King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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 KHⅢにトイ・ストーリーの世界が出てくるのですが、実はオリジナルワールドとして先行して訪れました。KHⅢのストーリー知らない方に説明するなら映画ではトイ・ストーリー1の後日談となります。
 私の考えたこのお話の時点ではウッディとバズはまだ出会ったばかりの時期なので改変も変更も無し、全然大丈夫です。


~シンニュウシャ~

 

 巨大クジラの尾ひれに払われて不時着したグミシップ、カレイドスター。不時着したにもかかわらずその外観は――なんと無傷だった。

 その理由はヒカリがカレイドスターから降りてすぐに納得。

「なるほどクッション……」

 ミッキーは何かがクッションになって助かったと言ってはいたがこれはクッションと言うより等身大のぬいぐるみ!

 正確には黄色い宇宙人のぬいぐるみの大群。

 山と言っても当てはまるほどの数だった。

「これって、おっきなぬいぐるみ? それともぬいぐるみのような宇宙人?」

 あまりの量に思わず唖然とするヒカリ。

 まったく同じ大群を眺めていると思わず息苦しさを覚える。

「うっぷ、ミッキー私ちょっと酔って……あれ?」

 ミッキーが居ない?

「ミッキーどこー?」

 宇宙人の山に向かって呼んでみると――。

「……ここだよ」

 かなり小さな声が聞こえた。

「え、どこ?」

 声のした方を見ると。

黄色いエイリアンの中からひょっこりと見えたのが、大きくて丸い、お皿?

 この黒くて丸いのどこかで見た事がある。確かカレイドスターのミッキーのベッドの横にあった。

 思い出した! ヒカリが思い出したのは赤いリボンをつけた王妃様の写真だ。あの『耳』に似ている……ということはもしかして。

「や、やぁ。いきなり放り出されて、痛くなかったけど結構辛かったよ」

「ミッキー。なんで耳がそんなになってるの?」

 頭の上にくっついている丸い物体。多分それは耳だ。だって、王妃様の写真にそっくりだもん。

 でもなんでいきなり? 笑っていいのか?

 それともリアクションを伺っているのか?

 いろいろと思考を巡らしているとミッキーがヒカリを見て面白そうにくすくす笑いながら言った。

「そう言うヒカリこそ今の自分の姿を見てよ?」

 ミッキーが指を指したのはガラスの反射面。

 そこに映る自分は――。

「な、ななっ⁉」

 縦長の大きな瞳、エネメル質の髪、丸くてツルツルした顔。

 どうみてもこれは、おもちゃの人形の姿だった。

「何これぇ~~~⁉」

 

 

 黄色いヌイグルミの間をかき分けて二人はその場でちょこんと座る。

 どう見ても精巧なフィギュアのようなおもちゃにしか見えないミッキーとどう見ても丸顔の着せ替え人形にしか見えない自分が動いて話すなんてなんかおかしな光景だ。

「この世界では強制的におもちゃになるみたいだ」

「ミッキーみたいに耳が付いただけとかちょっとだけ変わればいいものの、なんで私は丸顔」

 格の違いにすこし落ち込んでいるヒカリ。

「女の子のおもちゃは丸い顔の方が可愛いいと思うよ。何て言ったっけ、萌?」

 モエ……。ヒカリの図上にずっしりと『萌』の文字が覆いかぶさった。

「ミッキー、もうこれ以上のフォローはいいよ」

 気が抜けきった笑いでミッキーに言うヒカリ。

「本当にかわいいよ?」

「ああ~~~もう何も言わないで~~~!」

 両耳を手で覆って足をバタバタさせるヒカリはやっぱりかわいいのだが、本人は本気で嫌なようだ。

「じゃぁ……話を戻そう。この星に不時着した時点ではまだ僕たちは元の姿のままだった」

「ということは、グミシップから降りた瞬間なんだよね?」

「瞬間と言うより降り立った時点と考えられるね」

「カレイドスターこのままじゃ、乗れないわよ?」

「おもちゃになっちゃったからね」

 カレイドスターはいつもの大きさの半分ぐらいに縮小した姿だった。それだけをのぞけば初めから美味しそうなフォルムの船だ。これでおもちゃといわれれば誰もが納得するだろう。

「これはこれで好都合だよ。いつも隠し場所に困っていたから」

「そう言われれば、そうね」

「この姿はきっとこの星のルールが僕たちをこの姿に変えたんだ。鍵を閉めれば元に戻る方法が見つかるかもしれない」

「それまで、この格好なのね……」

 おもちゃの姿となると結構不便だ。いままで普通に思っていたもの達がおっきくなっているし。

 その点では前にアリスの居た世界で体験しているけど。今回は体がおもちゃなのでなんだか動きがぎくしゃくしている気がする。

 あらためてヒカリは自分の姿を眺める。

 ツルツルした肌、表情を変えるたびにコマドリのように顔が変わるアニメのような顔。固い茶色の髪についている赤いリボンは着脱可能なカチューシャになっていて、オレンジのジャケットにはシルバーのチャームでなく大きなハートのボタン飾り。デニムパンツは水色の布で出来ている。

「あ、ロックセプター出せるかな?」

 ヒカリが出てきてと思うと。

(シャン)

 ロックセプターはなにも変わらず出てきた。

「ロックセプターは変わらないのね……」

「この武器自体おもちゃみたいな造りだからね?」

「そう、ね」

 ところでこの状況はいかがなものか。

 ここがおもちゃの世界と言う事は、このクッションになった大量のぬいぐるみ達も……。

 よく見ると、もぞもぞと動くぬいぐるみ達。

「やっぱり……」

 こちらをいっせいに振り返る黄色い物体(ヌイグルミ)たち。

 何で今まで気がつかなかったのだろう?

 自分たちがおもちゃなら彼らも動くハズだと。

 しかも、さすがエイリアン。顔には目が3つ!

 3つ目×大勢のぬいぐるみ=沢山の目線がヒカリ達を眺めている。

 見るからにヒト、ならざる者達が、

 う、動いている(怖)

「シンニュウシャ」

「シンニュウシャ……」

「シンニュウシャハ……デテイケ」

 もぞもぞと動く片言のエイリアン(ヌイグルミ)達がヒカリとミッキーを押し出す。それはカレイドスターも例外ではない。

「でっ、出て行けって言われてもここ全面透明なカベがあるのに!」

 じりじりと背後へにじり寄るヒカリ。天井を見上げれば丸くおおいかぶさっている透明の壁。

 どんなに強力な魔法でも天井が高すぎて容易に破壊することは出来ないだろう。

「だまっていればただのおもちゃのはずなのに、こいつら……ヌイグルミなのにかわいくなぃ~」

「でも出られる方法はありそうだ」

「ええっ⁉」

「おそらく、この場所は……」

(ガシャン!)

 ミッキーが何か言いかけた直前、後ろから何かが飛び出してきた!

 輝く丸い透明のヘッド。

 背中には小型飛行機を思わせる白いツバサ。

 動くたびに金属的な音を響かせる。

それはSFが好きな男の子が羨むであろう要素のちりばめられた、宇宙服のヒーローの、おもちゃ⁉

「私の名はバズ・ライトイヤー。この船の船長に合いたい」

 

 

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