King And Hearts~鍵を待つもの~【完結】   作:かすてらホチキス

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~跳び立つ勇気~

 ヒカリは黒いブロックを追いかけていた。

 魔法は役立たず。ならばするべき事は一つだ。

「こんのーーっ!」

 ヒカリはハートレスに向かってロックセプターを投げつける!

 勢いよく回転するセプターはヘリコプターのプロペラにむかって一直線。

(ガツン!)

 見事命中。音を立ててバラバラになるブロックのパーツ。

 ヒカリが駆け寄ると輝くパーツが何個か見つかった。間違いなくカレイドスターの一部だ。

「よかった~でもまだほんの一部か、馬と魚のハートレスも見つけなくちゃ」

 一端カレイドスターのある部屋に戻ろうとしたが階段の手すりに立つバズの姿を目撃した。

「バズ・ライトイヤー?」

 ヒカリが声をかける直前。

 バズが地を蹴り、飛び出した!

「え……ええ~~⁉」

 駆け出すヒカリ。だが、もう手遅れだった。

 空中に飛び出したバズはゆっくりと傾き…重力にしたがって真下の床へ!

(がしゃん)

 階下でそんな音がした。

 一階へ落下したバズを、ヒカリは目撃してしまった!

「私がいない間に何があったの? ど、どど、どうしよう~~!」

 うろうろとあちらこちらを移動するが良い考えが浮かばない。

「い、今はバズの安否の確認!」

 バズの飛び出した地点の真下を見る。あまりの高さにめまいがしそうだった。

「よ、よかった。さっきのブロックハートレスみたいに粉々じゃなかった~」

 ホッと一息つくヒカリ。

「人が来ないうちにあそこに行ってはやく何もなかったようにしないと」

 すぐにカレイドスターのパーツを元居た部屋に投げ込み、ヒカリがきょろきょろとあたりを見渡していると。

「ママ~~」

 下の階から女の子の声がした。そしてバズを踏んづけた。

(バズ~~‼)

 ヒカリは心の中で叫んだ。

 女の子はバズを不思議そうに持ち上げ。持ち去ってしまった。

「あああ~~持って行っちゃった~~」

 衝撃的な表情のヒカリの後ろから物音がした。

「あ~~まったくとんでもない目にあったぜ~」

 物置からぼとりとクリスマスツリーに付ける電球の束に絡まったウッディが現れた。

「ウッディ!」

 これからどうしたら良いのか分からくて混乱しきっていたヒカリにとってヒーローの登場だった。ヒカリはウッディにほぼ体当たりするくらいに抱きつきヒーローへ懇願する。

「あのね、バズが飛び込んで、そんで下に落下して腕がポロってしてて、そっちに行こうとしたら女の子にバズ取られて――」

「あーもー。皆まで言うな。ちょーっと落ち着け……んで、バズは今どこに?」

「下の階。女の子に持ってかれた」

「そうか、早く助け出さないとな」

「でも、こんな階段降りるの時間がかかるよ。どうやって下まで行くの?」

「お?……いいか、捕まってな!」

 ウッディはそう言ってしっかりとヒカリの手をつかんで助走を付け、階段へ向かって走り出した!

「え、ええっ⁉」

 ウッディと手をつないでいたヒカリも勢いを付けて階段からジャンプ!

「ヒカリ、俺の肩につかまれ!」

「う、うん!」

 落下中、戸惑いながらもヒカリは怖い感じはしなかった。

 バズがさっき落ちたのはとても怖かったけれど、今はただ、つかんだ手がとても頼もしかった。

 二人は空中で体制をとり踊り場の手前の手すりへ落下。手すりに見事降り立ったら滑り台のように斜面にそって滑り抜ける。

「ねぇ、このまま行ったら……」

「衝撃に備えろ、ヒカリ!」

(やっぱり、最後はそうなるのね~~)

 勢いよく投げ出される二人。ゴロゴロと転がって始めにウッディがカベに当たる。

 その後ヒカリがウッディの背中に追突☆

「ぐえっ」

「ウッディごめん」

「レディにはケガさせられないからな。ま、いいってことよ」

 潰されてもウッディはジェントルマンだった。

 ヒカリは先ほどの興奮が冷め止まない心でさっきまで眺めていた上の階段を眺める。ドキドキがやっとおさまると満ち足りた達成感がわき上がってきた。

「すごかった。ウッディはヒーローだよ!」

「何言ってるんだ、おれはおもちゃだ。あのヒーロー気取りとは違ってな」

「ううんウッディは立派なヒーローだよ。怖がってた私を下まで行かせてくれた」

「あんなの、よくアンディと一緒にやってたからだよ」

「ううん。私、今気づいたんだ」

 ヒカリはにっこりと微笑みながらウッディに言った。

「ヒーローって言うのはあきらめかけていた所で勇気をくれる人の事だよ。まさに今、ウッディは私に勇気をくれた。助けてくれたんだよ。私にとって今のウッディは間違いなくヒーローだよ!」

「よしてくれよ……とにかくコレからが重要だ先に行くぞ」

「うん!」

 ニコニコしているヒカリの顔を見ないようにウッディはそっぽを向いて走り出した。

 その後、彼はすぐ床に滑って転びそうになった。

 

 

 しばらく捜索すると女の子の部屋を見つけた。

「よぅし、いたぞバズとアンタの連れも居る」

「どうやって助ける? 女の子おままごと中だよ」

 女の子は鼻歌まじりにお茶会中だ。

「俺に任せろ」

 ウッディはヒカリにウインクして咳払いをしてこう言った。

「ンン……ハンナ、ハンナ~ちょっと来てちょうだい~」

「何~ママ?」

 女の子はその声に反応して部屋から出て行った。

 

 完璧とはいいがたいがウッディの声真似はちゃんと女の子には効果があった。

「よし行くぞ、ヒカリ!」

 ウッディが駆け出す。

(ウッディは土壇場ヒーローって名前が良いかも)

クスリと笑いながらヒカリは駆け出した。

「ミッキー。無事に会えてよかった」

「やぁヒカリ、キミも無事でよかった」

 先ほどまで恐怖や驚きの連続だったためミッキーの顔を久々に見たような気がする。

 久々に、見たよう、な……?

 ミッキーがなんか変だ。丸い耳としっぽには可愛いピンクのリボンが結ばれている。

 それだけならまだかわいげがあるのだが、顔を眺めると、ほっぺたあたりがピンク、口が赤くて、まぶたの上も……何か青い。

「この顔かい? 僕のように顔のついているおもちゃが無かったみたいでね、彼もさっきやって来てホラ」

 バズの顔もなんか華やかになっている。

「なんというか……おかしな格好ね」

 おもちゃの顔の今のヒカリはにっこりとしているが何とも引きつっている。

「彼は、格好だけなら良いんだけど…」

 ミッキーは気の毒そうにバズを眺める。

「バズ、何したの? もしかしてどこか……」

 墜落した時に腕が取れちゃったのは見たけど。

 無言のバズ・ライトイヤーを見かねたウッディは声をかけた。

「もう、何やってんだバズ。しっかりしろよ?」

「何やってるって? お茶会」

「見れば分かるって。とにかくなんで今こんな事をしているんだって言ってるんだ一緒に帰るぞ」

「帰る? どこへ?」

「どこへって、アンディの家だよ。それとも何だ?このさいココ以外ならどこだっていいさ宇宙警察の所でもいい!」

 ウッディを眺めるバズ。バズは突っ伏した。

「あーもうやめだやめだ! ヒーロー? 宇宙の平和を守るヒーローがこんなリボンを付けてお茶会?」

「な、何言ってるんだよバズ?」

「そう! 今の私はお隣の奥さん! マリーアントワネットとマーガレット、ミスミッキーも一緒にお茶会しているのよ」

「バズ! 何があったのかは知らないけど、いままでの事何もかも捨てちゃダメ!」

 ヒカリが弁解しようとするがバズは一向に『お隣の奥さん』を演じている。

「ああ~完全にいかれちまったな。とにかくここにいてもどうしようもない」

 バズをゴーインに引っ張って行くウッディ。

「あらあらそれではごきげんよう皆さん」

 バズは顔の無いお人形に手をふり、そのお人形もご丁寧に手をふり返した。

「そうね、ミッキーも行くわよ!」

 ヒカリもウッディに習ってミッキーの手をひく。

「あの子、ちょっとかわいそうだったんだけど」

「今はそんな事言っている場合じゃないのよ。カレイドスターが大変なんだから!」

 

 

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