焦凍に私の掛け替えの無い宝物をプレゼントした翌日。
雄英ビッグ3と呼ばれている3人の方がインターンシップについての説明に出向いてくれた。
相澤先生より紹介され教室へと入ってくる3人。
曰く現在の雄英生徒の中でトップに君臨する3年生3名、通称ビッグ3の皆だと言われる。
自己紹介は天喰から行う様にと言われるが……天喰と呼ばれた猫背の男は無言でこちらの全員を一瞥するなり……壁の方を向いて隣の2人へと呟く。
「駄目だ……ミリオ、波動さん……ジャガイモだと思い込んでも依然として頭部以外は人間だ……どうしたらいい……言葉が出てこない、帰りたい」
極度のあがり症……なのですかね。
自己紹介せずに壁の方へ向いてしまった彼の代わりに波動さんと呼ばれた女性が語り出す。
「彼は天喰環、私は波動ねじれ……今日は『
気になった事を優先するのか障子さんのマスクを聞いたり焦凍の火傷の痕を聞いたり私の手袋について聞いてきたりで無限に話しが脱線しており収拾がつかない……。
それを感じ取った相澤先生がため息混じりに注意を行う。
「波動……今はお前の質問タイムじゃない……」
そう軽く苛立ちを隠さずに告げると1番最後の男子生徒が笑顔を浮かべながら相澤先生に告げる。
「イレイザーヘッド‼︎ 安心して下さい‼︎ オオトリは俺なんだよね」
そう告げるとよく分からない持ちネタか何かを披露した彼だが……クラス中静まり返っている。
その空気を読んだのか何なのか金髪の生徒は残念そうに叫ぶ。
「よぉし‼︎ ツカミは大失敗だ‼︎ まぁ何が何やらって表情してるね……まぁ必修ですらない『
そう告げられた相澤先生は髪を掻いて告げる、好きにしな……と、という訳で体育館γへと移動した1年A組の面々。
移動した後……相変わらず壁を向いている天喰さんがミリオへと告げる。
「ミリオ……やめた方がいい、形式的に『こういう具合でこういう事が体験できてとても有意義なものです』と語るだけで充分だ……皆が皆上昇志向で満ち満ちている訳じゃない……立ち直れなくなる子が出てはいけない」
そう告げた天喰に呼応するように芦戸さんの触角をいじくり回している波動さんも言の葉を語る。
「あ、その話し聞いてる知ってる〜昔挫折しちゃってヒーロー諦めちゃって問題起こしちゃった人がいるんだよね〜大変だよねぇ〜」
波動さんのその言葉を聞いたクラスメイト達の琴線に触れたのか常闇さんや切島さんが反論する。
要は……心配するなと……そんな雑魚に見えるのかと……。
それを聞きながらミリオさんは柔軟を終えてゆっくりとクラスメイト達に告げてきた。
「うん、いつどっから来ても良いよ?」
そう余裕そうに……いや実際の所余裕なのだろう……。
緑谷が切り込み隊長を担うみたいだが……あぁ謹慎で生まれた3日間の遅れを取り戻そうとしてるのか、健気だなぁ……。
緑谷が即座に顔面への蹴りを行うが……服が落ちた……そして緑谷の蹴りが一切当たる事なくすり抜けた。
続く瀬呂の、芦戸の、焦凍の、青山の攻撃も悉くがすり抜けており一切のダメージとなっていない。
皆の攻撃で視界が塞がれ……それが晴れた時には緑谷の付近に居なかった。
1番遠距離から攻撃を行っている耳郎さんの背後に突如として現れてミリオは叫ぶ。
「先ずは遠距離持ちだよね‼︎」
そう叫んで耳郎さんに腹パンをかまして動けなくさせる。
その後も続々と緑谷や焦凍、飯田達に腹パンをかまして動けなくさせる。
そして、それに皆が皆『強個性』だ『最強』だと叫ぶが……違う、アレは私と同様だ。
強い個性にしたのだろう……10数年かけて。
それを空中に浮遊した黄金を足場にして観ているとミリオから声がかけられる。
「始まってからずっと滞空してるけど君はやらないのかな? 僕との戦闘……確か今年の体育祭優勝した子でしょう? 君」
アウルムを指差してそう告げてくるミリオ。
それを見てアウルムは自身の髪を弄りながら告げる。
「当然やらせてもらいますよ? 格上の相手に死なない保証つきで挑めるなんて最高ですもの……ですが私は近距離主体の相手にわざわざ同じ土俵で戦う程バカじゃないのです……近距離しか攻撃手段がないなら仕方ないですが……私の本来の得意分野は中遠距離からの圧倒的質量で押し潰すか技術で雁字搦めにするか、又はその両方による攻撃です……行きます」
180センチ程の大きさの
舞い散る粉塵や土煙すらも黄金化していくが……通形ミリオには一切の影響が無い、黄金化すらすり抜ける……それを見たアウルムは苦い顔をして高所を取っているというアドバンテージを捨てる。
「チッ……成程そういう個性ですか、中々に厄介ですね……」
通形ミリオの個性に関して何かを察したアウルム。
アウルムは自身の感じ取った違和感を証明する為に腹パンをかましてきた刹那、タイミングを合わせて自身の腹部を黄金化させる。
殴られる刹那……アウルムは痛みを感じる事なく通形ミリオの身体が自身の肉体をすり抜けた。
それを見たアウルムはやはりと言った表情を浮かべ言の葉を紡ぐ。
焦凍と緑谷も、クラスメイト達もそれを見てようやく通形ミリオの個性を察したらしい。
「
自身の10m周囲全てを黄金化させると通形ミリオはそれを予測していたかの様に自身の個性の反動で超スピードをつけてアウルムの喉を殴りつけようとした。
しかし黄金化の範囲内では黄金の全てがアウルムのモノである……殴られる刹那のタイミングを合わせて通形ミリオの腕を黄金へと変性させ全身を余す事なく黄金化させようとした刹那、個性が消えた……それを感じ取った刹那、アウルムも通形先輩もギギギっと壊れかけたロボットが動く様な音を立てながら苦笑いで相澤先生の方へと向くと個性を発動させながら苛立った表情をしている相澤先生がいた。
「アウルム、揉んでもらえとは言ったがそこまでやれとは言ってない、ミリオ、お前もだ……今回呼んだ意味を忘れてバトルを楽しむな」
そう告げられ頭を下げるミリオとアウルム。
通形先輩による詳しい解説が始まった。
「とまぁこんな感じなんだよね‼︎ どうだった? 俺の個性、強かった?」
その質問に対して上鳴や芦戸、あとは個性が丸被りしてると思いアイデンティティを失いかけている葉隠透が声を上げる。
曰く、強すぎる、チート、轟の様なハイブリッドなんですか? 攻撃は全てスカせて瞬時に移動できるなんて羨ましいなどなど……。
それを聞きながら通形先輩は高笑いして語る。
「いいや、強い個性に
最下層からの這い上がり……そしてトップへ……どれだけの執念と修練を積んだのかはわからないが……努力でのし上がった。
通形先輩から告げられた言葉を胸にインターンへの思いを募らせるクラスメイト達。
1日の訓練が終わり寮へと帰ると……アウルムは自室へと戻りラビットヒーローミルコに電話をしていた。
「ミルコさん、インターンシップ……受け付けていますか?」