King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
飛ばして読むもよし。逆に飛ばしたいけれど章内容を少しだけ把握したい時に読んでみてください。実際そのための短編で作りましたので好きなワールドから読んでくれて構いません。
デスティニーアイランド 短編
Another01~death+match!!~
強い日差しと波の音。青い海と白い砂浜。
どれも相変わらずだ。
海の天気は変わりやすいと何処かの誰かが言ってたことなどお構いなしに、ここデスティニーアイランドの天候は相変わらず、うんざりするくらいの晴天。
南国独特の蒸し暑い風が自分に追い討ちをかけるように吹いてきた。
北に行けばきっとココよりも涼しくて、サファイアブルーの海の代わりに一面スノウホワイトの世界が見られると言うのに。
一度でいいから、この場所に雪よ、積れ!
「ヒカリ! おれと勝負っス!」
ありえない超常現象を願うヒカリの横からティーダが割り込んできてヒカリの頭の中から雪の幻が消え失せた。
「やだ、サラサ貝探してるんだからあっちいってよ」
ヒカリはこの場しのぎに言い捨てる。
「くぅ~。いつも言ってるんだから今日くらい、いいじゃないっすか~」
「私は、そんな事している場合じゃないの」
ヒカリはティーダに背を向け歩き出した。
「リクとならいいんすか? 俺とじゃなくて……」
足が止まった。ヒカリはティーダを振り返る。
「じゃあ、なんで私なんかとなのよさ? カイリにも言ってみれば?」
純粋にサラサ貝を選抜しているカイリにはココの会話は聞こえていない。
「カイリは別っス、ヒカリの戦い方が見たいっス!」
「ところでティーダ、私と戦ったことあったっけ?」
「ないっすよー。だから是非お手合わせを!」
「なら、なおさらダメね」
「なぜっす?」
「これでも私、リクより強いんだからっ!」
「じ、じゃあ――」
「なんやヒカリ、ティーダと勝負するん?」
ヒカリとティーダの間にどこからともなくセルフィーが割り込んできた。
「そ、それは……」
「そうっす!」
「ちょっとティーダ! 私まだ――」
「みんなーティーダがヒカリと勝負するんやて」
セルフィーの行動は素早かった。そしてギャラリーの反応はそれよりも遥かに早い。
カイリは貝を投げ捨て(おい)
ワッカはソラとの勝負をボイコット(ゆえにソラも観戦)
リクだけはこちらには来なかったが……よく見ると、とても気になっているようだ。(笑)
「あの~私がいつ勝負するって言いましたか?」
呆れ顔でヒカリはギャラリーたちにつぶやく。
「そんじゃ、勝負ッス! ヒカリ」
ティーダが愛用の棒を振り回す。パシッと軽い音がしてティーダは構えた。
「……あのさ。私、武器持ってないんだけど?」
低く、緊張した様子でヒカリが言う。
「問答無用!」
言うがいなやヒカリに向かって走り出す!
「ちょっと、ティーダ~フェアじゃないぃ~!」
ティーダが(本当に)攻撃してきた!
「リクより強いんなら尚更ッス!」
「……っ!」
ヒカリは必要以上に間合いをとって辺りを見渡す。こんな時にかぎって、ほぼ全て回避できることが奇跡だ(汗)
「ねえ、やっぱ武器なしだとかわいそうだよ……」
カイリが二人の勝負を見守る中、他の見物客に言った。
「どーかん、ヒカリ、コレ使えっ!」
ワッカがそう言ってヒカリにボールを軽く投げてやる。
「サンキューっ!」
ヒカリは投げられたボールを取らずにティーダの方向に打ち返した!(もちろん素手)
「甘いッス!」
ワッカが投げた+ヒカリが素手で打ち返したボールの力では威力が付かなかった。そのためティーダは容易に弾く。もちろん、弾くだけではない。ちゃんとヒカリに向かって帰ってきた。
ヒカリに向かって迫り来るボールはさらに威力が増している!
つまりは、カウンターアタックというやつだ。そして、ヒカリはこのボールを待っていた!
「……どっちがよ!」
不敵な笑みとともにボールをスマッシュ!
ちなみに漂流していた手近な流木を使用。
「ぐはっ……!」
吹っ飛ぶティーダ。
まさかの障害物の利用で、見事に避けることもできなかった。
「やった!」
ヒカリ&ボールの主がガッツポーズ!
「バレーかよ(汗)」
横で突っ込むソラ。
カイリとセルフィーが吹き出す。
起き上がらないティーダを気にしながらヒカリは出来るだけ間合いをとる。
スマッシュしたときの流木は砕け、ボールは遠く彼方へ飛んで行ってしまい使えない。
そんな事を考えているうちにティーダが起き上がった。
「ちくしょー、あのボールを打ち返すなんて!」
なんて怖いもの知らずな……(恐)
しかし今、ヒカリの手にはボールはない。
「早い所終わらせないと」
時間が経たないうちに勝負をつける。
ヒカリが武器を持たない今を狙って!
ヒカリに向かって真っ直ぐ走り出すティーダ。
(フッ……)
「えっ!」
ヒカリの目の前から――ティーダが消えた!
(バシッ!)
「あっ!」
青空が目の前に広がる
天地が逆転している
体がゆっくりと落ちていく
なんだろう
空が――綺麗。
(ズザザァッ!)
「……っ!」
勢いあまって砂地に転がるヒカリ。
さっきとは違って今は起き上がれないぐらい、ダルイ。
「いまの……」
短い時間のはずだったのに……とても、長い光景だった。
「決まったッス!おれの必殺技!」
上から降ってくるティーダの声。
それとは反対にギャラリーの感嘆の声が聞こえる。
起き上がらないままヒカリが言葉を漏らす。
「ふぅーん、あれが……」
「ヒカリ……?」
嘲笑ではない何かわかりきったような声。
よわよわしい口調だったのだが、
なぜだろう
ゆっくりと起き上がるヒカリに、
ティーダは根拠の無い恐怖が走る。
必要以上にゆっくりと砂を払うヒカリ。
そして……
「うん!いいもん見た!」
緊張を解いたヒカリがこう発した。
「??」
疑問に思うティーダ&ギャラリー。
いつの間にかリクもそこの中にいる。
「そっか、必殺技かぁ~いいね」
にっこりと笑いかけるヒカリ。
そしてその意図は、
まだ、彼女しか知らない。
「それじゃ、始めよっか」
笑みを絶やさずにヒカリが言い放つ。
「death+match!」
笑みはそのままで、腰に手をあて伸びをするヒカリ。
膝を少し曲げ、重心を絶えず左右に移動させている。
「本気だ……」
ポツリと漏らすソラの声が、ティーダには無情に聞こえた。
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