King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~小さな味方~

 

 マレフィセントからオーロラ姫を守るため、ヒカリはマレフィセントのカラスを追いかけていた。

 カラスは急降下、ヒカリは城の階段を下る。

 

「飛べるって卑怯じゃない!」

 窓から乗り出してカラスに叫ぶヒカリ。

 カラスはヒカリを挑発するように一声叫び城門に降り立った。

「くぅ~そこで待ってなさいよ!」

 やっとの事でヒカリは城の城門までたどり着く。

 カラスがヒカリを見据え一声鳴くと城の城門からいくつもの茨が生え出してきた!

 真っ黒なカラスはそのまま森を目指している。

「ええっ、ちょっと~」

 茨が巨大化し、ヒカリを襲う!

「もしかして、ハートレス!」

 しかもこれは大物と見た。

「ファイア!」

 ヒカリが唱えると、地面が赤く輝き炎が吹き出す。漆黒の茨は一時、灰となったがその場から消える事が無い。

 どうやらそう簡単には進めないようだ。

「やっぱり、ここまで来ると戦わなくっちゃいけないわね」

 ヒカリが改めてロックセプターを構え直し茨の群がる門を見据えた。

「……しまった、囲まれた!」

 気がつくと城の庭いっぱいに茨が生い茂っていた。いつも城門を守っているであろう門番の声がむこうで聞こえる。どうやら茨のせいで閉め出されたのだろう。

 今、その前にいるのはヒカリのみ。まわりは茨、障害物も何も無い。これはうかつには動けない

 完全に茨が城門を占拠すると、大きな城門の頂点に大きなつぼみが現れた。

「やっぱり、ハートレスだったわね!」

 完全に姿を現したハートレス。

 真っ赤なバラが不気味にヒカリを見据える。突如現れた真っ赤な巨大バラに城の窓から顔をのぞかせる人々。

 一人の少女に皆が注目する。

「見られているわね」

ヒカリが言ってるのは城の人たちではない。

マレフィセント。

 おそらくリクも、ヒカリを試しているのだろう。

「フッ……いいわ、受けてやろうじゃない!」

不敵に微笑むヒカリ。

 

 こうなったらもう成り行き!

 コロシアムでの経験を生かすにはうってつけのギャラリーの中、ヒカリは武器をロックブレードへ。

 

 

 リクは映し出されるヒカリを見ている。ヒカリの武器がロック・イン・ロックブレードに変わると眉をひそめた。

「あの子の武器が気になるのかい?」

リクは何も言わない。

「大丈夫さ、キーブレードのようには見えるだろうが、あの武器はあらゆる鍵を開ける事も出来ないし世界の鍵穴を閉める力も何も無い」

「……」

「あの武器はただのお飾りさ」

「……」

「ただ、気になるのは魔法の方。あの子自身の力なのか、それとも別の何かか……私は知りたいのさ」

 光の魔法を使い、同時に闇の魔法を扱ったあの小娘。世界を支配するとともに全ての魔法に打ち勝つ法を手にする。それがマレフィセントの狙いだ。

 今までヒカリをじっと見てたリクが彼女に背を向けた。

「見ないのかい?」

「この隙にプリンセスを連れて行く」

「そうかい、お前なら大丈夫だね」

「約束だろ。カイリを見つけ出してくれるって」

 

「ああ、そうだともリク。私は『約束を守る魔女』だからね」

 マレフィセントは妖艶に笑みリクを見送った

 

 

「……これじゃきりがない!」

 何度もファイアーブレードで茨を叩くが、炎を上げても茨は頑丈で倒すことが出来ない。

「!」

 茨ハートレスがヒカリの足元から這い出してきてヒカリを吊るし上げた。

「しまったっ!」

 宙に吊るし上げられ逆さまになるヒカリ。

「うわわっ~」

上下左右に揺られる体に混乱する。

 

 そこに、迫りくる何かの気配!

 

「ヒカリさんっ!」

 声が聞こえると共に体の自由が利いた。

「ウインドブレード!」

 重力に向かって落下する自分に風の力を発動させる。ブレードの先からつむじ風が発生し地面スレスレで落下の衝撃を還元した。

「?」

 突如声をかけられたヒカリはあたりをぐるりと見渡す助けてくれたのは城にいる人ではないようだ。

 

「いったい誰が――?」

右、左、そして上を見渡す。

「なっ……ななっ、ナニ?」

 

 驚きが隠せないヒカリ。

 鳥? いやまて、ちがう!

 

 空から――長耳?

 

(シュタッ!)

 ヒカリの目の前に舞い降りた人影。

長い耳、ヒカリよりも小柄な体型。

さらには銀色に輝く武器。

 

「マフ・リスト。加勢しに参りましたっ!」

 突如現れた正義の味方に城の人々から歓声が上がる。ヒカリは同じぐらい叫んだ。

「ま、マフ~~⁉ どうしてここに?」

 私の知っている人物なんてここに居ないはず。

「すいませんっ! ヒカリさん一人では心配でしたのでカレイドスターに密航しました!」

 頭を下げるマフ。長耳帽子が気弱そうにフワリと垂れる。

すると、マフの背後から茨が!

 ヒカリはロックブレードで茨を払いのける。

「何でもいいや、助かった! マフありがとう」

「はいっ!」

 




 マレフィセントの『約束を守る魔女』発言。ヴィランが何言ってるんだよ。と思った方。ここはマレフィセントの16年前にかけた『糸車の呪い』を思い出してみてください。
 言ったことは必ず成し遂げる魔女という意味合いで使っています。ゲームのムービー発現にはありませんが、あえて言わせてみたかったところでした。
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