King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】 作:かすてらホチキス
不時着した星に着いた途端、なんとおもちゃの人形の姿に変身したヒカリとミッキー。
その姿と言ったら、かわいいやら萌やら、なんとも形容しがたい。それはさておき、こんどはヌイグルミの大群に阻まれ大ピンチ。そこへ颯爽と飛び出してきたのは、宇宙服のヒーロー⁉
「私の名はバズ・ライトイヤー。この船の船長に合いたい」
船ってカレイドスターの事?
船長って言っても二人しか居ないし、操縦しているからミッキーの事かな?
知り合いなの? とミッキーに視線を向けるたがミッキーは首を振る、分からないらしい。
ここはとりあえず適任なのは自分だと思ってミッキーが名乗り出る。
「ボクがあの船のー―」
「おいバズ! そんなところに飛び込むなって」
ミッキの言葉に割り込んで新たな声が聞こえた。
ヒーロー登場から続いて飛び込んできたのはカウボーイハット、牛柄のベスト、腰には投げ縄。
今度はウエスタンヒーロー?
なんだか話がややこしくなってきたよ?
でも、あれ……?
この人(おもちゃ)私、見た事ある⁉
「まったくー お前ってホント人の話聞かないよな~オレが待てって言ってるのになぜ――」
「もしかしてウッディー!」
ビシィ! と名前を言い当てる少女(人形)にウッディーはビックリする。
「うわぁっ⁉ いきなり声かけるなよ……んで、なんでオレの名前を?」
「だって知ってるもん! うっわーウッディだ~~ウッディ!」
指を突きつけたまま身体を揺らすヒカリに三人の頭上には『?』が浮かんでいた。
「キミの知り合いかね?」
バズがウッディに聞く。
「いんや? こんなおもちゃ見た事が無い」
「そうだよねおもちゃなんだもん知らないよねー」
なんだか子供のように目が輝いているヒカリ。
「うっわーウッディが動いてるよ! おまけにしゃべっている~テレビでしか見た事無いのに!」
テレビの前で見ていた人物(?)が動いている事自体ヒカリはかなりの有頂天だった。
「ヒカリ、今は喜んでいる場合ではないようだよ上から何かが来る!」
ミッキーが天井を眺めながら言った。
「え? ど、どこ⁉」
ミッキーの言葉にヒカリが我にかえる。
「天井! 伏せて!」
「え、ええぇっ⁉」
ヒカリが天井を見ると、機械のアームがこちらへ降りてきた。
アームはヒカリ達の真横に突き刺さり、二つのアームの先がゆっくりと黄色いヌイグルミを挟んだ。
そしてまたもやゆっくりと上昇。橋に挟まれていたヌイグルミ達がミギュウと音を立てて落ちた。
不幸にもアームに挟まれて連れ去られたヌイグルミはある一定の高さで止まりアームの開く動きと共に落下。先ほどバズとウッディが飛び出してきた穴に寸分互いも無く吸い込まれて行った。この動きをする機械には心当たりがある。
「ま、まさかここって……ユーフォ―キヤッチャーの中⁉」
「今頃お気づきかいお嬢さん?」
ウッディが方眉を上げてかっこ良く言った。
有名人にでもあったようにちょっと頬が赤くなるヒカリ。
いやいや、今はそんな状況ではない。
「あそこに入ったらどうなるの?」
「持ち主の手に渡るだけさ」
「持ち主って……あのガラスの向こうの性格悪そうな子供⁉」
「そういうこと。つまりキミはオレと出逢ってすぐにお別れ。はい、さようならと」
「えぇ⁉ そんなのやだ~~フギャ!」
ヒカリが変な声を出した理由はウッディがヒカリの頭を勢い良く抑えたからだった。
「動くな。おもちゃが独りでに動くもんじゃない、とられたくなかったらほかのヌイグルミにじっとしがみついてな」
「むぎゅー!」
ヌイグルミに顔を押し当てられて声が出せないヒカリ。おもちゃだから窒息の恐れは無いが、しゃべりづらい。
周囲は黄色いエイリアン。
頭上には大きな機械の腕(アーム)不利な上に『極力動くな』と言うハンデのおまけ付き。
(おもちゃって大変)
そんな事を思っている矢先、再びアームがやって来る!
「どうやって戦う?」
「あのアームは攻撃していないよ」
「じゃぁこの状況どうしたらいい?」
ミッキーの後ろを何気なく眺めていると、見慣れたものがアームにかかったところだった。
先ほどまでまったくあてのない場所に降り立ってはヌイグルミを落とすアームは、なんと今は寸分違わない絶妙なバランスでゆっくりと大きな物体を浮上させていた。
「って……すごいって眺めている場合じゃない! しかも今引っかかったおっきな物体って私たちの船!」
カレイドスター! あの船が無いと旅が出来ないそれどころか一生人形のまんまかもしれない。
「あっ!ヒカリ動いちゃ……」
ミッキーの止める間もなくヒカリはカレイドスターに手をかけた。ぶらぶらとつり下がるヒカリ!
「ヒカリ!」
ミッキーはヒカリの横に飛び移る。
「あれは小型飛行用か……では私も!」
バズも二人に習って手をかける。
「あぁ~~もう、しょうがないなぁ!」
ウッディまでもが同時にしがみついた。
「よっしゃ~大量ゲット~~!」
透明な壁の外では悪そうな少年がアームに引っかかった沢山のおもちゃにはしゃいでいた。
☆
うん、何て言うか。
今、私っておもちゃなんだよね。
自分で言うのもなんだけど――。
いつもなら何もしてない事って出来ないぐらい周りをきょろきょろ見物しちゃうのに、何も意識していない時はおとなしく静物になってる。
こんな状況だからこそふと思う。今の私にも『心』ってあるのかな?
しばらくすると少年の家に着いたようだ。
「わぁ可愛いお人形さん~。お兄ちゃんにはもったいないわ」
「コレはオレがとってきたのだからオレの!」
「ずるい~~! 沢山あるのに一つくらいいいじゃない!」
少年と少年より幼い女の子が廊下でなんだか言い争いを始めた。
「ほら、お兄ちゃんなんだから一つくらいいいでしょ?」
声しか聞こえないがどうやら母親が割り込んできて少年をたしなめている。
「んん……じゃぁ、これ」
そう言って女の子に差し出したのは――。
丸い耳の人形。
(ミッキー⁉)
「ええ~これ?」
「ひとつあげたじゃん、文句無いよな?」
(ある! 大いにあるって! なんでミッキー?)
自分で言うのもなんだが今の私はかわいいお人形だ。普通なら私じゃないのだろうか?
「なんでそっちじゃないの? お兄ちゃんも可愛いの好きなの?」
(そうだそうだ!)
「いいや」
『可愛い』を、あっさり否定されてなぜかホッとするヒカリ。しかし次の言葉は聞きたくなかった。
「これは『パーツ』がいいから」
(ぱっ……パーツ⁉)
思わず驚愕の表情に変わるヒカリ。その顔はたったの一瞬だけだった。男の子はヒカリをながめニヤリとほくそ笑んだからだ。
(なんだかハートレス居ないのに危険だよ、ココ)
そして女の子とミッキーを見送りヒカリ達は危険な場所、少年の部屋へ運ばれていった。