King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~プリンセスの癒し~

 

「ここのハートレスは弱い方ね!」

 マレフィセントがいままでこの国に手を出さなかったことがウソのようだ。もしかしてこの星には何かの力があるのだろうか?

 城にいるハートレスのほとんどを凪ぎ払い、ついに目的の部屋に着いた。

(バンッ!)

 部屋の中にいるハートレスをほぼ一瞬で倒す。ロックセプターを構え影から現れるハートレスを見据えた。

「ブライア……じゃなくてオーロラ姫。下がっていてください!」

「あなたは?」

 金髪巻き毛、青いドレスの美女が口を開いた。

「ヒカリです!」

 誇らしげにヒカリが名乗った。

「あなたがヒカリね。三人の言っていた戦うメイドさんって!」

「ええ、まぁ……」

 戦うメイドさんって……そうか、もしかしてこのメイド服はオーロラ姫への目印だったのね。

 なごやかな空気が通り過ぎた後、辺りを見回すとハートレスに囲まれていた。

「囲まれたわ! こんなに沢山……」

「いいえ、大丈夫です」

「でも、あなた一人ではとても……?」

いきなりオーロラ姫に向かって優雅に一礼するヒカリ。

 

「なぜなら、私は姫を守るために参上した……」

 言葉の途中でヒカリに一気に群がるハートレス。

 しかし、彼女は動揺する事無くセプターを回し続ける。

 

「魔法使いだからです!」

 

 ヒュッと空を切るロックセプターの音とともに真っ白い光が輝き、一気に魔方陣が描き出された。

 

「ホーリーバースト!」

 

 ヒカリが魔法を発動させると部屋中がまばゆい輝きを放つ。数秒後、輝きが完全に消えてなくなると、さっきまで沢山部屋中にひしめき合っていたハートレスが一気に消えていた。

 

「私が姫を守ります!」

 輝きの消えた魔法陣の上でメイド姿の魔法使いはオーロラ姫に振り返った。

「まぁ! 強くて魔法も使えるのね、心強いわ!」

「お褒めの言葉、光栄です☆」

 姫君からの羨望の眼差しによってメイド口調で少し乗り気になるヒカリ。なんだかオーロラ姫の表情が始めより明るくなったような気がする。

 しかし、まだ終わりではない。暖炉の奥からハートレスが止めどなく現れる。

 

「ここは私が引きとめます、オーロラ姫は三人と一緒に安全なところに逃げてください!」

「でも、あなたは?」

 ふと、足下を見ると、姫の影から――。

 シャドウが飛び出して来た!

 

「ローズ、危ないっ!」

 

 ヒカリはセプターを振った。無意識に呪文を唱える事無くショットが発動。真っ直ぐに放たれる光線がオーロラ姫に襲いかかろうとしたハートレスに寸分狂いも無く当たった!

「ショット……我ながら、使えるわね」

 ファイアのように髪が燃える事も無し、バーストのように目が見えなくなってしまう恐れもない。

 これで誰もがこの魔法を使えたら今までの数々の悲劇が解消できるのに。そんな別の事を考えていた矢先。

「なんで私の名前を?」

「え? あっ」

 思わず名前を言い間違えたヒカリ。

「ごめんなさい……その、三人がローズって言ってたからついね」

 彼女は今やブライア・ローズではない『オーロラ姫』だ。しかも姫には生まれた時からフィアンセがいる。さっき三人から聞いたが今の彼女には森で出逢った名の知らない彼とは釣り合わない。

 

(そうだった、オーロラ姫が元気ないのって森であった男の人に恋していたからだっけ)

 

 プリンセスって大変だな。

 あれ? なんか同じような事を悩んでいた人がさっきあったような?

 ヒカリが悩んでいるうちに三人の妖精がやってきた。

「オーロラ姫! 大丈夫?」

 メリーウェザーが大きくなる。

「私たちが来たからにはもう大丈夫!」

 フローラが後ろから続く。

「さぁ行きましょ……あそこの窓をみて!」

 最後にフォーナが、叫んだ。

 フォーナが見つけたのはマレフィセントのカラスだ。気が付かれて窓から飛び立った。

「どうしましょう、マレフィセントはきっと何か企んでいるわ」

「こうなったら、私の出番ね! 私がマレフィセントをくい止めるわ!」

 そう言ってヒカリはメイド服を脱ぎ捨てた。フリルのついた帽子を取ると赤いリボンが現れた。

 彼女の強気なシンボルだ。

「あとはおねがいね、ヒカリ」

「私たちの事は心配しなくてもいいわ」

「くれぐれも気をつけてね」

 フローラ、フォーナそしてメリーウェザーがヒカリに声援を送る。

「さ、オーロラは私たちと……」

 三人の妖精に誘導される前にオーロラ姫は、

「ちょっと、まって」

 そう言ってヒカリに駆け寄る。

「ありがとう。くれぐれも気をつけてね、ヒカリ」

「はいっ!」

 オーロラ姫に名前を呼ばれて嬉しくなるヒカリ。

 大魔法を使ったあとの重くなった集中力(MP不足によるものだろう)もどこかへ消えていった!

(究極の癒しって、こういうものなんだろうな)

 笑みを浮かべ、ヒカリは勢い良く駆け出した。

 

 

 魔法が使えなかった時はもうこのまま自分は魔法の使い方を忘れてしまうのかと心配だった。

 でも、その心配はなかった。

 それもこれも、この前のコロシアムから自分が確実に強くなっているからだろう。

 前までの自分と今の自分、同じだけど違うこと。変わる事が怖いって思ってた。

 でも、そんな事、もう言ってられない。

 早く強くなってリクとカイリを追いたい。

 その前に先回りして、とにかくソラ達に追いつきたい。

 そのためにも一刻も早く終わらせたい。

 

立ち止まれない。

ミッキーが待ってる。

 

 城の城門まで行くといきなり城門を取り囲むように茨が現れた。

「いったい何?」

 茨は花が一輪も無く枯れ果てているように真っ黒だ。棘が鋭く門の入り口を塗りつぶすように絡み合う。

「このっ!」

 ヒカリがファイアを使うが全く歯が立たない!

「もしかして、ハートレス⁉」

 しかもこれは大物と見た。

「ここまで来ると戦わなくっちゃいけないわね!」

ヒカリが改めてセプターを構え直し茨の群がる門を見据えた。

 

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