King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~仲間の力~

 

 目の前に居る二人の人物にソラは目を丸くした。

 そして思わず目をこする。

 

「ねえちゃんが、二人……」

 光の屈折? 超常現象? 目の錯覚?

 いいや、間違いない。

 今そこに居るのはまぎれも無く『二人』だ。

 

『ソラ!』

 

 ビクッ。

 二人のヒカリに怒鳴られるソラ。

 全く同じ言葉を発する姉達に、ソラは猫に睨まれたネズミのようにカチンと固まる。

 二人の姉は全く同じタイミングでこう言った。

 

『手出し無用!』

 

「は、はいぃ!」

 声が裏返るソラ。

 思わず、きおつけの状態で敬礼をする。

 

『それと、危ないから隠れてて!』

 

「イエス、ボス!」(どこの戦場だ)

 言わずもがな、全速力でこの場を離脱する!

「オレ、ドナルドとグーフィ―連れてくる!」

 姉が二人居るだけで、もはや安全地帯ではない事がソラは分かっていた。

 それに、なぜ今まで忘れていたのか考えるよりも先に、姉の周りにいると、きっと自分にとばっちりがやってくる事は長年の記憶から証明されている。

 

 逃げるようにソラが姿を消した後、ヒカリは目の前のヒカリに向き直る。

「さて……」

「お手並み……」

 

『拝見!』

 

 二人のヒカリが走り出した!

 

 

グーフィ―はドナルドを担いでコロシアム通路を進み出入口に向かっていた。担いでいると言ってもなぜか肩車している状態で、ときおり体制が崩れヨロヨロとした足取りでドナルドはとても心配だった。

「もうちょっとだよ~ドナルド」

「グワワ。ごめんグーフィ―」

「僕たち友達だろ。それにヒカリにはちゃんと謝ったから、もう誰も謝らなくてもいいよ」

「グーフィ―……」

 

『ケアル』

 声が聞こえ暖かな日差しのような輝きがドナルドに降り注ぐ。すると、ドナルドはさっきまで重かった身体が一気に軽くなる。

「あれ? グーフィ―、魔法なんか使えたの?」

「僕じゃないよ、ドナルド」

「だったら、誰?」

 

「大丈夫かい?」

 ドナルドを除き見る青年が一人。

「グワワァ!」

 目と鼻の先の人物に大げさに驚くドナルド。

 おもいきり飛び跳ねたせいでグーフィ―の肩から離れ、ばたりと地面に倒れる。

「ドナルド、大丈夫?」

「……今は、大丈夫じゃない」

「ははっ。回復魔法をかけたから、もう立てると思うよ」

 ケアルをかけた青年が笑いながらドナルドを助け起こす。

「ほ、ホントだ」

「はい、魔法使いの必需品、エーテルもあげるよ」

「わぉ! よかったねドナルド~助けてくれてありがとう。でもどうして?」

 見慣れない青年に二人は首をかしげる。無理もない、目の前の青年は『あえて姿を見せなかった』のだから。でも、今はそうも言ってられない。

「僕は君たちと一緒に居る相棒の女の子を迎えにきたんだ。これはほんのお礼だよ」

「ヒカリの相棒⁉ だったらいままでどうして一緒に居なかったの?」

 ドナルドが大げさに驚き、いぶかしげに青年に聞いた。

 

「ちょっと用があってね、それと準備に時間がかかったんだ」

「?」

 二人はさらに首をかしげる。

「とにかく、急ぐんだろ? 僕も一緒に行っていいかい?」

「おーい!」

 青年の声の後に続くようにソラがコロシアムの通路からやってきた

「ドナルド、グーフィ―よかった。あれ?この人、いったい誰?」

 

 

「そういえば、聞いてなかった~キミの名前は?」

 グーフィ―が青年に聞いた。

 彼はソラを見てなぜかフっと微笑み、三人に向かって言った。

「僕は、そうだな。言うなればこの前優勝したミッキーの師匠かな?」

 

 

(シャン)

 セプターの鍵の音が鳴り響いた。

 今まで気にもとめていなかったけど、知らないうちにどんどん増えているロックセプターの鍵。

 なんでいつの間に。

「バースト!」

「え⁉」

 ヒカリは信じられないとばかりに目を見開く。

 目の前のヒカリは魔法を使ったのだ!

 しかもこの魔法は、また目が見えなくなっちゃう!

 バーストの威力は前に自分が受けた事で何となく分かる。でも、それ以上に他の魔法は考えるだけでも恐ろしい。

「自分の魔法なのに、こんなにも怖いなんて」

 

目が見えなくなった時はまったく怖くなかった。なのにそのことを今思い出すとなぜか闇の魔女と戦った時よりも怖い。

 

「自分の事なのに……私は、何一つ分かっていないのか」

 思わずうつむき歯を食いしばる。

 その時、ヒカリの足下が真っ赤に変化した。

 

「これは……くっ!」

 プロミネンスバーストだ。

(ドムッ)

 飛び跳ねるように吹き出すいくつもの炎をジグザグに走り回避する。

「!」

 せっかくソラを追っ払ったのに、これじゃロックブレードに変える隙がないっ!

 魔法が使えたら、きっと互角になるはずなのに、いったいどうしたらいい?

(シャン)

「?」

 鍵のきらめきとともにふと何かが閃いた。

 

「そういえば、目の前の私は魔法を使っているんだよね? ってことは私、魔法が使えないわけじゃない?」

 

試合に優勝した時からもう禁止令は解かれているはずなんだ。でも、この石のせいで『魔法制限』がかかっている。ヒカリはペンダントの石を眺める。

 

 だったらやる事はもう分かってる。

 石を壊せばいいんだ!

 

「ヒカリ! 今、ミッキーが――」

「え?」

 ヒカリの動きが止まった。

 今、ソラの横に居るのって――。

(ゴオオォッ!)

「あっ!」

 ヒカリの姿が真っ白く染まった。

「ヒカリ!」

 真っ白い輝きに飲まれる。しばらくして輝きが消えヒカリはそのまま動かない。

「あの魔法はハートレス以外に当たると極度の輝きのせいで目が見えなくなってしまうんだ」

「そ、そんな魔法があるの⁉」

 ミッキーの言葉にドナルドがありえないとばかりに叫ぶ。

「だ、大丈夫なのか? あっヒカリ、危ない!」

「まって! こないで!」

ソラが目をつぶる方のヒカリに叫ぶと、彼女はそれを止めた。

(ガキン!)

 二のヒカリがセプターを交える中、一方のヒカリが叫んだ。

「私は大丈夫」

 もう片方のヒカリが言った。

「石が守ってくれたんだよ!」

「石が守ってくれたんだよ!」

 

 そう言って二人のヒカリは石が粉々に砕けたペンダントをソラ達に見せる。

「……」

 三人はなす術も無くヒカリに何も言えない。

 一瞬分かったが、今はもはやどちらが本物か分からない状態だ。

「ここまでウリフタツにするなんて……」

 ハートレスに感心するミッキー。彼だけがこの場の状況で冷静だった。

 

『そうか! 石が消えたって事は、やった~これで魔法が使える!』

 二人のヒカリはなおも同じ身振りをする。

『え、えと……あれ、あれれ?』

 セプターを振り上げゆっくりと振り下ろす。

「?」

 ソラ達は同じ動きをする目の前の二人のヒカリに疑問を抱く。

「もしかして……」(ソラ)

「ヒカリ……」(ドナルド)

「魔法、忘れちゃったの?」(グーフィ―)

 

『えっええ~~⁉』

 二人同時に頭を抱えて叫ぶ。

 

「もう、しょうがないなぁ~」

 ドナルドが杖を取り出して目の前のヒカリ×2に言った。

「一応お手本のつもりで見ててね」

『う、うん』

「ヒカリが僕たちに初めて魔法で攻撃してきた、サンダー!」

(バシュ!)

 

『ちょっと、それってあんまりです~』

 二人に睨まれたため迫力がある。

「だってヒカリの魔法、これしか見た事が無いし」

「もぅ……え、えい! サンダー」

 二人のヒカリがセプターを振り上げ唱える。

(ドン!)

 狙いが曖昧だったため観客席に雷が轟き半壊!

 ソラ、ドナルド、グーフィ―が口をあんぐりとあけて半壊した建造物を眺めた。

「もう! ヒカリの魔法ってかなりむちゃくちゃだっ!」

「ご、ごめん。え、ドナルド?」

 ドナルドが躊躇無く片方のヒカリの手をつかむ。

「ほら、集中して!」

「えっ? ちょ……なんで分かったの?」

 その質問にはミッキーが答えた。

「向こうのヒカリは左にロックセプターを持っているんだ」

 ソラとグーフィ―、そして当人のヒカリが驚く。

「ヒカリ、相手の事、今までずっと見てたのに分からなかったの?

 ドナルドがあきれたとばかりに言う。

「……」

 結局、気づいたのはドナルドとミッキーだけだったらしい。

 気恥ずかしげにヒカリはドナルドに手を握り返した。ドナルドは気をとりなおして解説する。

「とにかく! ただ魔法を繰り出す事を考えていてはいけない、キミの思っている魔法をイメージさせて……グワワ⁉」

 ヒカリがドナルドを勢いよく引っ張った。

 ドナルドの目の前に至近距離でバーストが通過する!

「危なかった……ドナルド、理屈よりも手っ取り早くいくよ!」

「……もう、なんでもいいや、いくぞ!」

「うん!」

 ロックセプターとドナルドの杖が交わる!

 杖と杖が重なった金属の音とロックセプターの鍵の音が響く。

 狙うは目の前に居るヒカリ!

「サンダガ!」

(ドオォン!)

二人の魔法使いが互いの雷を重ね合わせると一瞬あたりが暗くなり大きな光と音が一直線に通過!

対する偽ヒカリがサンダガを寸前で避け観客席へ飛ぶ。偽ヒカリが腕をのばすと壇上のあちこちからハートレスが出現した!

 

「やっと見わけがついた、いくぞ!」

 ソラが意気込む。

 ソラとグーフィ―、遠慮がちにミッキーも参戦。

 

 ソラはキーブレードで前線出撃。

 ドナルドは魔法で皆をサポート。

 グーフィ―は盾で仲間を守りながらの戦闘。

 ミッキーは以前ヒカリが使っていた棒を振るい、魔法を主体に使ったバランスの良い戦闘。

三人がハートレスと戦闘の最中、魔法が使えず戦いながらも一人戸惑うヒカリにグーフィ―がヒカリをかばいながら言った。

「ヒカリって魔法使いなのに剣士みたいな感じだよね」

 ズバリと言うグーフィ―にヒカリは驚く。

「ま、守られるよりも、守りたいから!」

 動揺を隠すようにグーフィ―の前に出てロックセプターをふるうヒカリ。

「だったら、先に突っ走って行くのはいけないよ、相手をよく見てから攻撃するんだ」

 標的を観察し、集中するヒカリ。

 ふいに横から迫り来るハートレスを防ぐグーフィ―にヒカリは頼もしく思う。

「相手を見る……」

 目を細め今度は標的を定めず回りのハートレスの気配をそれぞれ探るヒカリ。

 

 ふと、その動きが一点に集まった!

「あそこだ! グーフィ―、上に上げて!」

 グーフィ―がヒカリを持ち上げる。

「ホイ!」

 ヒカリはグーフィ―の盾に足を乗せてそれを蹴った。観客席に居る偽物のヒカリよりも高く飛ぶ!

「フリーズ!」

 ヒカリのまわりに薄い氷がまといヒカリの身体が氷の球体に包まれる。周囲の、特に上空の大気も同時に凍りつき氷が鋭く、大きくなる。

「ロックアイス!」

 ヒカリが唱えると氷の塊が雹となって落下。落下速度とともに氷の刃が鋭く研ぎ澄まされる。

(ガシャァン!)

降り注ぐ氷の刃!

 さらに最後には大きな氷が出現!

 地面に叩き付けられ粉々になるとあたりのハートレスがダイヤモンドダストとともに消え失せた!

 

「アヒョ! やったね、ヒカリ!」

「グワワ……」

 手を叩いて喜ぶグーフィ―。横ではもう少しで巻き込まれそうになったドナルドがヒカリのめちゃくちゃな魔法に何も言えなくなる。

 

 ハートレスはまだ点在している。

「オレ、ファイアなら得意だよ!」

 ヒカリの後ろからソラが飛び出してきて得意げに言った。

「そう、それじゃ、いきますか!」

 気分が乗ってきたのか、不敵な笑みでロックセプターを振り回すヒカリ。ソラもキーブレードを同様に振り回す。

『ファイア!』

 同時に唱える二人!

(ドウッ!)

 炎が二人をまとい回りのハートレスが一掃した!

 

「ね、ねえちゃん……今のファイアというか、ファイアーウォールじゃね?」

「うん☆ ファイア思い出した! 私のは範囲魔法なのよ~」

「え、ええ~~っ」

 なにかの間違いだと言わんばかりに叫ぶソラにヒカリはあさっての方向へ爽やかな表情を向けて言った。

「危ない姉ちゃん!」

 ヒカリの真後ろからハートレスが襲いかかる。

「ファイア!」

 ソラが叫ぶ。

 後ろを振り返ったヒカリは目の前のハートレスに驚き……。

「バリア!」

 ヒカリとソラが球体に覆われハートレスとソラのファイアを跳ね返した!

「なんで、オレも?」

「守りの魔法は、自分だけじゃなく仲間も助けないといけないでしょ?」

 

 実を言うと自分の髪が燃える事を心配して……なんて、ソラには言えなかった。

 

「も、もういいよ! 俺あっち行く」

ソラが姉の魔法にビビり残りのハートレスへと向かっていった。

他にもハートレスはまだ点在している。

「僕の得意な魔法、言ってなかったね」

 選手交代とばかりにミッキーがヒカリのそばに来て言った。彼は以前ヒカリが使っていた棒を見事な手さばきで振り回している。

「ミッキーの魔法?」

「うん、それはキミが初めて覚えた光の魔法の応用『ホーリー』さ」

「ホーリーって……もしかして⁉」

 聞き覚えのある単語にヒカリは流石にこの状況では発動させるのは困難だと思っていた。

 

「いくよ、ヒカリ!」

 

 ミッキーが言ったときには考えるよりも早く自分の体が動いていた。

 

二人が同時にあの呪文を唱えた!

 

『ホーリーバースト!』

 

 

 

あたりの地面が輝き、魔法陣が現れる。あたりどころではない。コロシアムの試合の盤上すべてが輝き一瞬、真っ白に視界が塗りつぶされた!

 それでも、どこかヒカリのバーストとは違うやさしい光で、この一瞬の魔法の間だけで強さとはどういったものなのか考えさせられた。

 

「すごい……」

 ヒカリがいろんなことを考え、思わず声を出したちょうどその時、ミッキーがグラリとよろけた。

「だ、大丈夫⁉」

「ちょっと慣れない事したな、魔法を使い過ぎたみたいだ」

 そんな、ミッキーが疲れてるなんて見たことがない、どうしたら――。

 

 ハートレスが一掃されたコロシアムには、高みの見物をしていた偽のヒカリが動き出した!

 

(ボムッ!)

 

 ヒカリたちの戦う壇上に降り立つと同時に煙が立ち込める!

「また、誰かに変身した!」

 ひざまずくミッキーとヒカリの前にかばうように飛び出したソラがコピーハートレスに身構える。

 

 今度はいったい誰に――。

 

 煙が晴れると。

「あ、あれ?」

 ソラの目の前には誰もいなかった。

 あたりを見渡しても、誰もいない。

「なんだ~どこにもいない……」

 ソラがヒカリに振り返ると、

 青年が二人。

「い、いたぁ~~」

 びっくりしたソラは思わず二人のミッキーから数メートル距離をとる。

 

隣のヒカリは動かなかった。

 

 ミッキーが二人。

 そっくりとかそういう問題じゃない。さっきまで戦っていた自分自身のようにまったくのうり二つ。油断するとまた逃げられる。

 声をかけようにも三人がいる中で『彼の名』を呼ぶことが出来ない。口を開いては閉じるそんなヒカリを察してか、ミッキーが口を開いた。

 

『ヒカリ落ち着くんだ』

「で、でも――分からないよ!」

 まったく同じ姿の彼。

 今まで一緒だったけれど、まだミッキーの事、知らないことがいっぱいある。

『キミの強さは魔法だけじゃない』

 ゆっくりと同時に言う二人のミッキー。

「どう言う意味?」

 二人が同時に声を発するたび、ヒカリにはミッキーの姿、発する言葉、どれをとってもウソか本当か分からなくなってしまう。

 ミッキーは真っ直ぐにヒカリを見て言った。

 

『それは、信じる気持ちだ』

 

 全く同時に言う二人に戸惑うヒカリ。

 微笑んでうなずくミッキー。やはり仕草もまったく同じタイミングだ。

 でもニセモノがまぎれていても、その言葉を言ったミッキーはまぎれもなく本物だって思った。

「……いくよミッキー」

「え、ちょっと姉ちゃん!」

「だまって、もう決めたんだから」

後ろでソラがヒカリを制するがヒカリはもう決心していた。

「グーフィ―がさっき言ってたもん。こういう時があったら遠慮なく叩いてイイって!」

「なんて事言うんだよグーフィ―!」

ドナルドがグーフィ―に向かって叫ぶ。

「僕だったらそうしてって言ったんだよ?」

「あのなぁ~姉ちゃんの本気知らないだろ?」

のんきなグーフィ―にソラが体験談を語りだそうとしたのでヒカリは躊躇なく叫んだ。

 

「バースト!」

 杖が輝く。

 杖の先端から輝きが集まり次第に光の球体が大きくなる。

 しかし、このあとヒカリは、

 それを打たなかった。

「ショット!」

 勢いよく光の球体が素早く真っ直ぐに放たれた!

「撃った……って⁉」

 ソラが目を見張る。

 瞬速で駆け抜けた光は見えない速さで分裂し二人のミッキーの体を貫いた。

「ええっ? ちょっと待てよ!」

 ソラの制止も聞かずに光の光線がミッキーの胸に吸い込まれる!

 

「何してんだよ、姉ちゃん!」

 思わず叫ぶソラ。

「ねぇ? ちょっと待ってソラ、あの魔法はヒカリに当たっても何も起きなかったんだよ?」

 グーフィ―がソラを制した。

「でも……」

「なんだか前となにか魔法が変わっているよ?」

 ドナルドも珍しく冷静だ。

「な、なぁ説明してくれよ姉……」

「三人ともうるさい、だまってて!」

 ヒカリの怒声で三人は口をつぐんだ。

 

 その時ミッキーに変化があった。

「……?」

 一方のミッキーはきょろきょろ自分の体を眺めるが何も起きない。

 

「わかった! 偽物はアナタね!」

 ロックセプターを構えヒカリが叫ぶ。対してソラ、ドナルド、グーフィ―は訳がわからない。

 ロックセプターの向けた先にいるのは、

 右のミッキー。

「キミには……かなわないよ、ヒカリ」

 にっこりと笑いかけるミッキーが真っ白く輝く。

 そして息つくまもなく消え、その下には探し物が見つかった。

 

 ヒカリは消えたミッキーから優勝トロフィーを拾い上げる。

「?」

 トロフィーの中に何かが納まっていた。

「お見事。よく僕がわかったね」

「グワ! やったねヒカリ!」

「俺たちの大勝利!」

「……どうしたのヒカリ?」

 グーフィ―の声に皆はヒカリを見る。

 

「いくら偽物だって、仲間を失う事ってつらい」

 

 皆に背を向けぽつりと言ったヒカリの声にソラ、ドナルド、グーフィ―は複雑そうにお互いを見た。

 

「何言ってるんだい? ヒカリ」

 ミッキーがヒカリの肩にポンと手を乗せる。

「……ミッキー」

『ミッキー?』

三人の声が重なり、ヒカリと目の前の彼を交互に見た。

「あっ……」

 しまったとばかりにヒカリが言葉を飲み込むが手遅れだった。

「この人はミッキーの師匠なんでしょ?」

「えと……う、うん、そうだった師匠!」

 必死すぎてまるで弟子入りしたての門下生のように叫ぶヒカリ。

 

「そう言えばミッキーはどこに行ったんだろ?」

 ドナルドがあたりを見渡す。

(ナイス、ドナルド!)

 心の中でヒカリが叫んだ。

「結局姿が見えないね~」

「自分のトロフィー無くすなんて意外に間抜けなんだな、ミッキーって♪」

(ピキッ)

 ヒカリの頭に青筋が立った。手が思わず硬くこぶしを作る。

「た、多分……まだこのトロフィーを探しているんだよ」

 ミッキー師匠(笑)が、ヒカリをなだめるように何気なくこぶしを作った手を両手でやさしく掴む。

 

 その時、ヒカリはある事を思い出した。

「まぁ、ミッキーには後で私からソラ達がトロフィー取り返してくれたことは言っておくね!」

「おう! ところで姉ちゃ……」

「とにかく大勝利~っ☆」

 ソラの言葉を無視してヒカリが満面の笑みでロックセプターを振り回す!

 ミッキーだけが彼女の含みのある笑みを見落とさなかった。

 

「え~い☆」

 

 ロックセプターを空高く放る!

 大空に勢い良く弧を描く杖。

 落下するにもかかわらずその回転はとどまることを知らない。

 

そして。

その、真下に居たのは――。

 

 

「じゃーね。ソラ、ドナルド、グーフィ―!」

 ヒカリが満面の笑みで三人に勢いよく手を振る。

 

「めちゃくちゃな魔法は控えてよ!」

「ミッキーによろしくね~」

「次はもっと強くなって帰ってくるからってな!」

 

二人が見えなくなってからドナルドがふとソラに言った。

「ねぇソラ、ハートレスと戦っていた時、ヒカリの事『姉ちゃん』って言ってたよね?」

「ん……俺、ヒカリにそんなこと言ったか?」

「変なソラ。さっきまでヒカリに言ってたのに」

 ドナルドに茶化されながらソラは思い出そうと試みる。しかし、記憶の中ヒカリの戦闘がすごかった事しか覚えていない。

ヒカリの事をどう思っていたかなんて、忘れた。

「そうだった?」

「うん、でも、見ていてなんだか仲良くなって良かったね」

「ソラが姉ちゃんって、言ってたような気が――」

「何いってんだよ、ドナルド。いくら親しくても、俺がヒカリにそんなこと言うわけないだろ?」

「それもそうだね、聞き間違いかもよ、ドナルド」

「グワ……まぁ、いっか」

 

 ソラはさっきまで居た二人を思い出す。

「ヒカリ、かぁ~。コロシアムの試合に居たら良かったのになぁ」

 もし、ヒカリが相手だったら――。

「!」

 思わずヒカリがミッキーの姿とかぶる。

 

 

「なんていう事だ⁉ 観客席が半壊だ!」

 

「グワワッ⁉」

「やばっ!」

「アッヒョ~」

フィルの声に三人は弾かれたようにコロシアムを逃げ出した。

 

 




 2回目とはいえハンデありのコロシアム出場回でした。
 グーフィとの連携技KH3にあったの驚きました。これ書いてるのその前だったのです。ありがちな技なので実際見られて嬉しかった。武器に乗って飛び上がるみたいに普段は無理だけどできそうだよなって技考えるの楽しい。
 主人公さんの初期アビリティは攻撃後後ろに回って相手を吹っ飛ばす!ですからね。3人との優勝決定戦のフィニッシュがまさかの拍子抜けは目を瞑ってください。

 ここだけの話、冥界の王様はもしかしたら「……やるじゃないか。あのお嬢ちゃん」って言ってくれそう。残念ながらこのお話では出てきません。執筆中のKH2では是非ともご対面したいです。

コロシアム出場。誰と戦いたい?

  • ソラ、ドナルド、グーフィ戦でコメディ回
  • クラウド戦でイケメンポジションを奪う
  • レオン、ユフィ戦で周囲を沸かす
  • ハデスの刺客で華麗にスルー(私はこれ
  • 秩序維持のため無難に優勝どまり
  • ヘラクレスに挑んでスポンサーでチヤホヤ
  • 王様の隣で見てる方が俺得
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