アウルムの純白の肌が赤く染まり、頬から火を超えてマグマが出る程真っ赤になっているアウルム。
とりあえず急いで……芦戸さんや八百万さんには轟焦凍とはまだ付き合ってない事だけは告げた。
しかし、焦っていたが故に語った後で気づく、自身の過ちに、そして先程以上に顔が赤く染まる。
詰まるところ……アウルムは轟焦凍への好意を持っている事を否定しなかった。
それに気づいた刹那、アウルムは布団へ入り込みパタパタと足を動かし枕で顔を覆い隠し『ムキュー‼︎』とよく分からない叫びをあげ恥ずかしさからか耳まで真っ赤になっている。
それを見た八百万百や芦戸三奈はほっこりした表情でアウルムを見ていた。
そして翌日……。
個性伸ばしの訓練が始まった。
早朝5.00相澤先生より告げられる。
「おはよう諸君、今合宿の目的は全員の強化及びそれによる『仮免』の取得だ……具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備だ心して臨む様に」
そうして入学初日に投げたボールを爆豪勝己が投げた。
入学初日の記録は705.2m……そして色々と濃かった3ヶ月間が経過した現在の記録は……707.6m。
……予想以上に伸びてない、なるほど……成長したのは精神面と技術面、それに多少の体力面……個性そのものは全然、一切鍛えられていない。
そうして個性伸ばしの訓練が開始された。
アウルム・ミダスティアが伸ばすのは主に
黄金化で一部分のみ侵蝕させたモノの侵蝕速度の上昇。
黄金化の範囲内にあるモノの侵蝕速度の上昇。
黄金化したモノの操作精度と探知精度及び感知精度、又それらの範囲の上昇。
黄金化したモノの周囲にあるモノの黄金化の侵蝕速度の上昇。
黄金化したモノの加工速度の上昇。
操作できる黄金の質量の増加。
黄金化したモノを操作する際における並列思考の修練。
感電やその他妨害による黄金操作精度の低下と探知精度の低下を抑える訓練。
それらをこの合宿で鍛えていく。
「ぬぁぁぁぁぁ‼︎」
アウルム・ミダスティアがその手を地面に着けて周囲を黄金化し黄金化した木々や葉っぱを操作、遠距離にあるまだ黄金化していない物体を感知し黄金化を侵蝕させる。
木々の一部分のみ黄金化させ黄金化した木々の一部分を操作していく。
そして地獄の様な訓練が延々と続いていく。
そして夜……ズタボロになりながらカレーを作る。
カレーをよそったアウルムはそれを持ったまま小さな足跡を辿って見晴らしの良い場所へと向かう。
「良い景色だねぇ……お腹減ったでしょう? カレー持ってきたよ」
そう洸太君へと告げるアウルム。
それを聞いた洸太君はアウルムへと怒鳴りつける。
「何でテメェがここに‼︎ 要らねえよ‼︎ それ持って消えろよ‼︎」
そう怒鳴られるがアウルムは頬を掻きながら柔和な笑みを浮かべて告げる。
「足跡を追ってね、お腹なってるけど……お腹空いてないかい? はいカレー……食べるかい?」
カレーを差し出すが洸太君は受け取ろうとせず叫ぶ。
「要らないって言ってるだろ!? いいから消えろよ‼︎ 俺の秘密基地から出てけ‼︎ 個性を伸ばすとか皆張り切っちゃってさぁ‼︎ 気色悪いよお前ら‼︎
そう怒鳴られるがアウルムは何かを察したのか表情を崩す事なく告げる。
「そっか……君のご両親、殉職したヒーローなんだね」
そう告げた刹那、洸太君から凄まじい敵意を発した目で睨まれ叫ばれる。
「何で……何でテメェがその事を知っている‼︎ ……ッ‼︎ マンダレイか‼︎」
そう洸太君は叫ぶがアウルムは洸太君の事を見ながら呟く。
「マンダレイからは何も聞いてないよ、私や緑谷出久を見た時の君の言葉と態度と今の発言から察した……私もね……君の気持ちが分からない訳ではないんだ、ちょうど君くらいの歳の頃に私も両親を強盗に襲われて唐突に失ってるからね……」
そう言の葉を紡ぐと洸太君は叫ぶ。
「うるさい‼︎ いいんだよそんな嘘までついて俺の事を慰めなくても‼︎」
洸太君がそう叫ぶもアウルムは洸太君の隣に座り込んで構わず言葉を続ける。
「本当さ……私の親もヒーローだった、だからこそ……親を唐突に失って絶望する気持ちは痛い程分かるよ……親が世界の全てだったのにその親が急に居なくなった、なのに世間はヒーローとして最期の最期まで素晴らしい活躍をしたね、名誉ある死だったねって褒め称えてくる……そんな事を言われても親は帰って来ないのに、悲しみが消えるわけでもないのにね、慰めの言葉よりも称賛の言葉の方が何十倍も多いなんてふざけんなって話しだよね……」
そうアウルムが呟くと洸太君は目から涙を零しながら嗚咽混じりに呟く。
「そうだよ……何で‼︎ 何で僕を置いて……急に……悲しかったのに……みんな君の親は素晴らしかったね、良い事をしたね……なんて事を言ってきて‼︎ 何で悲しいのにそんな事を‼︎ ふざけんなよ、パパとママが死んだのに何でかけられる言葉が『良い事をしたね』なんだよ‼︎ こっちは悲しいのに‼︎ 泣きたいのに‼︎ 何でそんな言葉をかけられなきゃいけないんだ‼︎」
そう叫ぶ洸太君の頭を優しく撫でるアウルム。
「そうだね……うん……うん」
そう叫ぶ洸太君の頭を優しく撫でているといつの間にか洸太君が泣き疲れてしまったのか寝てしまった。
「寝ちゃったかぁ……起こさない様にして連れ戻すかな」
カレーを落とさない様に黄金化して浮遊させて両手を使える様にすると洸太君を抱き抱えて施設の方へと歩いて戻ろうとした時、緑谷出久の姿が見えた為に寝ている洸太君を起こさない様に小声で喋る様に告げる。
秘密基地を指で指し示して緑谷へと告げる。
「緑谷さんも洸太君が心配できたのかな? 洸太君は秘密基地でそこに居る時があるから憶えておくといいよ? ……おっと、今洸太くん寝てるから静かにね」
そう告げて歩いて戻ると洸太君をマンダレイにお願いしてお風呂へと入り……就寝となる。
訓練の疲労が皆蓄積している為に流石に昨日の様に恋バナやトランプなどは出来ずに布団に入ると即座に睡魔が襲ってきて熟睡してしまった。
そして3日目がスタートした。