轟焦凍の慟哭が響き渡り……
警察と救急、消防が来てそれぞれ対応していった。
生徒40名の内、意識不明の重体18名、重軽傷者15名、無傷で済んだのはたったの6名であった……その6名に至っては補習中であったが故でありたまたま運良く無傷であったというのが正しいだろう……そして……行方不明者1名。
プロヒーローは6名中2名、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのメンバーの1人ピクシーボブが頭を強く打たれ重体、そしてラグドールが行方不明になっていた。
一方の
僕らの楽しみにしていた林間合宿は……これ以上無い程に最悪の形で幕を閉じた。
翌日、雄英にはマスコミやフリーライター、週刊記者やゴシップ記者、問わず質問を行いたいが為に門の前に密集していた。
しかし未だ雄英より公式コメントはない。
雄英教師陣が集まっている会議室で根津校長が重い空気の中口を開く。
「……
そう根津校長が呟くと苦々しい表情でミッドナイトも言葉を溢す。
「認識できていたとしても防げていたか……これ程執拗で矢継ぎ早な展開……『オールマイト』以降は組織だった犯罪はほぼ根絶されてましたからね……」
ミッドナイトの言葉に乗っかる様にしてプレゼントマイクも言の葉を紡ぐ。
「知らず知らずのうちに平和ボケしてたんだよ俺らは……『備える時間が残されている』っていう認識の時点で……
スナイプ教諭は認識の甘さとこれからについて語りだす。
「とにかく……襲撃の直後に体育祭を行うなど今までの『屈さぬ姿勢』はもう取れないでしょう……生徒の拉致……雄英最大の失態だ……奴らはアウルム・ミダスティアと同時に我々ヒーローの信頼の信頼も奪ったんだ」
スナイプ教諭の言葉に対し根津校長が新聞やネットニュースなどを持ちながら告げる。
「現にメディアは雄英の非難でもちきりさ、アウルムさんを狙ったのは恐らく体育祭で彼女の個性が金という希少金属の価値に大きな損失を与え得ると判断されたからだね……もしも彼女が
根津校長が彼女の個性を詳しくホワイトボードを用いて解説する。
アウルム・ミダスティアが持つ『手で触れる事で黄金に変換する個性』……言い換えれば、それは黄金を無限に生み出せる個性とも言える……雄英体育祭でのみ彼女を見れた
しかしアウルム・ミダスティアがその個性を用いて創り出した『黄金』は如何なる方法を用いても破壊が出来ない、どんなに熱してもどんな力を加えても決して変形する事は無い、つまりアウルム・ミダスティア以外には破壊も加工も出来ない。
だけれどもアウルム・ミダスティアが創り出した『黄金』はどんなに分析を行おうとも100%元素記号Au・金としての鑑定が下される。
加工できない黄金などいずれはバレる……バレるがアウルム・ミダスティアの手から生み出された『黄金』は100%金としての判定が下る故にすぐにバレる訳ではない……もしもこれを悪用する者が居れば金の価値は大暴落するのが目に見えている。
古くより多くの国が貨幣に金を用いてその価値が普遍なのはたとえその国が滅んでも加工して新たな価値を見出すことができる故。
それが装飾品であれ新たな国の貨幣であれ……金に価値があるのはどんな文明でも安易に加工が出来る扱いやすい希少金属だからだ……。
対してアウルム・ミダスティアの生み出す『黄金』に金としての素材、金としての希少金属としての価値は一切ない。
それ故一切の価値は無い、偽物は偽物に過ぎないのだから。
アウルム・ミダスティア自身、己が個性で生み出した『黄金』を自嘲混じりに『塩の見た目をした砂の様な物で完全なる紛い物』と断じており本当に価値が無い。
雄英体育祭で初めて彼女を見た者達、こと
この『個性』溢れる超人社会では誰しもが犯罪者になれる可能性を秘めている……どんな『個性』を持っていても扱うかはその人次第ではある。
しかも彼女の、アウルム・ミダスティアの個性は正しく使えば人を救える個性にもなり得るが……悪用した場合……最悪の場合は経済を根本から狂わせる事になる……。
重苦しい空気になる中……オールマイトの電話が鳴り響き一斉に其方に目が行く。
「す……すいません、電話が」
そう呟きながらおずおずと会議室の外へと出て電話へと出る。
「なんだい? 塚内君」
オールマイトの友人である警察官の塚内からの着信であった。
塚内は電話に出たオールマイトへと告げる。
「今、相澤先生とブラドキングの2人から調書を取っていたんだが……思わぬ進展があったぞ‼︎