アウルム達が必殺技や自身の個性伸ばしを行って……数日後。
緊急時限定個性自由行使許可証……通称ヒーロー免許、その仮免を取りに試験会場へと到着した。
そうして……試験前の説明が為される。
要約すると
受験者数:1540人。
通過者数:100人
試験形式:勝ち抜け。
通過条件:2人を脱落させる。
ルール:バーリトゥード、合格したければ躊躇うな。
試験場となるフィールドは広大で様々な地形が用意されている。
受験者は3つのターゲットを常に晒されている体の好きな場所に取り付ける。
受験者には2つのボールが配られる。
3つ全てのターゲットにボールが当たると脱落、3つ目に当てた人がその人を脱落させた事になる。
ボールを投げる必要はなく、直接持ってターゲットにタッチしてもOK。
ターゲットはボールが当たると発光する。
ターゲットとボールはハイテク機器であり、誰が当てたか、誰に当てられたかが瞬時に計測され集計される、また個性でどんなに変化させようとも損壊などはしない。
合格者は控室に移動する。
ターゲットは合格後に控え室に居る試験官が持っている専用キーでのみ外すことができる。
頭の中で反芻し確認する。
そして一次試験がスタートされる。
アウルムは考える、個性が不明というアドバンテージを投げ捨てているのは唯一体格祭という特大イベントで得手不得手どころか弱点やスタイルすら割れている、個性の全てがネタバレしている私達を真っ先に潰しに来ると。
緑谷からあまり離れず一塊にと言われるも……爆豪も焦凍も大火力は密集していると扱いづらい為にとっとと離れていく。
かくいう私も1人の方が動きやすい為にとっとと離れて別行動を取る。
歩く事2分、遠距離から多数の視線と気配を感じ取るが……流石に個性がバレており中遠距離はおろか近距離すら楽に対処できる人間相手となると予想以上に警戒されて近寄ってこない。
アウルムは過去の出来事から他者の気配を感じ取る事に敏感である……。
「750mくらい離れた所で20数人が私を狙って……機を伺ってますね……ですが……離れるならば、機を伺うならばもっと距離を、最低でも1kmは私との距離を取るべきだったと言わざるを得ないでしょう……私を囲んでる内の誰かが索敵役を担ってどうせこの呟きを聞いているのでしょう? 判断が遅いのです、私の呟きが聞こえた時点で即座に距離を取るか逃げるべきだったと言っているのです」
そう呟いた刹那……アウルムは腰のポーチを開けて金のインゴットを操作、液体状にして地面に浸透させると己の個性を行使する。
「
アウルムは自身の全方位800mを一瞬で黄金化させて20数人の口とターゲット以外の全てを黄金の彫像に変貌させる。
黄金化したモノの全ての情報を整理すると黄金の彫像と化した他の受験者のターゲットへとボールを接触させて早々に2人を脱落させ一次試験を合格する。
合格を確認すると
控え室に用意されているふわふわの椅子に座ってモニター若しくは備え付けられているタブレットから任意のモニター映像を視聴出来る為に流れる試験映像を観ながら用意されている出来立ての軽食を摘まむ。
「あっ、このフライドポテト美味しい、黒胡椒かかってる……こっちのは……辛い……何これ……超激辛チリペッパー味? からいのきらいなのに……からい……水……水」
口に含んだ瞬間にとんでもない辛さが舌を焼き……それに耐えながらポップを見て絶望するアウルム。
あまりの辛さに涙を流しながら半泣きになり烏龍茶や水を飲みつつ超激辛チリペッパー味のフライドポテト以外をつまみモニターを観ながら二次試験への対策を考える。
いまだに2人目の合格者が来ない……10分してようやく2人目の合格者が控え室へと入ってきたが……円陣の時に乱入してきた……確か士傑高校の1年だったか、こちらに対して並々ならぬ苛立ちを抱えてるのが、露骨にこちらに嫌悪を抱いているのがその表情を通して文字通り目に見える。
この人とは面識がない筈なんだけどなぁ。
「ほぼ初対面……の筈なんだけど? なぜそんなに嫌悪の表情を向けてくるのかな?」
2人目の合格者に対して頬を掻き悩みながらそう告げるアウルム。
相手の制服や制帽を見るに士傑高校の1人……。
その相手は苛立ちながら告げてきた。
「お前がオールマイトを終わらせたからだ‼︎ お前のせいで……」
そう怒鳴られるアウルム、対面している士傑高校の生徒に襟を掴まれそうになるが控え室に居る試験官の1人から睨まれ眼前の男は舌打ちしながら私とは離れた別の椅子に座り一次試験の映像を観ている。
それを横目で見ながらコスチュームの乱れを正しながら相手に聞こえないように呟くアウルム。
「全く……そんな事は私が1番理解している……あの地獄は私の背負う過去であり罰だ」
そうして……一次試験の合格者がどんどん増えていく。
映像を観ていると隣の席に座った人が居た為にそちらを一切見る事なく労いの言葉をかける。
「焦凍……お疲れ様です、無事合格できると信じていました……その割にはちょっとボロボロになってますね? 氷で束縛できず炎で対応出来ず……相性差でもありましたか? タングステン鋼で作られた工具でも投擲されましたか?」
そう呟くと隣に座った焦凍は頭をぽりぽりと掻きながらアウルムへと呟く。
「あぁ、囲まれてタングステン鋼で出来た釘やらボルトやら投擲されてちょっと手間取った……観てないのに何で分かったんだ? 試験が始まって最速で合格したのもお前だろう? どうせ軽食つまんでる時に味の書いているポップ確認せずに……超激辛チリペッパーで半泣きになりながら悶絶してたのによく分かったな」
そう告げられ顔を赤らめるアウルム。
「なーんで貴方も私の行動が読めてるんですか全く……えぇポップ見ずに食べたら見事に超激辛チリペッパーで涙流して半泣きになりながら悶絶してましたよ……」
その問いかけに対して焦凍は少々顔を赤らめて映像を観ながら告げてきた。
「まぁ伊達にアウルムの彼氏してないからな……何となく分かってきたって所だけど」
そう返されてアウルムも少々頬を赤らめ告げる。
「確かに……私も焦凍の彼女ですから……観てなくても何となく分かるんですよ、何となくね……さて、残りのクラスメイト達が無事に通過する事を祈りながらしばしの間、映像を観ながら甘ったるい会話でも楽しみましょうか焦凍」
そう告げながら軽食を摘みつつ映像を観続けている2人であった。