【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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必殺技

 セメントス、ミッドナイト、相澤先生より説明が為される。

 曰く、あらゆる局面に置いてこれさえ撃てば安定行動が取れる、または戦局をひっくり返す事が可能な技こそが必殺技、最低でも2つ編み出せと。

 それを聞いて……アウルムは思案する、技の一つは既に編み出してある。

 至極単純だ……そこかしこの何かにその手で触るだけで良い。

 

尽きぬ黄金郷の呪手(ミダス・タッチ)……とでも言いましょうか……」

 

 眼前のエクトプラズムを黄金化しながら1人そう呟いて考える……今までは出来なかった黄金の使い方を……ひとえにアウルム自身のキャパシティオーバーに起因していた、しかし圧縮訓練によりそのキャパシティが増えたが故に可能となった……『合宿』と今回の圧縮訓練を行った事により可能となった技。

 

滅びし原初の黄金郷(エル・ドラード)

 

 生み出した黄金を操作、拡散させてアウルムの周囲800m以内の存在する全てのモノを一瞬で……空間すらも全て黄金化し操作……例え範囲外のモノも800mの円形の領域の1番端が常に毎秒25mの速度で全方位に広がって侵蝕していく為にアウルムの『個性』の中でも特に範囲制圧に長けた技となっている……。

 

「今は800mが一瞬で放てる限界範囲ですか、こればっかりは絶え間の無い反復と修練をするしかないですね……範囲制圧は可能……あと足りないのは妨害を兼ねた技ですね……」

 

 しばし考え込み黄金の形状を操作…… サイズは自由自在に変更できる為その都度状況に合わせて決める、最低時速80kmで走り回る回転ノコギリのような車輪状の破砕機として操る。

 車輪から発する土煙や砂埃を黄金化し即席の盾として使用したり、相手や物体を黄金化したりと、操作の習熟に比例して取れる戦術の幅は広がるだろう。

 今は練度が足りない故に3個しか同時に操作できないが何れは両手の指を操るかのごとく、息をするのと同列のごとく澱みなく操作できる様にしなければ……まだまだ覚束ない所が散見されるが……いずれは呼吸をするかの如く自然に操作できる事に期待したい。

 

「技名を付けるとしたら……全て破砕せし黄金郷の車輪(エルドラード・ホイール)とでも名付けるべきでしょうかね」

 

 アウルムは考える……高速移動を兼ねた技も考えなければ、飯田天哉や緑谷出久、爆豪勝己の様な超スピードに準ずる移動技を。

 ……自身の脚を見てケタケタと笑い出すアウルム……唐突な高笑いに周囲の者がびっくりしていたがそんな事は瑣末な事。

 

「黄金を操作する……自分自身で事ある毎に行っていて分かっていたのに……私自身がまるで解ってなかったとは、とんだお笑い草ですね」

 

 アウルムの個性……その手に触れる事で触れたモノ全てをその自他を問わず黄金とする……そして(・・・)、黄金の自由自在な操作……、千変万化の……ほんの砂粒の様な大きさの黄金を高層ビル1つ覆える程の大きさにまで操作できる……元の質量や形状など既存の物理法則や概念を完全に無視した黄金操作が可能、それこそ無限にも思える活用法。

 

「それを踏まえて……最初から靴底に極々少量の黄金を……極細の糸の様な道を形成し滑るように、そしてなお且つ私自身を引っ張りつつ背後から押し出すように……速度も重視……する様に、よし……天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)とでも言いましょうか」

 

 極細の糸を伝うかの如き移動方法、最低時速100km……当然ながら出来立ての技故に緻密なコントロール制御は難しい、しかし他の技と同じく実戦レベルにまで熟達させなければならない……。

 これにより360°縦横無尽に緩急も思いの儘に自由自在な戦闘が可能となったアウルム。

 

 それを見て相澤先生やオールマイト、ミッドナイトが不安そうな表情を浮かべながらアウルムを見る。

 

「あのバカ……生き急いでるのか? 何だあの思い詰めた表情は……」

 

 そう呟いた相澤先生に同意するかのようにオールマイトが言の葉を重ねる。

 

「彼女は……あの戦いで彼女自身が全ての原因となって私を終わらせてしまったと思い込んで焦ってる……彼女自身に落ち度など一切無いのに彼女自身が自罰的にそう思って……思い込んでしまっているんだ……これは私たち大人の責任だ……彼女に限った話しではないがメンタルケア……しっかりと行おう」

 

 ミッドナイト先生もそれに同意する形で重ねて語る。

 

「あの表情……本人は自覚していないのが見て取れる……自覚したら相当な時間をかけてメンタルケアを行わないと……重みで彼女が壊れちゃうわ」

 

 そう呟く3人の教師陣……アウルム・ミダスティアの極端に達観し強靭な精神は非常に高潔で強い精神性であろう……しかしながら余りにも、余りにもガラスのように割れ易く、壊れやすく脆すぎる……手のひらを返すような……矛盾しているかも知れないがまだまだ発展途上の15歳の子供である。

 特に……アウルムの過去を鑑みるとその精神構造は薄氷の上に成り立つと言っても過言ではない。

 何かの拍子に粉々に砕け散っても全くおかしくない。

 今は何か別の要因で安定しているが……。

 

 訓練終了後、アウルムはコスチューム改良の為に工房を訪れていた。

 そこで発目明に根掘り葉掘り色々と質問責めされるがブーツの先端部に極々少量の黄金を接着させる事で対応。

 その他にも臀部に常備している投げナイフの個数を4本から8本に増やし左右の腰に1つずつアイテムポーチを設置。

 アイテムポーチの中には1センチ程の大きさに作られた金のインゴットが4本ずつ入っておりアウルムの手で触れられなかった場合の対応策も講じられている。

 それを見ながら発目明が問いかけてくる。

 

「アウルムさんアウルムさん、貴方にその手袋……私とても興味があります‼︎ 良ければ是非解析したいのですが‼︎」

 

 凄まじい勢いで近づいてきてアウルムの手袋を見せて欲しいと懇願してきたが何とか断り……コスチュームをほんの少し改良したアウルムであった。

 僅かながらではあるが更新された自身のコスチュームを見ながら呟くアウルム。

 

「投げナイフも増やしましたし……もっともっと『黄金』に対する熟練度を高めなければ」




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