのまわりが炎で包まれる。
ミッキーは瞬時に飛び退き炎を回避した。
大剣に炎がまとわりつく。
「はっ!」
クラウドが剣を勢いよく凪ぎ、その勢いでバサリとマントがひるがえると炎は消えた。
「熱そうだね、そのマント」
さっきまで炎の渦の中にいたクラウドに言う。
「余計なお世話だ、ヒカリ」
「……僕はミッキーだ」
不機嫌そうに低く言うミッキー。
クラウドは『ああ、そうだったな』と揚々の無い声で受け流す。
「前に誰かに言ったが、自分を隠してまでなぜこの大会に出るんだ?」
「強くなるためだよ、クラウドもそうだろ?」
ほぼ即答で迷いも無く告げるミッキーにクラウドは眉根をよせる。
「他に理由が無いのか?」
「質問を質問で返さないでくれよ、きりがない」
試合中に何を言っているんだ。ここはそんな話をする場ではない。確実にクラウドは今の対戦相手に嫌気がさしてるのだとよくわかる。
この前の予選のといい、回転切り攻撃といい、普段の彼ならきっとやらないであろう事をするあたり何やら今の自分との試合は彼にとってやりにくいと見た。
「他に、理由なんて無いんだな」
必要以上に念を押すクラウド。もしここで自分がクラウドに何も言わなかったら、もう完全に戦う気が無いのだろう。
それぐらい今のクラウドには今すぐにでも『興味ないね』と言い試合放棄してしまいそうな気配さえうかがえる。
「……いっ、言えばいいんだな! 相棒の足手まといになりたくないから。これでいいだろ!」
少し赤くなってミッキーが言った。
これは確実に……本音だ。
「相棒が、目標か?」
「ちがう、そんなんじゃない」
「理由は何だ?」
「僕は高みなんて目指さない、だけど今の自分以上のことを望む。この大会で自分を試しているんだ」
これはまぎれもなくヒカリの本音。
自分自身で出来ない事があるから、出来るようになりたいっていつも思ってる。
大っ嫌いな事も、苦手な事も、興味の無い事も、こころの奥底ではすべていつかは出来るようになりたいって思っている。
だから、ここで自分を試しているんだ。
すべては、今の自分よりも強くなるために!
「オマエは、あの時のオマエじゃないな」
(ガツッ!)
「!」
気が付いた時、身体が吹っ飛んでいた。
あまりの素早い動きに、たった今、何が起こったのかわからない。
しかし、一つ。これだけは確実にわかった。
(これが、クラウドの答え……?)
ドサリ。と、ミッキーが倒れた。
たった一瞬の出来事だったのに。
今、全く身体が動かない。
「今のオマエは、弱い」
クラウドの言葉がミッキーに投げかけられた。
彼は出口へ歩き出そうときびすを返した。
「それは、完全に終わってから言ってくれよ」
「⁉」
クラウドのマントをつかんでいるミッキー。
満身創痍であるがその目はまだくぐもっていない。
(さっきの攻撃で動けなくしたはず?)
思考を巡らすクラウド。
ミッキーはクラウドに気づかれないように、
ゆっくりと、キーブレードを持ち上げかすれた声で言った。
「タイフーン・ブレード」
カツン、と金属を落としたように地面に澄んだ音が響きわたる。
「まさか!」
(ゴオオォオオ!)
クラウドの足下にならしたキーブレードの先からものすごい力の風圧が発生させられる!
「クッ!」
クラウドは竜巻とともに空へ舞い上がった。
風の音が空気を切り裂かんばかりに轟く。
「言っただろ……今度は気絶なんてしないって!」
しばらくしてようやく意識がハッキリしてきたのかミッキーは首を横に振りゆっくりと立ち上がる。
真上を見るとクラウドの身体が竜巻の渦に消えている。それでもミッキーはギンと竜巻の中を睨みつける。それに答えるようにクラウドは竜巻の中を飛び出した。
「やっぱり、ダメか!」
クラウドの離脱からすぐに竜巻が消える。
いいや、消えたんじゃない。
かき消された!
「……後悔は、するな」
上空でミッキーを眺めるクラウドはそうつぶやいて構えた。
上空でクラウドの身体が淡く輝く!
その輝きは曇り空から顔をのぞかせる。
稲妻か、それとも太陽か――。
『超究武神覇斬!』
ほぼ頭上から舞い降りるクラウドは確実にミッキーの回避距離を完全に捉えていた。
「やばっ……避けきれな――」
「ヒカリ!」
「!」
その声は、決して大きな声ではなかった。
でも、この声は確かにそこで聞こえたんだ。
そう。今、わかった――。
私は『一人で戦っている』わけじゃない。
『自分自信の高みを競う』なんて、そんなの気持ちの問題。今すぐにだって誰にでも出来る。
修行だって、練習だってできることをなぜ試合でやるの?
それよりも『ここで出来ること』あるでしょう?
歓声、野次、感嘆。そして声援。
私は今、応援してくれているみんなのために、戦っているんだ――。
それに、ここで終わって、
『魔法無しだったから負けた』
なんて言い訳はぜったいに言いたくない!
終わらせない。
(キイィィイン!)
すさまじくも澄んだ音が響き渡る!
この音が何から発せられた物なのかは観客の全てがほぼ一瞬ではわからなかった。
その光景を見るまでは。
それは、たった今、クラウドとミッキー。
ガチガチとぶつかりあう二人の武器。その間から二つの光が競い合うようにほとばしる。
「強いですね、クラウドさんは――」
「何を今更――」
低く、短く言ったミッキーはクラウドの言葉も聞かず一瞬でこの激しくも幻想的な力比べから離脱した。そして素早く自分の武器を構えクラウドに向けて高速移動で突き攻撃を浴びせる!
「ソニックレイヴ」
「!」
クラウドは輝く光とともに残像にしか見えないミッキーに自分の目を疑った。
目の前を行き来する光を受けて輝くミッキーの身体。その残像はクラウドの扱う極技のそれとも似つかわしい輝きだった。
「はっ、はぁ……」
連続攻撃の疲労感とともにミッキーの身体が輝きを失う。それに比べてミッキーの真後ろにいるクラウドは平然としていた。
「ミッキー、だったな名前」
「うん」
ミッキーはクラウドの平然とした声に敗北感を覚え、自分のこれ以上の戦闘はもう無理だと諦めた。
「その技、いつ覚えた?」
ミッキーは息を整えてからクラウドに言った
「クラウドの技を見て、受けて――。だからついさっきだ」
「そう、か――」
その言葉とともにガシャンと音がした。
ミッキーがその音に思わずビクッと身体を震わせる。しかし、一向に自分に向かって迫り来る気配がない。
「……クラウド?」
おそるおそる後ろを振り返るとほぼ同時に、クラウドの身体はぐらりと傾いた。
(ドサッ)
その光景を唖然として眺めるミッキー
「く、らうど、が……」
さっきまで平然としていたクラウド。
まだ、これからだと思っていた。
だけど、
だけど、だけど。
ナゼ?
その答えは、もう自分の中でたどり着いていた。
それは、緊張を解いてやっと気づいた。
さっきまで試合でずっと見ないでいた人々の歓声が自分に向かってイタいほど浴びせられていたのだから。
「クラウド、僕は一人で戦っているんじゃないん、だね?」
思わずクラウドのいる方向のそのずっと向こう、観客席のある一点を見つめた。
「自分のためじゃなくって、守りたい人のために強くなる――そうでしょ?」
ミッキーはロックブレードを天に掲げゆっくりと胸の方へ引き寄せた。
相棒がいるから頑張れる、ライバルがいるから越えられる。だから強くなるんだ。
「ありがとうクラウド、それと、ミッキー」
ミッキーはそう言って誇らしげに微笑んだ。
その笑顔は彼女本来の勝ち誇ったような笑顔ではなく、穏やかで優しく、そして威厳さえ満ち溢れるような。
まるで彼のような笑顔だった。
コロシアム出場。誰と戦いたい?
-
ソラ、ドナルド、グーフィ戦でコメディ回
-
クラウド戦でイケメンポジションを奪う
-
レオン、ユフィ戦で周囲を沸かす
-
ハデスの刺客で華麗にスルー(私はこれ
-
秩序維持のため無難に優勝どまり
-
ヘラクレスに挑んでスポンサーでチヤホヤ
-
王様の隣で見てる方が俺得