アウルム・ミダスティア
「さて……行くかな」
金髪の髪を腰まで伸ばして一纏めにし双眸は碧眼のその少女はその両手に絹のような薄さの黄金のグローブを嵌めていた。
少女……アウルム・ミダスティアは登校の準備をし終わった後、仏壇に手を合わせて呟く。
「行ってきます、お母さん、お父さん……」
そう言ってアウルム・ミダスティアは自身の通う高校、雄英高校へと向かい教室へと到着して席へと座り友人達とお喋りをする。
「今日の授業は午後からヒーロー基礎学……一体何をするんでしょうね」
そう語りかけてくる八百万百。
それに対してアウルムは気さくに告げる。
「オールマイト先生がやる授業ですものね……まぁある程度の予想は出来ますが期待して待っていましょう」
そうこうしているうちに午前中の授業が終わり昼休みを挟んで午後からの授業、ヒーロー基礎学が始まる。
アウルム・ミダスティアは女子更衣室でヒーローコスチュームに着替える……アウルム・ミダスティアのコスチュームは徹底的なまでの実用性が重視されている為左右の臀部に近い腰の辺りに投擲用のナイフが2本ずつ装着されている。
また実用性のみをコスチューム会社に要望した為、麗日お茶子と同じくボディラインがめちゃくちゃしっかりと出るコスチュームになっている、Iカップは伊達ではない……耳郎響香からの視線が痛い程突き刺さるが。
オールマイトより説明がなされるが……要はヒーロー側であるアタッカーと
くじ引きで決まったペアは轟焦凍でヒーロー側であった為、作戦立案と共に話し合い握手を交わす。
その際轟焦凍より苦言を呈される。
「マナーがなってないな、基本的に人と握手する時は手袋を外すもんだぜ」
それを聞いたアウルム・ミダスティアは自身の頬を掻きながら不敵な笑みを浮かべて言の葉を紡ぐ。
「やめといた方がいいですよ? 私と素手で握手したら……貴方は固まってしまいます、それこそ彫刻のようにね」
轟焦凍はその言葉の真意が分からずにいたが1番最後で順番が来た為に意識を切り替え隣に立つアウルム・ミダスティアへと告げる。
「さてと……順番が来た……作戦通りに」
焦凍がそう告げた刹那、出入り口から目標のビルそのものを一瞬で凍らせてビル内に既に陣取っている
それを感覚で理解したアウルム・ミダスティアは焦凍に対して告げる。
「……焦凍、作戦の第一段階は失敗です、凍結程度でダウンする相手ではないですね」
そう言いながらアウルム・ミダスティアは自身の両手に装着している絹のような薄さのグローブをビルの出入り口へと投げ捨ててその両手を露わにする。
そして……ビルの出入り口に溢れている焦凍の放った氷に触れると……その刹那、氷全体が黄金へと変化する、それどころかビルそのものも黄金化が進んでおり中に居る八百万百も飯田天哉もそれは例外ではなかった。
完全に黄金化して生きた人間からただの物言わぬ彫刻へと変化する。
それを自身の個性で感覚的に理解したアウルム・ミダスティアは表情一つ崩す事なく告げる。
「完全に黄金化しましたね……さてと……核を確保して終わらせましょう」
そう告げて悠々とビルに入り核を確保し訓練を終わらせる。
指をパチンッと鳴らすと黄金化されていた全てのものが元に戻るが八百万百と飯田天哉の顔は恐怖に歪んでいた。
訓練後、最後の訓練を観戦していた者と実際に戦った者から疑問点が告げられる。
「アウルム・ミダスティアさん……貴方の個性は一体何だったのですか?」
そう身体と声音を震わせながら告げてくる八百万百、その身体は恐怖で震えている、まだ覚えているのだ……身体がじわりじわりと黄金に変わっていく恐怖を。
アウルム・ミダスティアは顎に手を当ててしばし考えてから言の葉を呟く。
「個性……ですか、私はこの個性を『呪い』としか見ていませんが……まぁそこは置いときましょう、私の個性は『黄金』ですよ」
黄金、その言葉に対し皆が一応に分からないという反応を見せる。
それを感じ取ったアウルム・ミダスティアは頬を掻きながら告げる。
「私の両手は……あらゆる物を黄金へと変える呪いの手です、この手に触れた物、生物、無機物、実体のない物質、空間、対象物が何であろうと無関係にその自他を問わず全ての物の構造を強制的に書き換え黄金化させ黄金化した物及び黄金そのものを自由自在に操る『個性』です……直接触れずとも私の手から発する衝撃波や光、レーザー、私が触れたモノが触れた場合、銃や投げナイフなどが命中した場合も同様に黄金化します……黄金化したものは本来そのものが持ち得る力は全て失われ黄金の彫刻と化しますが、私のみがその本来の力使うことが可能です、黄金化は私の意思1つにより進行を遅めたり、解除することも可能です」
そこで言葉を区切り深呼吸をして再度言の葉を紡ぐ。
「またこの黄金にする事それ事態が一瞬で超広範囲に凄まじい速度で効果が現れる上、この個性の使用も手で触れるor変換された物に触れる以外はノーモーションかつ知覚できないことから回避も防御も事実上不可能……そしてこの『個性』で生み出した黄金にはひとつの特徴があります……それは私の意思以外では絶対に壊れないということです、なので私の黄金を加工する事は私以外には出来ず、他者から見た場合、金銭的な価値はまったくないという事になります。「絶対に壊れない」という特徴を生かし、美術品にするか武具として利用するくらいでしょうか……武具という一例を挙げるならば、マントを広げれば絶対に破壊できない盾となり、剣の形にすれば決して砕けることのない刃が……小技ではありますが無造作に引き抜いたこの私の髪でさえ絶対に破壊不可能な投擲武器や決して切れない糸となるあたり言い換えるならば「ほとんどなんでも武器になる個性」と言って差し支えないと思います、そしてこの個性は私が自分の意思で解除しない限り、なにがあろうと効果が維持されます、例え私が死んだとしても……あと『特定状況下でしか発動できない』というような制限も一切ないです」
無感情でそう告げたアウルム・ミダスティアであった。