【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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インターンシップ①

「インターンシップの受け入れありがとうございますミルコさん」

 

 コスチュームを装着したアウルムは眼前へのミルコへと告げる。

 インターンシップ受け入れ実績が多い事務所か雄英教師陣の半数から許可が降りた事務所へのインターンシップが許可された為にミルコさんにインターンシップをお願いした。

 そしてミルコより告げられる。

 

「さて……インターンシップ初日だ……2日前に書面と動画を送っておいたろう? アレで詳しい説明をしたからここでの説明は無しだ、とりあえずパトロール行ってこい……仮免持ちだろう? 守られてたあの時とは、許可を求めてたあの時とはもう違う……自身の判断で行って、その判断と全責任を自分が負う、その重圧を肌で実感してこい、では行け」

 

 そう告げられたアウルムは了解致しましたと告げてパトロールへと出向く。

 そうして……パトロールを開始したアウルム。

 迷子を保護したり荷物を持って目的地まで移動したり……轢かれかけた子供を助けたり……そうこうしているうちに1時間経過していた。

 そして……歩道を歩いていると路地裏から焦った呼吸が聞こえてきて、その直後……裸足(・・)で走る幼い少女がアウルムの目の前に飛び出してきた、身体中に夥しい程の包帯が乱雑に巻かれて、その目に恐怖と絶望と諦観の色を濃く滲ませながら。

 それを見たアウルムは屈んで少女と同じ目線になり少女を抱き抱えながら優しく語る

 

「どうしたの? お嬢さん?」

 

 そう告げるとアウルムに抱き抱えられた少女は歯を恐怖による震えからガチガチと打ち鳴らして泣きながら呟く。

 

「た……たすけて」

 

 それを聞いたアウルムはその声音から少女の置かれている事情を察した、過去のアウルムと同じ立場、同じ境遇にいる可能性が非常に高いと……限りなく虐待に近い行為、又は虐待が日常化しているのだろうと。

 そう思案していると路地裏からペストマスクを装着した男性が現れて言の葉を紡ぐ。

 

「ダメじゃないか壊理……ヒーローに迷惑かけちゃあ、さぁ帰るぞ? 壊理……」

 

 壊理と呼ばれた少女はペストマスクを装着した男に名前を呼ばれた瞬間に恐怖で肩を振るわせてアウルムに強く抱きついて消え入りそうな声音で呟く。

 

「い……いや……た、たすけて」

 

 それを聞いたアウルムは一切躊躇いなくペストマスクを装着した男へと告げる。

 

「貴方には悪いですが……このお嬢さんは私に与えられている権限*1で保護します、この夥しい包帯と貴方に声をかけられてから恐怖と怯えが特に顕著に出ている……何よりこの子……ガラスの破片や釘などが散乱している路地裏を裸足のまま(・・・・・)駆けてきた……今も足裏に2センチ程のガラスの破片やネジが刺さって血が流れているのにその痛みよりも貴方に対する恐怖と怯えの方が大きい……何故? ただ叱りつけた後の子供はこの様な恐怖と絶望が骨の髄まで染み込んだ表情や動作などしませんよ、それこそ日常化した暴力と言葉がなければね」

 

 ヒーローは被虐待児童に対する即時介入権限とヒーローから見て虐待の可能性が非常に高い児童の保護に関する一定の権限を与えられている。

 その権限は決して軽く扱って良いモノではない、これを悪用するとヒーローによるプライバシーの侵害が簡単に起きてしまう……。

 しかしアウルムは迷わずに保護を宣言した。

 その言葉を聞いた刹那、男は苛立ちを隠す事なくアウルムへと告げる。

 

「何も知らない貴方から見たというだけでしょう? ……人の家庭に貴方の『普通』を押し付けないでもらいたい」

 

 そう告げられたがアウルムも眼前の男への嫌悪を隠す事なく言の葉を紡ぐ。

 あの10年前の地獄に居た自分を思い起こしながら、目の前の少女にはそんな思いは絶対にさせないと決意を強くして言葉を返す。

 

「過去に似た様な体験してるんでね、その手の感情には敏感なんですよ……私は同じ境遇に置かれた子供は見過ごさないし……何より……貴方は先程からこの子を子供としてではなくモノとしか見ていない眼でこの子を見ている……子供に向ける眼じゃないですよ? その眼は……何しようとしているかは不明ですがそもそも虐待や虐待が行われている可能性がある事態に関しては法律*2の規定に基づき誰であろうと通報の義務がある」

 

 そう告げてアウルムは少女を抱えたまま相手を見る。

 すると……その男はため息を吐いて呟く。

 

「全くヒーローは人の機微に敏感ですね……わかりました、恥ずかしい話しです、人目につくし……こちらに来てもらえますか?」

 

 そう告げて、路地裏へと来る様に告げてきたがアウルムは抱き抱えている壊理と呼ばれている少女に対して……安心してね、とそう告げて笑みを見せた後に、ペストマスクの男に言の葉を返す。

 

「そんなのは拒否します、何故こちらが路地裏に行かなければならない? それに言いましたよね? 保護すると……何か酷い勘違いを為さっている様なので1つ訂正を……これは私から貴方に対する『懇切丁寧なお願い』じゃない、既に『確定された事項』を述べているに過ぎないのです……では」

 

 天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)で即座にその場から離脱しミルコへと電話報告を行う。

 

「ミルコさん、アウルムです……被虐待児と思われる少女を保護しました……裸足で路地裏を走ってきてそれによる両足の裏にガラス片と螺子による裂傷と原因不明の夥しい包帯が乱雑に巻かれており……保護者と思われるペストマスクの男に声をかけられた瞬間からその顔には通常ではあり得ないほどの恐怖と怯えが見られていました、これらの事から『被虐待児』と判断し保護、今から付近の病院に連れて行きます」

 

 そう報告を入れる。

 そして病院へ連れて行き精密検査後……悍ましい事実が発覚した。

 しばし少女と別れて別室へと移動したアウルムは検査結果を担当医より告げられる。

 

「あの子の身体……何度も何度もぐちゃぐちゃに壊されては元に戻された跡がある……つまり、何らかの『個性』で何度も死んで何度も蘇生されてる……両腕の包帯の下には何回も切り刻まれた痕が確認できたよ……被虐待児症候群の診断も下してある、あの子の親と言う人ともビデオ通話を介して話したが私の手元にある臨床所見を纏めた書類と彼が語った状況との間に大きな矛盾が見られる、間違いなく『虐待』だ……今……警察と専門機関に対応を依頼している……」

 

 そう話しているとスーツ姿の男性が通形ミリオと緑谷出久を連れて現れてアウルムに告げてきた。

 

「インターンシップ初日の学生が……全く以って余計な事をしでかしてくれたな」

 

 その言葉に怒気を孕ませながら。

*1
児童福祉法第33条

*2
児童福祉法第25条




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