委員長が飯田天哉、副委員長が八百万百に決まった翌日。
アウルム・ミダスティアはコスチュームを着てバスに乗っており横に座っている八百万百と話し合うUSJ、ウソの災害や事故ルームへ行くとの事……救助訓練……この『呪われた』手で何かを救う自身が全く想像できないアウルム・ミダスティアは窓の外を観ながら溜息を吐き呟く。
「救助訓練……ですか……はぁ……」
アウルム・ミダスティアのその呟きを聞いた八百万百は何かと思いアウルム・ミダスティアの方を見るが大丈夫、とアウルム・ミダスティア自身より告げられた為に会話はそれ以上踏み込む事なく終わった。
そしてバスはUSJへと到着し救助訓練の教師を務める13号先生よりお話しがされる。
USJに到着し建物の中に入る前に、訓練が始まる前にと前置きした13号先生によるお小言が1つ2つ3つ4つ5つ……増えていく。
端的に言えば13号先生の個性であるブラックホールは簡単に人を殺せる個性であり、私達の個性も同じである。
人を簡単に傷つけて簡単に殺せて簡単に人を害する個性であるという事。
一例を挙げるならばアウルム・ミダスティアの個性や爆豪君の爆破や芦戸三奈の酸や轟焦凍の半燃半凍であろうか……。
お小言が終わりUSJへと到着し皆で中に入り13号先生と相澤先生による説明が行われようとしたまさにその刹那。
黒い霧が顕現し数多の
「初めまして、雄英生徒諸君、私達は
それを見聞きしたクラスメイトの1人、切島が呟く。
「なぁ……アレも訓練……?」
その呟きを聞くよりも早く相澤先生が指示を飛ばす。
「一塊になって動くな‼︎ 13号‼︎
そう怒鳴りながら30数人はいるであろう
自身の『抹消』が効かないであろう異形型の個性持ち
アウルム・ミダスティアは隣にいるクラスメイト、緑谷出久や峰田実が歓声に沸き起こる中……自身の手に装着している絹の様に薄い手袋を外し腰に備え付けられた投げナイフのハンドル部分を握り締めていつでも投擲できる様に備えていると黒いもやが突如として眼前に迫っていた。
相澤先生が無視したとは思えず……又、視界の端から唐突に現れた事、このUSJに侵入した時に黒いもやが真っ先に顕現した事から推察するに……。
「ワープかそれに類する個性ですか」
そう言の葉を紡ぐアウルム・ミダスティア、言の葉を紡いだ刹那……腰に備え付けられた投げナイフ2本を目にも止まらぬ速度で黒いもやへと向けて投擲するも、もやに包まれた部分には実体がないのか音もなくすり抜けて黒いもやの後方のコンクリートで舗装された地面にザンッと渇いた音を立ててコンクリートの地面に刺さる。
ナイフは確かに当たらなかった、しかし……そんな事はどうでも良い、もやの部分には実体がない事など可能性の一つとして予測していた事だ……確実に言えるのはただ一つ。
「無駄でしたね、
黒いもやの
もやの一部が黄金化し操作が効かないどころか実体にまで黄金化の影響が出かかっている。
「クッ……これは……ッ‼︎」
黒いもやを生み出している
黄金化の効力がほんの僅かながら落ちてきたのを見て余裕が生まれたのか黒いもやを生成し続けている
「貴女の個性……黄金化ですか……しかしながら……この私の本体が黄金化為されないという事実を鑑みると……黄金化の緻密な操作には不慣れだと見える、超広範囲を黄金化できる様ですがその逆……極小の範囲を黄金化するにはまだまだコントロールが足りない、故にこうなる」
アウルム・ミダスティアがチラリと後ろを見た刹那、背後に脳が剥き出しになった人外の怪物が其処には居た。
アウルム・ミダスティアが反応する間もなく脳が剥き出しとなった化け物に人外の膂力で殴打されて100数十メートル近く吹き飛ばされて壁に激突しコンクリート壁が破砕され土煙が舞い上がる。
クラスメイトと13号先生の悲痛な声音がこだまするがそんな物で戦況が変わるなら戦闘は最も気楽な娯楽に成り下がっているだろう。
そうならないからこその現実なのだ……。
しかし、アウルム・ミダスティアを殴打した脳が剥き出しになっている化け物の右腕は前腕部まで黄金となり金色に輝いていた。
黒いもやを生成し続けている
1人逃した黒霧は脳が剥き出しとなっている人外の化け物の方をチラリと見ると黄金と化した右腕を自切して新たな腕を生やしていた。
しかしそんな事は瑣末な事、問題は吹き飛ばした黄金化の個性を有する少女の方……あの人外の膂力で殴打されて万が一にも生きているとは考えられないが万が一という事もある。
ここは念には念を入れて確実に殺しておくべきであろう、その肉体の両断という形で。
そう判断し少女が殴打され吹き飛ばされて破砕されているコンクリート壁を見ると……其処には未だ晴れぬ土煙りが……しかし血に塗れた地面と壁が、そして……無惨な肉片が転がっているであろうと、あの人外の膂力で殴打されて死んでいない筈がないと……そう考えたが、その考えを振り払い……その死を確実な物にするべく……ワープゲートを半開きにして少女の上半身を自身の眼前に、そして下半身をそのまま殴打された壁際へと放置してワープゲートを閉じる……いくら便利な個性を持つヒーローの卵とはいえ所詮は人間、肉体を両断されて生きている道理はない、故に黒いもやを生成している
そう……確信していた。