【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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合宿編、スタートです


林間合宿①

 休日が明けて遂に林間合宿当日。

 アウルムは林間合宿行きのバスに乗り込むと自由席となっていた為に適当に手近な席に座ると隣に焦凍が居た。

 アウルムは気さくに挨拶をするが声音の所々がほんの僅かにうわずっており、また頬もほんの少しだけ赤くなっていた。

 

「おう……おはようアウルム……なんか目の下にクマ見えるけど大丈夫か?」

 

 焦凍はぶっきらぼうにそう返すがよく見ると耳が赤くなっており緊張によるものかはたまた気恥ずかしさによるものだと理解できた。

 アウルムはそう指摘されるとゆっくりと上を見上げて頬を掻いて昨日の事を思い返していた。

 焦凍と冬美さんと別れて家に着いたあと……風呂に入って寝ようとしたが……い……言えない、言える訳がない、焦凍の事を意識しすぎて碌に寝れなかったなんて……本人には絶対に。

 故に当たり障りのない言葉で返答する。

 

「え……えぇ大丈夫です、ご心配ありがとうございます」

 

 つ……辛い‼︎ あの時まではまるで意識していなかった分、焦凍に対する自身の期末試験での言動や雄英体育祭での言動がとんでもなくゆっくりと遅い、しかしとんでもない重さの衝撃となってアウルムの脳内を巡っていた。

 移動しているバスの中……焦凍もアウルムも互いに言葉を短く交わしただけであとはずっと外を見ていた。

 そして1時間後、バスが止まる……が、どう見てもパーキングではない……全員が降りたのを確認したのちバスのエンジンがかかり運転手以外は誰も乗っていない状態で目的地に行ってしまった。

 それを見た上鳴電気や芦戸三奈、砂藤力道らはブーイングを行うが相澤先生に睨まれて即座に沈黙する。

 そして……バスが止まっていた場所に居たのはワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのメンバーであるマンダレイとピクシーボブであった。

 マンダレイが山の麓を指して語る。

 

「今は9.30……早ければぁ……12時前後かしら? 12時半までに辿り着けなかった人はお昼ご飯抜きね」

 

 マンダレイがそう語り、相澤先生が呟く。

 

「悪いな諸君……合宿はもうスタートしている」

 

 ピクシーボブが自身の個性である『土流』で地面を流しA組を崖下へと叩き落とす。

 それを見た相澤先生はため息混じりに呟く。

 

「……何で避けてるアウルム」

 

 黄金の階段を空中に形成したアウルムはそれを伝ってゆっくりと崖下に歩いていきながら相澤先生へと答える。

 

「いや……つい反射的に、あと私がアレに巻き込まれるとどうしても空中で土だけ黄金化して固まってクラスメイト全員クッション無しで地面に叩きつけられちゃう可能性があるので……そんなに睨まないでください……降ります、降りますから……」

 

 それを見た後に、全員が崖下へと行った後に、マンダレイが叫ぶ。

 

「私有地につき『個性』の使用は自由だよ‼︎ 今から3時間‼︎ 自分の脚で施設までおいでませ‼︎ この『魔獣の森』を抜けて‼︎」

 

 そう告げるとA組の面々はやるっきゃないな……そう呟いて魔獣の森を爆進していった。

 それを見送った後……マンダレイは相澤先生へ告げる。

 

「しっかし……無茶苦茶なスケジュールじゃないか? イレイザー」

 

 そう問いかけられたイレイザーは髪を掻いて告げる。

 

「まァ……通常時は2年の前期から修得予定のモノを前倒しで取らせるつもりで来ているのでどうあっても無茶は出ます……緊急時限定個性自由行使許可証……通称ヒーロー免許……その仮免、(ヴィラン)が活性化し始めてる今1年生達にも自衛の術が必要です」

 

 そう言って……相澤先生もワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの面々も生徒と鉢合わせない様に別ルートで魔獣の森を抜けて施設へと向かい1時間で到着する。

 そして食事の準備や諸々を行う。

 そして夕方……16.15分。

 アウルム・ミダスティア以外の全員がそれなりに疲労困憊の状態で、森を抜けるのに個性を過剰に使用してそこそこズタボロのA組メンバーが幽鬼の表情とゾンビの如き遅々とした足取りで現れた。

 相澤先生は疲労困憊の生徒達に指示を出す。

 

「疲れてる所悪いが、休んでる暇はない、とっととそれぞれの荷物をバスから下ろして部屋に運べ、その後19.30分に夕食、20.30分に入浴してからの就寝だ、夕食までは自由時間だ‼︎ さぁ行け、本格的なスタートは明日からになる予定だ……アウルムは荷物置いたら俺の所までちょっと来い」

 

 アウルムはそれを聞いて頬を掻きながら了解です、と呟いて荷物を置きに一旦部屋へと移動していった。

 それを聞いたマンダレイは相澤先生の隣に立ちため息混じりに呟く。

 

「……あの子、アウルムって言うんだね……あの子だけ全く疲れていなかったね、単純に……あの子だけは確かに魔獣の森は一切の訓練にならなかったね……余りにも魔獣の森の土魔獣達と相性が良すぎた」

 

 合宿施設の通り道である魔獣の森にはピクシーボブが個性で作った土塊のモンスター達が何10匹か放ってある、当然……個性を使わせて撃破していくという訓練の一環な訳であるが……その手で触れたモノ全てを黄金に変換するアウルムとの相性は最悪の一言、アウルムからすれば恐らくはちょっと道が悪いウォーキング程度のものだろう。

 アウルム1人であればおそらく指定した時間までに来れたはずである……それ程までに土魔獣達との相性が良い。

 大幅に時間が掛かったのはクラスメイトのフォローやサポートに徹していたからであろう。

 そもそもバスから降ろした時に告げた『合宿は始まっている』と言う言葉通り本来は『魔獣の森』で土魔獣達と戦いつつ施設を目指す事で移動しながら訓練をするのが1日目の内容であった。

 だがしかし……その訓練がウォーキング程度になっているのならば話しが違う、それは一切訓練になっていない。

 相澤先生は溜息を吐いてマンダレイに告げる。

 

「実質的に、理解していたのかしていないのかはさて置き……アイツだけ訓練サボってた様なモノです……だから夕食までの3時間……私とワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの皆さんによる模擬戦を行いたいと思うんですが……大丈夫ですか?」

 

 それを聞いたマンダレイは髪を掻いて相澤先生へと返す。

 

「それには私も同意だよ……他校でも林間合宿請け負った事があるけど毎年どこの学校でも誰かしら1人2人はこう言うパターンはあるからね……」

 

 そう告げるとマンダレイは自身の個性である『テレパス』で自身の仲間達に通達を行う。

 その直後、制服姿のまま相澤先生の下に現れるアウルム・ミダスティア。

 

「お待たせしました、相澤先生……用件は何となくですが分かっているつもりです……始めましょう」




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