King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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 召喚魔法、好きです。演出が長ければ長いほど好き。


~使う者、使われる物~

 ついさっきまでのことを思い起こしてみる。

「ええと、マーリン様から試験の合格もらって、上機嫌で地下水道からざぶざぶ戻ってきて、いつもハートレスが出現している二番街の広間で戦って……いいや、もしかしたらマーリン様の試験の前におっことしてきたのかな?」

 ヒカリの心は穏やかではなかった。とにかくこの気持ちを代弁するすべもないくらいに焦っていた。

「どこに行っちゃったの~~バンビ‼」

 トラヴァースタウンは無情にも、いつもと変わらずの静かで穏やかな町並み。

「……って召還石に呼びかけても返事は無いんだよね。石のまんまでも返事とか出来たらいいのに~」

 遠隔召還が出来たらどんなに便利だろうか。

 

「こうなったら!」

 ヒカリが取り出したのはあと二つの召還石。

「お願い、力を貸して!」

 水色に輝く石をロックセプターのロケットの中におさめ杖を勢い良く大きく振り上げた!

 セプターが輝き、ヒカリにスポットライトが当てられた。その中、いつの間にか黄色い帽子をかぶっているヒカリ。どこからかドラムの音がする。

 ヒカリが帽子をとって一礼しセプターを背後に突きつけた。シンバルが鳴り響く!

 ヒカリが黄色い帽子を放り投げるとスポットライトがヒカリの背後に移動し帽子が誰かの頭に。

 耳の大きな像――ダンボが現れた!

 

「お次ぎは、あんたに頼む!」

 ロックセプターのロケットに赤く輝く石を勢い良くぶち込む!

 カシャンと音を立ててセプターを左右にヌンチャクのように左右に振り回すヒカリ。

 フィニッシュとばかりに杖を振り上げる直前。

 ヒカリはロックセプターを取り落とした!

 驚愕のあまり待ってとばかりに杖に向かって手を振り上げるがロケットから真っ赤な炎が現れセプターが虚空を飛行。

 ヒカリに向かって赤く輝くセプターがせまるが反射神経で見事にキャッチ!

 得意げに振り上げると、真っ赤なトカゲ……ではなく自称竜神ムーシューがこれまた得意げに参上!

 

「なんだよヒカリ~しばらく用がないからてっきり忘れちまったのかと思ったぜ~」

 皮肉っぽくムーシューがヒカリにぼやく。

 ダンボはまったくの逆で召還してくれたことが嬉しいようだ。

「ごめん。それよりも聞いてちょうだい! あのね、バンビが――」

 

 

「二つの召還を同時に成功させるなんて!」

 立体映像に映し出されたヒカリと召還獣達。

たった今のヒカリの召還を見ていた黒い影。

 影は三人居た。

「あの娘は何か特別な力を持っているのだろうね」

 一人はマレフィセント。今回はリクが居ない。

「あの力は道具なのか。それとも、あの小娘自身なのか見当がつかないが……」

 狡猾そうな男の声が聞こえた。

「私はあの杖の方だと思うね! キーブレードに似ている」

 今度は傲慢な女性の声が聞こえた。

「いいや、あの小娘自身が何かの力を持っていなければ杖自体使いこなすことは不可能」

「ずいぶんと小娘を過信するんだね、ジャファー」

 マレフィセントの声が金色の蛇の杖を持つ魔法使いに聞いた。

「あの小娘の魔法が非常に気になるだけだ」

 狡猾そうな男、ジャファーが楽しそうに答えた。召喚魔法に興味があるようだ。

「ああそうですか。あんたは勉強熱心なこったね!私はむしろ杖のほうが気に入ったよ。強力そうだ」

 傲慢な女性、アースラが陰気そうな魔法使いを見下すように吐き捨てた。

「道具とは、本来使う者が真の使い道を果たさなければ何も意味が無い」

 皮肉っぽくジャファーがアースラに言う。

「なんだい? 私は相手の能力も自分のモノにできる魔法を使えるんだよ? 問題ないさ」

 アースラは自分の力が完璧だと得意げだった。

「あの少年の持つキーブレードのように、使い方さえ分かれば、使いこなせる物でもないのですよ」

 マレフィセントがどちらとも肯定しない発言をすると二人は黙った。

「しかし、マレフィセントよ。私は『使う者』は、限られているのだと思うのだ」

「どこへ行くのです、ジャファー」

「気になるものは目を離したくないものでね」

 

 

「つまり、バンビを探せってことだよな?」

 ムーシューがヒカリに聞き返す。

「そう、探してちょうだい!」

「ハァ~せっかくオレ様の華麗な攻撃を披露できると思ったのによぅ」

 ムーシューはなんだか久々の出陣に不満を持っているようだ。一方ダンボは虚空を低空飛行して一生懸命探している。

「それよりもヒカリ。なんでまたこんな事になっちまったんだよ。王様と探せばいいじゃねーか」

「出来たらそうしたいけど、それはぜぇ~ったいダメなの。だいたいの事は話したんだからほら、とにかく探す!」

 トラヴァースタウンを探しまわるヒカリ達。

「ねぇムーシューなんかいい方法無いの?」

「俺たちはヒカリに呼ばれるまで自力でこの場所にはこれないんだぜ」

「そんなの知ってるよ! 必要な時しか呼んでないもん」

「だ・か・ら、この場所なんてまったく知らねえんだよ!」

 ムーシューが後ろから炎を出してヒカリに凄んでみせた。

「だぁ~かぁ~ら~なんか感じられないの? 召還石の力とか!」

 ヒカリも負けじと凄む。

「そんなん分かるか! オレは魔法使いの爺さんじゃないんだよ!」

「役立たず!」

「あ、役立たず言ったな! こっちとら好きで呼ばれたんじゃないんだからな!」

 なんだかイライラしてる二人。

「いいわよ、もう探さなくって結構! 元々私が悪いんだから私だけでなんとかするわよ!」

「ああそうだとも、そうしてくれ!」

 そっぽを向く二人にダンボはオロオロ。

 敵を倒しながらくまなく探しまわっていたため、ハートレスが一掃された街中は静まり返っている。

「なんでこんな小娘のお守り、王様から頼まれちまったんかね~」

 ムーシューが声を大にして後ろの人物に言った。

「いつも私が突っ走って、みんなのことそっちのけで気がついたら居なくなってるなんて――」

 さっきのムーシューよりも小さめの声が後ろから聞こえる。

 ムーシューはイライラしながら足を踏み鳴らす。

「いまだから、後悔してる」

 

 カツカツ。

「いや、今さららだけど後悔してる」

 

 カツカツカツ。

「だから、あきらめたくないの」

 

 カツカツ、カ……。

 足が止まった。ヒカリがムーシューの正面にやって来たのだ。

 

「お願いムーシュー、私の力になってほしいの」

 ヒカリの顔は決心のついた揺るぎないものだった。小さな守り神は顔を反らそうとするが、じっと見つめ、ねばるヒカリ。

 いろいろと考えをめらした守り神は――。

「あ~~わかったよ! 久々に呼んでくれたんだ、こうなったらとことん付き合うぜ、ヒカリ!」

「ありがとう! さっすが守り神!」

 ヒカリはムーシューに抱きつく。

「いやぁ~モテる男って照れるねぇ」

 得意げにそう言うとヒカリの腕から飛び上がる。

 

「じゃ、オレ様の本気、とくと見てろよ~」

 ムーシューの身体は業火のごとく飛び上がり赤い流れ星のように一瞬で消え去った。

 

 赤い流れ星を唖然と眺めるヒカリ。

「ムーシュー。いざと言う時、頼りになるよねダンボ!」

 ダンボに嬉しそうな顔を向けてヒカリが言った。

 じつは、炎はただの演出で、張り切って真っ赤になってみたものの、ちゃっかりダンボの帽子の中にムーシューが居るなんて事はダンボのみぞ知る。

 

 

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