【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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想いは結ばれる

「アウルムお前……今この瞬間にすら自分自身を強く憎んで殺したいと考えてたろ? 俺が来てなかったら死ぬ気だったろう? お前」

 

 焦凍よりそう告げられた……刹那、何故言い当てたのかという表情を出さない様に押し殺しながら、焦凍が言い当てた自身の心境をこれ以上バレない様にと願いながら……アウルムは言葉を紡ぐ。

 

「……とりあえず立ち話も何ですし上がってください……お茶くらいは出せますので」

 

 引き攣った表情を手で隠しながらそう焦凍へと告げるアウルム。

 リビングへと案内して対面になる様に椅子へと座ってもらうとお茶を出しながら話しを再開する。

 

「それで……何の用事でしたっけ?」

 

 麦茶を飲みながらそう焦凍へと問いかけるアウルム。

 

「アウルム……お前の表情を病院の前で見た時に……瞳の奥に憎しみの色が見えた……アレは自分自身に対してだろう?」

 

 ……そこまで見抜かれていた事に驚愕するも決して表情には出さない様にして言の葉を紡ぐ。

 

「……何故分かったのですか」

 

 そこまで分かっているならば隠し通すことは不可能と断じて焦凍へと問いかける。

 

「俺も……同じ目をしていたからな……覚えているか? 体育祭で話した時の俺の眼と表情、あの時の俺にそっくりだった、まるであの時の自分を鏡写しで見ていたかの様だったよ」

 

 そう言われてアウルムは思い返す、なるほど10年近くも憎しみの表情を色濃く出していた焦凍故に理解できたのかと……。

 麦茶を再度注いで一口飲んだ後に焦凍へと語りかける。

 

「そうですか……だけれど焦凍……こればっかりは私の背負う十字架です、私があの時に私が攫われさえしなければ……神野であの様な被害は起きなかったかもしれない……私がもっと戦えていれば……脳裏から離れないんですよビルの倒壊に巻き込まれた被害者達の顔と呻き声が……オールマイトの引退のニュース見ましたか? ……私が平和の象徴を……オールマイトを殺したも同然です、だから……生きている理由なんて……」

 

 話しているうちに涙が一筋ツゥッと流れ落ち声が涙混じりになる……。

 

「私の……私のこの手は10年前のあの日から既に血塗れで……この手はあの時から、10年前のあの日からずっと呪われて……私の時間はあの日あの時あの場所から……10年前のあの日からずっと止まったままで……そんな私を私自身が許せなくて……あの時、誰かから助けられる事しか出来なかった私なんて……私なんて‼︎ 私の……私の過去を知ったのでしょう? あの謝罪会見を見たのでしょう⁉︎ 私は罪で穢れた女です、呪われた女です……私という存在が誰かを不幸に突き落とす……私はもう……生きていたらいけない……生きているのが許されない存在なんですよ……誰も救えない、何も出来ない……私の生きている価値なんて……私は誰1人として関わった人間を救えていない……むしろ不幸になっています……だから私に生きてる価値なんてッ‼︎」

 

 嗚咽混じりに、自嘲混じりにそう叫ぶアウルム、その双眸からは大量の涙が零れ落ちていた。

 焦凍は……それを聞いてゆっくりと椅子から立ち上がってアウルムの方へと移動すると真正面からゆっくりと優しくアウルムの事を抱きしめながら告げる。

 

「お前のせいじゃない……そう言われてもお前は納得なんてできないだろうが……だけどなアウルム……誰も救えていないと、不幸になっていると言ったな……だけど、俺はお前に会って……お前と話して……お前に確かに救われた……覚えてるか? あの時、体育祭で話した事……あの時の決勝戦の事を、戦いながらお前は俺の事を救ってくれたんだよ……確かに救ったんだ、お前が救った人間は……確かに目の前にいるぞ、確かに此処に居る、居るんだよ」

 

「すくった? わたしが……しょうとを? わたし……いきてて……いいの? いいのかな? うっ……うわぁぁぁぁぁん‼︎」

 

 そう焦凍が告げると泣き顔でぐしゃぐしゃの顔を上げて焦凍の胸に顔を埋めて泣き叫ぶアウルムであった……焦凍は自身の胸の中で泣き叫ぶアウルムの頭を優しく撫で続けていた。

 しばらくして……泣き止んだアウルム……。

 溜め込んでいた感情を吐き出して少しは気が楽になったのか対面へと戻った焦凍へと告げる。

 

「……ありがとうございました、焦凍」

 

 そう短く告げるアウルム。

 対する焦凍も短く言葉を返す。

 

「あぁ……アウルム……ちょっと良いか?」

 

 そう言いながら椅子から立ち上がってこちらへと近づきある言葉を告げてくる焦凍。

 

「俺はお前に救われた時から……そして、あのショッピングモールで起きたあの事件で実感した……そして……攫われたあの時に、誰よりも何よりもお前が心配で堪らなかった……こんな状況で言うのは、こんな時に言うのは卑怯かもしれないけれど……アウルム・ミダスティアさん……俺は貴女の事が好きです……俺と付き合って下さい」

 

 そう告げられたアウルムは一瞬……答えに迷っていたが涙を一筋流しぎこちない笑みを浮かべて答えを返す。

 

「えぇ……喜んで」

 

 そう泣き笑いの表情を浮かべながら言葉を返す……アウルムであった。

 

 そして……時計は18時を回っていたので焦凍はそろそろ帰ると告げアウルムの家を後にする。

 玄関先まで見送るとアウルムは先程の言葉を思い返していた。

 

「私が救った……私に救われた……か……」

 

 その言葉を何度も何度も反芻して胸に刻み込む……確かに救われた……か、それはアウルムも同じであった。

 アウルムは自身以外誰も居なくなったリビングで椅子に座りながら1人呟く。

 

「私が焦凍……あなたを救ったように、私も……貴方に救われました……ありがとう……」

 

 そう短く告げるとアウルムは明日の準備を行う、まだ夏休み期間ではあるもののグループトークからの通達で明々後日から訓練が再開されるとの事でその準備を……。

 アウルムは全ての準備が終わったのちに思い返す。

 焦凍の胸に顔を埋めて泣き叫んだという事実を……。

 気恥ずかしさから一気に顔が熱くなるが……不思議とあのショッピングモールの時よりか落ち着いていた。

 

 そして……翌日……相澤先生とオールマイトが家に来られて全寮制になると告げられた……。

 そして全寮制になると決まった翌日、必殺技を2つ作成という事です雄英高校の施設の一つであるトレーニングの台所ランド、略してTDLへとコスチュームを着て移動し詳しい説明が為される。




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