凸凹に挟まれないように足掻く弟   作:アユムーン

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ご飯が終わるまでバイブレーションでした

これまでのあらすじ!☆

 

ステルクがでていったと思ったら帰ってきてアリッサにハグして告白しそうだよ!

 

「ちょ、ちょっと待ってステルク!」

 

肩をガッチリ捕まれているので動けないアリッサが抵抗を見せるが、更に熱を帯びた瞳のステルクが逃がさない

 

「僕ね、母さんのことが大好き」

「!」

 

そうして告げられる様子がおかしいとはいえ間違いなくステルクの本心からの言葉にまた動きが止まってしまう…そして

 

「僕を撫でてくれる手も、小さい胸も、優しい声も、綺麗な髪も、薬師の仕事してる姿も、小さい身体も全部好き」

 

「ちょいちょい性癖混じってない!?っていうか二回も小さいって言った!?」

 

なんともいえない恐怖で身が震えた

 

「もう待てない!僕も本当は母さんを」

 

「っ!」

 

「ママって呼びた「そこまで!!!魔女パーンチ!」ごふっ!!?」

 

「ビオラ!!?」

 

ステルクが開けっ放しにしていたドアからビオラが走って(魔法使えよ)帰ってきてそのままステルクの後頭部に一撃を喰らわせた(だから魔法使えよ)

 

そのまま地面に倒れ伏すステルク

 

「ハァッハァッ…ママ!?大丈夫だった!?」

 

「大丈夫だけどステルクが大丈夫じゃないよ!?白目向いてる!!」

 

「今のうちにステルクのこと縛って!!どこかに安静に寝かせるから!」

 

「優しいのか厳しいのかどっち!!?」

 

…で

 

「ふぅ…一件落着」

 

「いや、なにも終わってないからね」

 

折衷案として布団で簀巻きにして寝かせました

 

簀巻きで寝かされているがその寝顔はニヘラニヘラと笑っていてまるでなにかに酔っているかのようだ

 

ひとまず苦しそうではないので…

 

「それで今回はなにしたの?」

 

今のうちに話を聞くことにした

 

「いや~困るよね。まだオリジナル主人公のステルクのキャラの深堀もできてないのにこんな暴走されても読者混乱「ビオラ説明」はい…私のせいです…」

 

アリッサからの圧に屈して自白する

 

「それで?なにしたの?」

 

「えーと、それなんだけど説明なら私より適任が」

 

「適任?」

 

チョイチョイ、とビオラが部屋の窓を指差す

 

「ようやく我を見たか…」

 

「!?、なにあれ!?」

 

窓の向こうからオレンジの巨大な鳥がこちらを覗いており、あろうことか言葉を話している

 

「さっき召喚したフェニックス、あっそうだあれ飼ってもいい?」

 

「元いた場所に還してらっしゃいっ!…ってフェニックスが関係してるの?」

 

「うん…そう、それは十分前のこと…」

 

「(思い出す回想にしては経過時間が短い…)」

 

…十分前

 

「よくきたわねステルク!」

 

「来たけど…なにそれ」

 

ビオラに呼び出されていた場所にやってきたステルク…だが

 

「ほう、契約者の望みは汝か」

「しかももう僕のこと知られてる…」

 

そのビオラの隣にいるフェニックスに驚きを隠せない

 

「っていうか、ビオラさんの願いが僕?」

 

「そ!フェニックスの力でステルクも健康になっちゃおう!!」

 

「健康?」

 

「そそ!健康になればあんなどうでもいいことどうでもよくなるよ!ってわけで細かい話は後々!フェニックスやっちゃって!」

 

「へ?「生命の息吹ver2!」!!?」

 

ヂュオン!!

 

フェニックスの嘴から放たれた光線がステルクにクリーンヒット

 

「え?これ大丈夫なやつ?」

 

「安心しろ契約者、弟君は生命力が著しく低下しているのでサイセイマシマシハカイヌキのを処方した」

 

「あ、ステルクの虚弱っぷりってそうなんだ…あ!出てきた」

 

辺りに土煙が立ち込めていたがその中からステルクが出てきた

 

「ステルク~?どんな感じ?」

 

「エレメントマシマシキズナカタメ…」

 

朦朧とした様子のステルクが答える

 

「フム、太古の龍と手を結んだか。ならば我はファルシオンとしてその行く手を阻もう」

 

「?、なにそれ?とにかくどんな感じなの?お姉ちゃんって呼ぶ気に…!!」

 

ガシッ

 

お姉ちゃんと呼ばせようとしたが言いきる前にビオラの胸にステルクが飛び込んできた

 

体重も軽いし勢いもないステルクの突進など痛くもなくなんなく受け止めたが…

 

「す、ステルク?どうしたの?」

 

あの一件以前からこうしてステルクが自身に触れてくるなど幼少の頃以来なので驚く

 

「(でもあの頃のステルク本当に可愛かったなぁ~お姉ちゃんお姉ちゃんって私の後ろピョコピョコ着いてきて、すぐケガして連れて帰ってたけど)「…姉さん」!!!、そうだよ!私がお姉ちゃんだよ!!!」

 

昔の記憶の海に潜る寸前、ステルクからの呼び掛けに更に驚き、喜びながら答える

 

「む?これは…契約者よこれは「なに!?今いいところなの!!」しかし」

 

なにかに気づいたフェニックスの制止を無視してビオラはステルクを抱き締め返す

 

「久しぶりに呼んでくれた~!!!」

 

そしてそれはもう大号泣、この一年アリッサのことは変わらず大好きだし愛でてた

 

だけどステルクのことを大好きと言えないし愛でられなかった

 

アリッサだけじゃ足りないなんてことはない、だけど同じぐらいに大好きなステルクから他人のように呼ばれるのも、ステルクと触れ合えないのも、話せないのも、ビオラには耐えられない苦痛だった

 

「今度はお姉ちゃんって呼んで~!それからお出掛けもしよう!大丈夫、昔ステルクのことイジメてきたやつは全部始末…ゲフンゲフン、こらしめたから!それにしんどくなったってお姉ちゃんが抱っこしてあげ「姉さん」ん?」

 

熱を帯びた瞳から…一転

 

「こうやって弟を実験台にするの正直昔からどうかと思ってた」

 

「グフッ!!?」

 

「言葉の刃が急所に当たったか」 

 

急激に覚めた目でそう告げた

 

「後もう少しフェンネル兄さんに対する棘控えめにしな?僕は止めないけど母さんに嫌われてもしらないよ」

 

「ウグゥッ!!!」

 

「隙を生じぬ二段構え」

 

確実にビオラの心を抉っていく

 

「…けど」

 

「け、けど?」

 

たったの二撃ですでに瀕死…だがそこに

 

「こうして僕のために色々してくれてありがとう、本当に感謝してる」

 

「ステルク…」

 

「いつだってお姉ちゃんが僕と母さんを繋いでくれた」

 

「!!」

 

呼び方も更に昔のようになった

 

「昔からずっとお姉ちゃんみたいになりたかった。魔法を使って母さんの手伝いをしたかった、強い身体で母さんのことを支えたかった、できないのが悔しかった」

 

「…」

 

「だけど嫉妬する暇がないくらいにお姉ちゃんは僕を愛してくれた。手を引いて母さんとお姉ちゃんの間が僕の居場所だって教えてくれた。僕はただ見ているだけでいいと思ってたのに…挟まれたくないって思ってたのに…」

 

「ステルク…」

 

「大好きだよ。お姉ちゃん」

 

それだけでもうビオラの中にあった一年間の苦痛などどこかに飛んでいった

 

それ以上にビオラを埋め尽くす感情は喜び

 

あまり本心を語らない弟が話してくれた

長年の研究の結果がついに実った

またお姉ちゃんと呼んでくれた

 

それが堪らなく嬉しいっ!!!

 

「ワァァァン!!!ステルクゥ~!!!」ガバッ!

 

もう一度抱き締めようと腕を広げてから、閉じたが…スカッ

 

「え?」

「なんか気分がいいなぁ~」フラッ

 

閉じた腕が空振った、当のステルクはビオラに背を向けているが…ふらついている

 

「む…まずいな」

 

「ステルク、ちょっと待って!」

「うん、そうだね。母さんのところに行こう。今ならいける」フラフラ

 

「ちょっとステルク!?」

 

そのままアリッサのところに向かうステルク

 

流石に様子がおかしいと、ようやく気づき止めようとするが…

 

「待つのだ契約者」

 

フェニックスが制止する、その間にステルクはアリッサの元に駆け出している

 

「ちょっとフェニックス!どい「このままあの弟君は命を落とす」はぁ!?」

 

その言葉により一層慌てるが…

 

「嫌ならばひとまず魔女の一撃をもって奴の気を落とすのだ」

 

「難しい!簡単に!!」

 

「後方からぶん殴れ」

 

「了解!…って結局追うんじゃん!!」

 

…で、ステルクがアリッサに迫っていたところに割り込んだわけである

 

再び時を巻き戻し、現在アリッサとビオラの家

 

「すっ、スス、ステルクが、い、命を、落とす?」ガクガクブルブル

 

「大地の震えを感じる…」

 

「違う!?ママがこれまでになく動揺して震えてるんだ!?落ち着いて~!!」

 

ガシッ!震えるアリッサを抱き締めてなんとか落ち着かせる

 

「はっ!?す、ステルクを助けるにはどうすれば!!」

 

「なに、造作もないこと…波っ」

 

ゴォッ!!

 

フェニックスが放った先ほどとは違う光線がステルクに振りかかる

 

「これ本当に大丈夫なやつ!?」

「うんうん、それ私もさっき思った」

 

「案ずるな今度は若干の破滅の力を添えて、高まっていた生命力を抑えた」

 

先程までのニヘラニヘラした表情ではなく一切苦しみも痛みもない顔…まさに

 

「ほんとだ。安らかな顔してるよママ」

「大丈夫だよね!?召されてないよね!?」

 

「む、我心外。我は生命を司るフェニックス也!人の子の生死の調節など造作もないこと!後数刻もすれば目覚めるだろう」

 

「今は信じるしかないね」

 

「そうだね…けどなんでステルクは死ぬなんてことに?」

 

「我が与えた生命力により内に秘めた欲望が暴走、その欲望が達成したとすれば自らの身を滅ぼしていたことだろう」

 

「長い、難しいから簡潔に」

 

「我の生命力をキメてアタマがパーンしかけてたのだ」

 

「なるほど…あ、そういえばステルクの生命力が低下してるって言ってたけどなにがあるの?」

 

「その問いの解はこの者の魂は相反する二つの魂が交じり一つの形となってできていることだ契約者よ」

 

「二つの魂?」

 

「片割れは間違いなく弟君のもの、そこに輪廻転生し新たな魂に変わりきる前の魂が混じり、この世に生を受けたようだな」

 

「輪廻転生?それってなんなの?」

 

「平たくいえば前世だ

 

この世で母御や契約者と共に生きようとする魂とそうは生きぬという魂が一つとなりそのため常人の倍の生命力を消費して生きているようだ」

 

「それがステルクの虚弱体質の原因ってことなんだ」

 

「生命力の消費は否めないが元々は上手くその二つは共存していたようだが、現在はそれができていない様子と見える。心当たりは?」

 

「あります。一年前に」

 

「なるほど、魂に強烈な傷が入ったことで今まで共存と制御ができていたことができなくなったようだ」

 

「そうだ!フェニックスならなんとかできない?」

 

「いくら我といえど魂は繊細なもの、ぶっちゃけ我には専門外」

 

「えぇー…あ、けど私とママのことお姉ちゃんとお母さんって言えたんだから、生命の息吹自体は成功ってこと?」

 

「息吹により本能や本心が覚醒した状態があれだというのなら出力に更なる調整をかければ生命の危機に陥ることのない程度にすることは可能」

 

「やった!」

 

「しかし定期的な接種が必要」

 

「そんな常備薬みたいに…けどママ!これでステルクの問題は「ダメだよ」えっ?」

 

「もちろん昨日みたいな偶然じゃなくて本心から『お母さん』って言ってくれたのは嬉しかったよ」

 

「それなら「でもこれは違うよ」違う?」

 

「これはステルクの本心だけど意思じゃない、いつものステルクがこうしたいって決めたことじゃないとだめだよ」

 

「!そうかもだけど…それでもやっぱり納得できない!」

 

「!、それはステルクの両親のこと?」

 

「うん…」

 

ステルクが自身の両親のことを知り、倒れて、母と姉を呼べなくなってまた倒れた日

 

当然ビオラはなにがあったのかをアリッサに聞いた

 

アリッサも自身だけが知っているのは不公平だと感じたので正直に話した

 

まだそこまで難しいことは分からないがビオラからすれば話に聞いたステルクの両親のことなど

 

「ステルクの両親がどんな人かなんてどうでもいい!ステルクは私の弟だもん!ずっと私と一緒にいたもん!」

 

『どうでもいい』その一言に尽きた

 

ビオラの知っているステルクは虚弱で、自分と同じようにママのことが大好きで、一緒に育ったかけがえのない弟

 

その事実だけが真実であり、それ以外は全て些事なことだ

 

なのにその些事なことが

 

「もうやだよ、そんなことでステルクが悩むのも、私たちがバラバラになりそうになるのも…もうやだ!!」

 

家族に亀裂を走らせた

 

一年前はただいつも通りに接してあげようと約束したが、それでも

 

だけどそれはアリッサだって同じ

 

「私はステルクの両親のことを聞いた時はショックだった…けどその後はビオラと一緒

 

それでも私とステルクが家族であることに変わりはないって思った

 

こんなことは些細なことだって思ってた」

 

「ママも?」

 

「うん、けど私たちにとってはそうでも、ステルクにとっては違うんだよ」

 

「どういうこと?」

 

「ステルクは心の傷を抱えてなんとかしようとしてる

 

フェニックスが言った魂についてはまだまだ分からないけど…それでもステルクも今のままでいいと思ってるわけじゃないよ

 

今も必死に悩んで考えて苦しんで答えを出そうと踠いてる、それはビオラも分かるでしょ?」

 

「…うん、でももしも答えを出して、その時その答えが私たちと別れるとか、一生このままとかだったらどうす「その時はなにがあっても止めるよ」え?」

 

覇気を感じさせる声色でそう告げるアリッサに思わず固まるビオラ

 

「別れる、距離をとるなんて答えはないし、出させないよ…だから今は見守ってあげよう」

 

「う、うん」

 

確固たる決意を感じさせる母の姿に気圧されたが、その通りだと思った

 

「けど見守るだけなのは苦しいよね?」

 

「うん、苦しそうなステルクを見るのはずっと昔から嫌だよ」

 

「だから今は今まで通り、ううん今まで以上にたくさんステルクに伝えてあげよう?私たちが家族だ!ってね?」

 

「!…うん!!」

 

「さてそれじゃあ…フェニックスにはそろそろ帰ってもらおうか」

 

「!?我今まで空気を読んで黙っておったのに!?」

 

「えぇーー!?」

 

「このままにしてたら時々ならフェニックスの力でステルクを暴走させてもいいかな~って思ってるでしょ?」

 

「うっ!!?」

 

「図星なのか契約者よ」

 

「はい!久々にステルクにお母さんって呼ばれて嬉しかったけどもうおしまい!もうしちゃだめだよ!」

 

「はーい…それじゃあフェニックス、またね」

 

「仕方あるまいな、またいずれ」

 

「もうこなくていいよ!?」

 

…そして、数時間後

 

「ん、んぅ…」

 

「あっステルク起きた」

 

「ビオラ…さん?」

 

「大丈夫?意識はっきりしてる?熱は?息苦しくない?」

 

「どれも大丈夫」

 

「なんで倒れたか覚えてる?」

 

「ビオラさんの召喚獣に巻き込まれて、えらいことになってた」

 

どうやら全部覚えているようだ

 

「はい…その通りです…チッ都合よく忘れてないか」

 

「そんな漫画みたいな展開ない…アリッサさんは?」

 

「今夕食の用意してるよ」

 

「そっか、ずっと寝てたのにお腹空いた「ごめんね」?」 

 

「今までも色々やってステルクに色んな目にあわせちゃってたけど、今回は命の危機みたいだったから」

 

「…今までも大体毎回命の危機だったから、今さら」

 

「そうなの!?…「けど」けど?」

 

話を遮ったステルクの二色の瞳が愛しいものを見るようにビオラを見つめる

 

「姉さんが僕のことを想ってやってくれてるのは分かってるからさ、別にいいよ」

 

「ステルク…ってちょっと待って!今!」 

 

「ん?なに?」

 

「き、気づいてないの?」

 

確かに呼ばれたが、本人は無自覚の様子

 

「?、なにか分からないけど…アリッサさんの手伝いにいこう」

 

「あ、うん…そだね」

 

気を取り直して部屋を出るためにドアノブにステルクが手を掛け、開けたその時

 

「あ、そうだ、ステルクが寝てる間にママがステルクにはやっぱり父親が必要なのかな…って言ってたけど、どう?」

 

その一言にピタッとステルクの動きが止まる

 

「私はもちろん嫌だけど~ってステルク?」

 

ギギギ…とぎこちない動きでステルクが振り返り、そして

 

「つ、つつ、つまり…あ、あぁぁアリッサさ、ささん、がけ、ケッコ、ケッコン??」ガダガタブルブル

 

「ママと全く同じ震え方!?」

 

アリッサとステルクってかなり似た者親子なのだな、とビオラは思った




次回予告!

「ステルクです」「アリッサです!」

次回!「使い魔よりも牛とか鶏がほしい」

「そういえばステルク?」
「はい?「母さんが無理ならママでもいいからね!?って言うか一回呼んでみて!!」!!?また次回!「ねー一回だけ呼んで~!」」
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