ガンプラは自由、だったら浪漫全振りの機体でもいいよねぇ?   作:魯利央系

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プロローグ

 

 「くそッ、くそッ!」

 

 男は焦っていた。

 

 地方の模型店のイベントで、なんてことない、普通のサバイバルバトル。

 ここで男は、県大会に出す自分のガンプラをテストしようとしていた。

 ……ファイターの腕は悪いし、ガンプラも素組のものが多く、自分の機体を傷つけれるような機体は──存在しない、はずだった。

 

 だが現実には自分が丹精込めて作った大会用の機体【ハイ・ズゴック】は右腕に大きな風穴を開けられている。

 

 「ッ! テメェみたいな! テメェみたいなネタに走った野郎にッ! 負ける訳がねぇんだよ!」

 

 男のハイ・ズゴックの前に迫り来るは、ガンタンク……だが本来腕部にあるはずの40mm4連装ボップ・ミサイル・ランチャーは無く、代わりに右腕には槍、そして左腕には大剣があった。

 

 ズゴッグはまだ使える左腕のヒート・アイアン・ネイルで迫り来る相手を突き刺そうとするが……

 ガンタンクはそれを意図も容易く右の槍で流す様に防ぎ、そして、左の剣を勢い良く縦に払い──ズゴックを、真っ二つにした。

 

 「……ッ」

 

 バトル終了のアナウンスが鳴り、自分のガンプラを取り出す……ボロボロだった。悔しいほどに。

 

 「完敗だ……クソっ」

 

 男は、自分のガンプラをこんなにもボロボロにしたガンタンクを取り出す少年の姿を見た。……その表情はどこか懐かしくそして、自分には眩い程に輝かしかった。

 

 ……だが、あの少年の姿を見て、なんで懐かしいと思ったのかが分かった。

 

 ──あぁ、あれは純粋にガンプラバトルを楽しんでいた頃の俺だったんだな。

 

 サポーターから渡される敵のガンプラの情報を見て、それで対策を盛り込んで作る機体じゃなくて、純粋に自分が使っていて楽しいと思える機体を作り、そして使う……そんな少年時代の青春とも言っても良い機体に俺は負けた、いや、負けるべくして負けたんだ。

 

 「……やっぱり、完敗だわ。俺も、少しは少年心を取り入れてみましょうかねぇ……」

 

 男は、一人のルールに囚われた選手としてではなく、ファイターとして勝利の余韻に浸っている少年に近づき、その名を聞いた。

 

 「ナカノ・キョウシロウです……」

 「良い名じゃねぇか、また大会とかで会ったらよろしくな、()()()()()

 「! ……おす!」

 

───────────────────────

 

 ……男が少年と言っていた、ナカノ・キョウシロウの精神年齢はおよそ██歳である。

 その理由は簡単であり、彼が前世の記憶を持った()()()であるからだ。

 

 少年……いや、彼の本当の名は楠士郎【くすのきしろう】であり前世ではようつべでガンプラの改造動画などを出していた、腕に自信があって、まぁまぁ有名で人気なビルダーだった訳だが、ある日目が覚めると自分が良く知っている和室じゃ無くて、雲と霧に辺りを覆われた場所で目覚めて、そして、自称神だとか言ってるハゲ野郎からこう言われた。

 

 『チート転生者が活躍する異世界作ってみたいから、まず君で実験させて? どうせ両親も居ないし良いでしょ? まっ、拒否権は無いけども』

 

 ……なんで?

 

 「えっ、ちょ」

 

 『まぁ、ガンダムシリーズのどこかへと転生させてやろう! 具体的では無いけども転生先を伝えるなんて、ワシ、優しすぎ?』

 

 「おい待て────

 

 『それじゃ、頑張って来い!』

 

 てな感じで、楠士郎はナカノ・キョウシロウへとなったのだ。初めのうちは彼はとんでもなくビビっていた、何故かって? まぁ、分かるだろう。ガンダムシリーズと言うのは大体ヤバイ世界であり、仮にNTとして生まれたとしても、戦争経験も従軍経験も無い現代日本人で一般ピーポーな彼がそうなったら多分、いや、99%! 悲惨な結果になるだろうし、だからと言って一般人に生まれたとしても戦争に巻き込まれるリスクがあるし……。

 

 ビビっていても仕方がねぇ! と半ば吹っ切れた彼はこの世界で生き残るためにパソコンを開いた訳なのだが……。

 

 「……やっっったぁぁぁ!!

 

 そこに映るは日本語、そしてガンプラ……それも、ガンプラバトルの映像!

 彼はここがガンダムビルドファイターズの世界だと分かり、戦争全然無いクッッソ! 平和な世界になんとか転生できたということが分かって、精神年齢██歳なのに子供のように──子供だけども。はしゃぎまくり、叫びまくり、そして全然慣れていないダンスを勝利記念に踊ったせいで小指がタンスの角へとクリティカルヒット!

 

 ……すごい腫れた。

 

 「キョウシロウ! 大丈夫か!?」

 「ちょっと! 腫れてるじゃ無い!」

 

 ……お父さんとお母さんも来た。

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 せっかく男の夢なガンプラバトルが出来るんだから、好きなガンプラで戦いたいよねぇ! てな訳で俺はダリルバルデと検索した訳だが……検索した瞬間、ふと思われる。

 

 ガンダムビルドファイターズは2013年のガンダムのアニメだからダリルバルデ無くね……と。

 

 『当たり前だろうが!』と皆さんは言うだろうが……。

 

 「嘘でしょ?」

 

 ──あったのだ、ダリルバルデが。

 

 これが意味する事は一つ、この世界はガンダムビルドファイターズの世界ではあるのだが、俺が転生させられた時のガンダムシリーズがあると言う事実……つまりは、ちょっとしたifの世界。

 で、それが何か問題?

 

 俺がガンプラバトルするにはなにも問題は無い! 

 

 そうだ、せっかくなら浪漫を極めよう。

 誰も思いついたことが無いような浪漫を……!

 

 「うっしゃぁ! やるぞっ!」

 

 

 「うるさいわよっ! 静かにしなさい!」

 

 

 

 ……ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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