【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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インターンシップ②

「余計な事……とはまた酷い言い方をしますね……ではあのまま被虐待児童を親元に帰した方が良かったとでも? 医師より聞きませんでしたか? あの子が置かれていた状況を……それらを聞いていてもなお、その言葉が出てきたとしたのなら……私は貴方の事を心の底から軽蔑します」

 

 病院の外へと移動して話すアウルムとスーツ姿の男性と緑谷、それと通形ミリオ。

 苛立ちを隠す事なく告げるアウルムであるが背後にいた緑谷がフォローの言葉をかけてきた。

 

「あ……アウルムさん、ナイトアイの言いたかった事はそうじゃないんだよ……ある事件でナイトアイ事務所はアウルムさんの出会った男を追っていて……それでアウルムさんが保護した少女なんだけど……アウルムさんが少女を保護した直後から何かを警戒してその男の足取りが掴めなくなってるから保護をするなら一旦その男の所へ帰して次のきか……ヒッ」

 

 緑谷の言葉を聞いた刹那、私の身体は感情のままに動いていた。

 怒りに身を任せて緑谷の首を捻じ切らんばかりの力を込めて片手で首を掴み持ち上げて自分でもこんな声が出せるのかと驚きながら……苛立ちの混ざった声音で緑谷へと告げる。

 

「いま……『次の機会』と言いかけましたか? 愚か者……良い事を教えてあげます、あの状態にまで追い込まれた被虐待児童が逃げ出してきたという事は……偶然、奇跡的に逃げ出せる状況が出来て逃げてきたという事です……分かりますか? そんな状況下では『次の機会』なんて絶対に有り得ないんですよ……医師の診断書は見たんですよね? 被虐待症候群との診断が下されていました……私もなっていた事があるので分かりますが、虐待を受け入れてしまう状態で……それでもあの子は必死に逃げてきたんですよ? そして甚だ疑問なんですが何故貴方は『被虐待児童』を見逃すなどと、あまつさえ虐待を重ねている人間の下へと帰すいう発想が出てくるのですか? 次に助けに行った時に無事に生きているかの保証なんて一切ない、五体満足でいる保証なんて一切ない、もっと酷い目に遭わされているかもしれないのに、最悪の場合、次の機会なんて言っていざ助けに行ったら死んでいるかもしれないのに? それを考えられなかったのなら貴方は……最低ですね……暴力を振るった事は……首を絞めてしまった事は謝ります……すいません……頭を冷やしてきます」

 

 そう告げて緑谷の首を掴んでいる手を離し緑谷へと頭を下げて病院の中へと戻る。

 緑谷とアウルムの間に小さくて大きい……一筋の亀裂を生みながら。

 

 その後、相澤先生やミルコなども病院へと来られた。

 ナイトアイ事務所から捜査妨害という形でミルコや雄英高校に監督不行届としてクレームが来たらしいがミルコは状況を聞いたのちに高笑いしながら一蹴する。

 

「馬鹿馬鹿しい、私が今の話を聞いて思ったのはこれだよ……意味わからん、虐待児童の保護が結果的に捜査妨害でクレーム? ハッ馬鹿も休み休み言えよナイトアイ……私はアウルムの行いを全面的に肯定するぜ?」

 

 そうアウルムの頭をポンポンと軽く叩きながら告げるミルコ。

 それを肯定する形で相澤先生も言の葉を紡ぐ。

 

「ナイトアイ……俺もミルコの意見に同意ですよ……流石に論理が飛躍しすぎています……これではタチの悪い言い掛かりです」

 

 そう告げられて流石に言い掛かりだと感じていたのかナイトアイ事務所からのクレームが撤回される。

 そして壊理ちゃんの保護であるが……状況が状況故に一般的な施設へと入れるのは危険が伴う。

 そして何より……壊理ちゃんの待ってる部屋へとアウルムや相澤先生、ナイトアイやミルコ、通形ミリオや緑谷出久が着いた瞬間にアウルムの腕の中に飛びついて一切離れようとしなかった。

 

「大丈夫です、私はここにいますよ、壊理ちゃん」

 

 そう優しく頭を撫でながら告げるアウルム。

 その後、協議を経て雄英寮ハイツアライアンスのアウルムの部屋に住まう事となった。

 壊理ちゃんの個性も調べた結果『巻き戻し』と判明。

 緊急時何かあった際は相澤先生の『抹消』で対応できる、そして死穢八斎會といえど雄英高校の敷地内にある寮に攻め入る事が流石にしてこないと結論づけた故に。

 また雄英に住まわせる理由はもう一つある……機を見て『巻き戻し』という不可逆性故に個性のコントロール訓練を行う事により暴発させない様に地道に訓練を行う。

 

 そしてインターンシップ終了後、アウルムは壊理ちゃんを連れてハイツアライアンスに帰宅した。

 アウルムが連れてきた女児に対して女性陣からは早速可愛い妹として扱われていた。

 

「可愛い〜ねぇねぇ名前教えてよ、私は芦戸、芦戸三奈っていうんだ」

 

 唐突に頬擦りしてくる女性に戸惑ったのかおっかなびっくりな表情でアウルムの方を見つめてくる壊理ちゃん。

 アウルムは笑顔を浮かべながらゆっくりと、怖がらせない様に壊理ちゃんへと語りかける。

 

「大丈夫ですよ、このお兄さんやお姉さん達は私のお友達なんです、怖い人は居ないので安心して下さい、皆優しい人達です」

 

 そう頭を撫でながらゆっくりと告げると壊理ちゃんはおずおずと自己紹介を始めた。

 

「え……壊理です」

 

 その自己紹介の直後、一瞬空気が静寂に満ちる。

 その空気を感じ取った壊理ちゃんではあるが耳郎さんや芦戸さん、八百万さん、葉隠さん、麗日さんが口々に声を上げる。

 

「可愛い〜」

 

「ねぇねぇ、好きな食べ物とかある? 今度一緒に食べよう〜」

 

「今度私の実家から私が小さい頃に来ていたお洋服をお持ちしますわ、きっと似合いますわよ」

 

「可愛い」

 

 女性陣から順番に頭を撫でられたりで愛くるしい……。

 男性陣からも可愛い妹扱いされて……ほんの少しずつではあるが笑顔が戻ってきていた。

 峰田実は壊理ちゃんと出会う前にアウルムにめちゃくちゃ脅されており……少なくとも壊理ちゃんの前ではマトモな高校生を演じていた。

 

「さて……お風呂に行きましょう壊理ちゃん」

 

 帰ってきてから今まで壊理ちゃんを紹介していた為にだいぶ遅くなってしまった……。

 女児用の衣服を数着、パジャマも数着購入した為にアウルムの自室には衣装ケースが一つ増えていた。

 そこからアウルムは自身の寝巻きとバスタオル、タオルを……壊理ちゃん用に購入した物も一式用意してお風呂場へと向かう。

 他の女性陣もお風呂はまだであったのかアウルムと壊理ちゃんはクラスの女性陣とお風呂で色々な雑談に花を咲かせていた。




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