あなたが「いちにんまえ」になるまで 作:オーバードライヴ
こんにちは ニシノフラワーさん。
お手紙ありがとうございました。昨日は成人式があって、先生からあなたが書いてくれたお手紙を受け取りました。トレセン学園の飛び入学試験の結果待ちのころ、二分の一成人式の時に書いてくれたお手紙です。このお手紙はその返信として書きました。ちょっぴり長くなりますが読んでもらえるとうれしいです。
10年後のあなたは、日本基督教大学(キリスト教大学と読みます)という大学に通う大学生になりました。トレセン学園に無事入学して、無事に卒業して、今は先生を目指して勉強をしています。もう少しで大学も卒業して、次の9月からはアイルランド公国のダブリン・トリニティ・カレッジに留学できる予定です。あなたの考えていた未来とは、ちょっぴりちがいますが、やりたいことをやって、進みたい道を進んでいます。
あなたが書いてくれた20さいまでにかなえたい3つのことを読みました。「身長をのばすこと」、「トゥインクルシリーズでトリプルティアラをとること」、「ちゃんとお姉さんになって、たくさん勇気をあげられるウマ娘になること」ですが、かなったこと、かなわなかったこと、かなったかどうかまだわからないことがあります。
身長はあまりのびませんでした。それでも一の位で四捨五入すれば150センチです。15センチはのびたのでかなったと思うようにしています。
トリプルティアラは残念ですが、かないませんでした。トレセン学園に入ってから言われたことですが『オープンを勝てるだけでふるさとにむねを張って帰れる』そうです。今思えば、わたしはかなりわがままな子だったのかもしれません。
ちゃんとお姉さんになれたかどうか、勇気をとどけられるウマ娘になれたかどうか。これは今でも自信がありません。トゥインクルシリーズで重賞をとっても、たくさんのお友達やライバルができても、むずかしいことがたくさんあります。
大きくなること、お姉さんになること、大人になるということは、とてもむずかしいことでした。
子どもではないことと大人になることはまったく別なのだと、わたしはトレーナーさんから学びました。勇気という言葉はわたしが考えていたより、ずっとずっと重たいもののようです。かんたんに口にしていいものではないということも、身をもって知りました。今でも泣いてしまうことはあります。つらかったり、不安だったりで夜にねむれないこともあります。思い出すとはずかしくて、わーっとさけびたくなるようなことも、たくさんありました。
ですが、こうかいなんてしていません。本当ですよ?
これからあなたはトレセン学園に入学して、たくさんがんばって、たくさん泣いて、たくさん笑っていくことになります。友達も大切な人もたくさんできて、好きな人ができて、ケンカもして。おこって、おこられて。許して、許されて。そんないそがしい毎日を過ごすでしょう。
そんなあなたに伝えたいことが三つあります。
一つ目は、周りの人を信じてあげてください。周りのみなさんはあなたが思うよりあなたのことを大切にしています。心配だったり不安だったりした時は、相談すればきっとあなたといっしょに考えてくれます。だから一人でかかえこまずに話すようにしてほしいです。たよらなければ、たよってはもらえないのです。信じなければ、信じてはくれないのです。
二つ目は、手をのばすことをためらわないでください。なんとかしたい、力になりたいと思ったときの気持ちは、あいまいで正確ではないかもしれませんが、おおきく外れることはありません。めいわくかもしれない、余計なお世話かもしれない、相手も自分もきずつけるかもしれないと、そうこわくなるかもしれません。ですが、手をのばさない限り、どんどん悪くなっていきます。次に気が付いたときは間に合わないかもしれません。だから、ためらわないでください。その時のあなたは、きっとまちがっていません。
三つ目は、大切にしたい人を見つけたら、ちゃんと言葉にしてください。言葉にしないと伝わらないことって、本当にたくさんあります。キリスト教の神様も、言葉で世界を作ったそうです。だからちゃんと言葉にして伝えてください。それができれば、きっとあなたは、すてきなお姉さんになれます。
この3つは今でもむずかしいですけれど、本当に大切なことだと思っています。ですから、不安でも、大変でも、前を見て進んでください。それがきっと、勇気を持つということなのだと思います。
きっとあなたはだいじょうぶです。
どうか、あなたの勇気があなたの進む道を照らしますように。