3日目の早朝。
個性伸ばしの訓練をスタートしているアウルム。
やる事は昨日とさほど変わらないが今日は黄金を操作しながら妨害に対応するという訓練の為に放電中の上鳴電気の放電範囲内で行う事となった。
当然、上鳴も個性伸ばしの訓練中なので本気で放電してくる。
舌を噛まない様に猿轡を自身で装着して行うが文字通り死ぬほどキツい、しかし訓練で出来ない事が何故実戦で出来るなどと思うのか? 死ぬ程痛いが死ぬ訳じゃないし訓練故に安全は最低限考慮されてる。
実戦で隙を晒した場合、そのまま死に直結するのだ。
電撃を喰らいながら個性を扱い先に黄金化させていた1枚の葉っぱから周囲の黄金化を操作していく。
意識が飛びかけて黄金の操作精度と探知精度が激減するが何とか持ち直して耐える。
それが朝から晩まで、永遠に思える時間の中続いていく。
訓練の終了時刻となり……食事の後に……肝試し対決が開催される。
アウルムは柔和な笑みを浮かべつつ絶望した顔で呟く。
「ははは、怖いの超やだ……幼児向けのお化け屋敷すらめちゃくちゃ怖くて行けないのに……何で……どうして……救けてヒーロー」
いつも不敵な態度で全てにおいて凛としているアウルムとは思えない程に顔が引き攣っておりしかも周囲がドン引きする程怖がっていた。
赤点組が全員補習にぶち込まれた為に20人で偶数人居たのが15人となった為に奇数人となりくじの引き運次第では1人で行く可能性すらある……。
運命を決める厳粛なるくじ引きの結果……。
アウルム・ミダスティアが死んだ目で、遥か彼方の空を見上げて幽鬼の如き表情で、世界に絶望した表情で片言になりながら呟く。
「なんで……どうして……アハハ……ハハハ……モウダメダ……オワッタ」
どうやら運命は彼女を見放した様だ……。
所要時間15分という普通ならばそう長くない、しかしアウルムにとっては永劫にも思える程長い時間の肝試し、まさかの相方無し。まさかの1番目でスタート、アウルム・ミダスティアにとっての不運は雪だるま式に加速していた。
無情にも肝試しがスタートして僅か1分後、アウルム・ミダスティアの絶叫がこだまする……それはもう……うるさい位に、何処からその声量が出ているのか分からない位に……もっと具体的に言うなら既に……アウルムの事をおどかした各位置のB組の面々が耳を塞いで顔を顰める位に。
A組の面々も苦笑いしつつ、3組目のペアがスタートしていく。
「ハァ……怖いよぉ〜……もうやだよぉ〜……」
そう大粒の涙を溢しながら呟く1人先頭を歩いているアウルム、アウルムにとってせめてもの救いは道順があらかじめ定められており尚且つ道に迷わない様にご丁寧に立て看板が設置されてる為に絶対に道に迷わない事であろうか。
泣きながら所定のルートをおっかなびっくりで歩くがその歩みは遅々として進まない。
アウルムは相変わらずエグッアグッと嗚咽混じりに泣き言を呟く。
その直後、アウルムの背後からマジシャン風の装いをした誰かが音もなく現れてアウルムの背中へとナイフを横に一閃した。
音もなく薙ぎ払ったナイフの一閃はスレスレの所で躱される。
「ハァ……誰ですか? 貴方」
先程まで号泣し……泣き喚いていた少女とはとてもではないが同一人物とは思えない。
ナイフを持ったマジシャン風の装いをした
「夜分遅くに大変失礼致します……私はMr.コンプレス、
それを聞いた刹那、アウルムは先程の、恐怖に飲まれ号泣していた少女ではなく……ヒーローの卵として躊躇いなく告げた。
「そっか……悪いが先程の一閃で私の指がナイフに触れた」
指先からうっすらと血が滲んだその指を舐めながらアウルムはそう告げる。
そう言った刹那、Mr.コンプレスと名乗った
アウルムは警戒を解かずに一瞬だけ空を見上げて月と星の位置を確認して自身が今いる位置を割り出す。
今いる位置は肝試しルートのスタート地点とゴール地点のちょうど……ど真ん中であった。
アウルムは舌打ちしながら横目でつい先程四肢を黄金化させて行動不能にした
なのに黄金化した
アウルムは再度舌打ちしながら相手の個性を予想する。
幻術? いいや違う、最初に黄金化した
考えているとナイフを取り出して一閃してくる。
それも3人同時に。
ナイフを避けつつラビットヒーローミルコ直伝のCQBで対応するがいかんせん相手の個性が不明な現時点での応戦は実に不利、木々を黄金化し盾にしながらナイフを回避する。
それでもなお襲ってくる
まるで元から複製であったかの様に。
黄金化した木々と四肢を黄金化させている
「この個性持ちと私の個性とは最悪の相性だな……空間を圧縮して閉じ込める個性か……そして最低でも2人の
刹那、マンダレイよりテレパスが入る。
『
それを聞いたアウルムは舌打ちして呟く、ここだけではないのか、と……そう呟いた刹那……チクリとした微かな痛みが自身のふくらはぎに襲いかかる。
確認するとズボンを貫通して針状のナニカが刺さっており、嫌な予感がしたアウルムは即座に屈んで針状のナニカを取ったが既に遅かった。
強烈な目眩が突如として起き視界が回転しそれに伴った強烈な吐き気がアウルムを襲う。
回る視界により立つ事すらままならなくなり突如として込み上げてきた吐き気と共に地面に四つん這いになって胃の内容物を全て吐き出してもなお止まらない程の多量の嘔吐を繰り返す。
しかも少しずつ手足の先の方から痺れてきており思う様に身体を動かせない中、背後より何者かが迫ってくる気配を感じとり這いずって逃げようとするが間に合うわけが無い。
更に追い討ちをかけるかの様に遠くの方では地響きを思わせる轟音が響いていた……音の方角と位置からして洸太君がいつも居るであろう秘密基地……助けに行こうと足を動かそうとするが麻痺が進み微動だにしない。
木々が擦れて謎の誰かが接近してきた為に自身の個性である黄金を用いて逃走しようとするが、いまだに回る視界のせいで思う様に動けないでいた。
そして……逃げる余裕も無く遂に木々の向こうから誰かが現れた。
「アウルム‼︎ 無事か⁉︎」
聞き慣れた声音が耳に入りうつ伏せの状態で何とか視界に映すとそこに居たのは轟焦凍と爆豪勝己であった。
「しょ……と? ばくご?」
酷くなる目眩と吐き気の中、何とか絶え絶えに言葉を搾り出すアウルムだが意識が混濁しておりとてもではないが動ける様な状態ではない。
轟焦凍と爆豪勝己はアウルムの状態を確認すると嘔吐物で窒息しない様に対処したのちに……口元をハンカチで拭い焦凍がアウルムを背負う。
「ちょっと揺れるけど我慢してくれな⁉︎ すぐに施設に退避する‼︎」
そう焦凍に告げられアウルムは非常に弱々しく、今にも消え入りそうな声音で2人に呟く。
「はは……ありがとうね、2人とも」
それを聞いた轟焦凍は無言で頷き、爆豪勝己は乱雑な言葉で叫ぶ。
「アァン⁉︎ なんか言ったか黄金女ァ‼︎ そんな状態で喋るなボケが‼︎ テメェは目ぇ閉じて寝てりゃ良いんだよ分かったな‼︎ 次喋ったら殺すぞ‼︎」
非常に乱雑な言葉使いだが爆豪なりにアウルムを慮った結果の言葉である事を察して小さくか細い声でお礼を告げるアウルム。
「ありがとうね、2人とも」
それを聞いた爆豪勝己は再度怒鳴る。
「だぁからぁ‼︎ 黙って寝てろって言ってんだろ‼︎ 役立たずのクソカス‼︎」
『A組B組総員‼︎ プロヒーローイレイザーヘッドの名に置いて戦闘を許可する‼︎ 繰り返す‼︎ A組B組総員‼︎ プロヒーローイレイザーヘッドの名に置いて戦闘を許可する‼︎』
爆豪勝己がその言葉を吐いた刹那、マンダレイよりテレパスが入った。
そのテレパスの直後、木々を足場にして跳躍した拘束具で雁字搦めにされている謎の男から空中より大量の刃が突き立てられる。
焦凍は氷結で、爆豪は爆破で凌ぐが凌ぐだけであり相手には一切命中していない。
月明かりでほんの一瞬だけチラリと見えた謎の男の歯が刃となっており攻撃しようにも一瞬だけ攻撃して即座に木々に隠れ潜んでいる為に正確な位置の特定が出来ない。
なのに相手からはこちらの位置が丸わかりで更に言うのであれば高所を取られて不利な状況、しかも歯が刃になる個性を持った相手の衣服は拘束具であるが闇夜に紛れる黒衣であり視認性のし辛さに拍車がかかっていた。
そして戦闘不能になって、いまだに吐き気が消えていないアウルムを背負っているが故に大振りな動きが取れない。
森の中である為に爆豪勝己も轟焦凍も己が個性を十全に発揮する事が許されない、もしも使えば火に包まれてそれこそ動きが取れなくなる。
そして、先程から背後から迫って来るのは恐らく催眠ガスに類した有毒のガス。
焦凍は舌打ちしながら呟く。
「チッ……分かりやすく縛りかけられてるな‼︎」
焦凍が苛立ちながら吐き捨てた直後、再度マンダレイよりテレパスが入る。
『
それを聞いた爆豪勝己は青筋を浮かべその手に小規模の爆破を繰り返しながらイライラとした口調で言の葉を紡ぐ。
「かっちゃんかっちゃんうるせえんだよ頭ん中でよぉ……クソデクが何かしたなぁおい‼︎ 戦えっつったり戦うなっつたりよぉ〜……クソガァァァァ‼︎」
爆破を繰り返している爆豪勝己に向けて焦凍が相手の歯の刃を防ぐ為に氷壁を貼りながら注意を促す。
「おい爆豪お前狙われてるってよ、あと……アウルム……絶対に守らねぇとな……クソっしかしあいつ地形と個性の扱いが上手ぇ‼︎ 相当場数踏んでるぞ……爆豪……ここでデケェ火使って燃え移りでもしたら火に囲まれて全員死ぬぞ? 分かってんな?」
それに対して爆豪勝己は苛立ち紛れに言葉を返す。
「喋んな半分野郎‼︎ んな事言われんでも俺が1番わーってるわ‼︎」
しかし、防戦一方なのは依然として変わらない……手数も距離も向こうに分がある上に最大火力を用いた爆破や炎の放射を行えばこちらの視界も煙と炎が晴れるまで見えない。
もしもその一手で
そんな中、アウルムは非常に弱々しい声で、消え入りそうな程か細い声で轟焦凍と爆豪勝己の2人に呟く。
「焦凍……一瞬でいいので私の手を氷壁に触らせて、氷壁を黄金に変換します……大分身体はマシにはなってきました……まだ動けはしませんが、個性でアレを、あの
そうか細い声で呟くも爆豪勝己も轟焦凍も否定的な声音で告げる。
「ざっけんな黄金女‼︎ テメェは半分野郎の背中でゆっくり寝てりゃいいんだよ‼︎ 口を挟むなボケが‼︎」
「アウルム……お前、全然身体マシになってないだろ!? ふざけんな、そんなおまえを一瞬でも放っておける訳ないだろうが‼︎」
そう告げられるがアウルムは非常に弱々しい動きでゆっくりと被りを振って、消え入りそうな声音で言の葉を紡ぐ。
「ここで……防戦一方になるのはダメです……まだ私を襲った
そう呟くと焦凍は苦渋の表情を浮かべてアウルムを可能な限り安楽な姿勢で地面へと横にするとアウルムの手を氷壁へと触れさせる。
その刹那、
歯の刃全てが黄金化されて動きが封じられる、2秒という余りにも大きい隙を晒したその瞬間に……焦凍の氷結と爆豪勝己の爆破が直撃し
焦凍は振り返ってアウルムが居た位置を見ると……アウルムは煙の様に消え失せていた。
それを見た直後……滝の様に流れ出る嫌な汗を拭いながら焦凍は爆豪勝己に震える声で問いかける。
爆豪勝己は轟焦凍の言葉を聞いて焦凍の向いてる方を向きながら叫ぶ。
「なぁ……さっきまでアウルムそこに居たよな、確かに話してたよな⁉︎」
「あぁん⁉︎ テメェが背負ってたのは確かに黄金女だったろうが‼︎ 何で居ない様な言い方を……ッ⁉︎ 居ねェ……何処に消えたあのバカ女‼︎」
そう叫ぶ2人だがいつの間にか背後に居たマジシャン風の服装に身を包んだ謎の男の声音が響く。
「お初にお目にかかります、私はMr.コンプレス、アウルム・ミダスティアは俺のマジックで
そう言いながら、その手にビー球の様な物を持って告げた。
それを聞いた刹那、轟焦凍が叫ぶ。
「話しかけてくるとは余裕だな‼︎ ざっけんな‼︎ アウルムは物じゃねぇ‼︎ 返せ‼︎」
そう叫びながら大氷壁を放つもマジシャン風の装いをした
「ハッハッハ‼︎ 元々エンターテイナーなのさ‼︎ 返せ? 妙な話だぜ‼︎ アウルム・ミダスティアは誰のモノでもない、彼女は彼女自身のモノだぜ? エゴイストめ‼︎ 我々はただ凝り固まった価値観に対して『それだけじゃないよ』と道を示したいだけさ‼︎ ムーンフィッシュ……『歯刃』の男な……アレでも死刑判決控訴棄却される様な生粋の殺人鬼だ……それをああも容易く一方的に蹂躙する暴力性、爆豪勝己君、彼も良いと判断した‼︎ 悪いねぇ‼︎ 俺は逃げ足と欺く事だけが取り柄でよ‼︎ ヒーロー候補生なんぞと戦ってたまるかっての‼︎ 開闢行動隊‼︎ パッケージ回収完了だ‼︎ 短い間だったがこれにて閉幕‼︎ 予定通りこの通信後5分以内に『回収地点』へ迎え‼︎」
それを聞きながら隣にいる筈の爆豪勝己に声をかける焦凍。
「オイ爆豪‼︎ オメェも爆破で……なっ⁉︎」
爆豪勝己も居ない……アウルム・ミダスティアと爆豪勝己が攫われた。
そこに……緑谷出久と常闇踏陰、障子目蔵、麗日お茶子、蛙吹梅雨が茂みから姿を現した。
焦凍は出てきた5人にすぐさま現況を叫ぶ。
「アウルムと爆豪が攫われた‼︎ 追うぞ‼︎ 絶対逃すな‼︎」
すぐさま追いかけるが木々を足場にして跳躍し空中を舞い踊る
緑谷の提案で各々の個性を用いて人間弾としその勢いのままにMr.コンプレスに激突し地面へと墜落させる。
轟焦凍、障子目蔵、緑谷出久の3人がコンプレスに全体重をかけてのしかかる。
「がっ⁉︎ 重っ‼︎」
そうむせながら短い叫びを上げるコンプレス。
焦凍と障子目蔵、緑谷出久は顔を上げると目の前に
黒と灰色を基調としたラバースーツを着込んだ
「知ってるぜこのガキども‼︎ 誰だ⁉︎」
そう叫びながら焦凍の眼前へと接近してその手に持つメジャーで切り裂こうとしてきたが氷壁を創り出して応戦する焦凍。
焦凍はコンプレスの居場所を探るが先ほどの炎の放射で見失った後、姿を消したのか視界内に見えない。
舌打ちして目の前の
そんな中コンプレスはゆっくりと木々の間から姿を現して炎を放射してきた
「コンプレス、パッケージは?」
そう短く告げた
「荼毘、心配するなってもちろんここに……おっと?」
コンプレスのその動きを見た障子目蔵は焦凍と緑谷に対して叫ぶ。
「逃げるぞ‼︎ 2人とも‼︎ 今の行為でハッキリした……『個性』は分からないが右ポケットに入っていたこれが、さっきお前が散々見せびらかしていた
そう叫びながら踵を返して逃走する3人の眼前に黒霧がワープゲートを出現させて退路を断つ。
動きの止まった3人に対して荼毘と呼ばれた
それを見た荼毘は苛立ちながらMr.コンプレスを睨みつけるがMr.コンプレスは抑えきれない笑みを溢しながらわざと聞こえる様に叫ぶ。
「アレはどうやら走りだす程嬉しかった様なのでプレゼントしよう‼︎ 悪い癖だよ‼︎ 言ったろ? エンターテイナーだって‼︎ 手品の基礎の基礎だよ‼︎ モノを見せびらかす時ってのは
Mr.コンプレスはそう言いながら仮面を外して、口腔内にキラリと光るビー球の2つのソレを見せて障子目蔵が握り締めているビー球の圧縮を解放する。
障子目蔵の手から氷片が突如として出現したのを視認したMr.コンプレスは笑顔で告げる。
「氷結攻撃の際に『ダミー』を用意して右ポケットに入れる、右手に持ってたもんが右ポケットに入ってるの確認したら、そりゃあ嬉しさの余りに駆け出すさ……そんじゃ、お後がよろしい様で」
ワープゲートに包まれながらゆっくりと会釈するコンプレスの顔面に青山優雅のレーザーが直撃して口腔内に入れていた空間ごと切り取られビー球のサイズに空間ごと圧縮されたアウルム・ミダスティアと爆豪勝己が零れ落ちる。
それを確認した轟焦凍と障子目蔵、緑谷出久はこれ以上ない程に全力で走り圧縮されたソレをその手に取ろうとした。
緑谷出久がその両手の激痛により転んでしまうが今は緑谷を気にかけるより、それよりもやるべき事がある。
障子目蔵の方は何とか片方キャッチ出来たが……轟焦凍の方はほんの僅かの差で荼毘と呼ばれた
ワープゲートに包まれながら荼毘はコンプレスへと告げる。
「確認だ、解除しろ」
そう呟くとMr.コンプレスが苛立ちながら言葉を紡ぐ。
「クッソ……何だよ今のレーザー……俺のショウが台無しだ」
そう言いながらコンプレスが指をパチンっと鳴らすと障子目蔵の眼前に爆豪勝己が……荼毘と呼ばれた
焦凍はすぐさまアウルムを助けようと走り出すが焦凍は見てしまった。
アウルムの眼が静かにこちらを見定めて微かな悲しげな笑みと共に視線だけで焦凍へ会話を行ったのを、アウルムから伝えられた視線のみの言葉を見て……一瞬涙が零れる。
その視線のみの言葉を見て意図を理解した焦凍は諦めずにその手を伸ばすが手がワープゲートに触れた瞬間に……ワープゲートが閉鎖され焦凍の手は虚しく虚空を切る、空を切った自身の手が……全てを物語っていた……アウルムは連れ去られたと。
……その瞬間、助けられなかったと悟った轟焦凍の慟哭が、絶叫が……辺り一面に響き渡った。