凄い嬉しい作者です、これからも頑張ります
お風呂での歓談ものぼせる前にそろそろ終わらせてお風呂を上がるアウルムと壊理ちゃん。
壊理ちゃんの傷んだ髪をケアしながらドライヤーでゆっくりと乾かしていく。
その後……共有スペースでまだお話ししたいという壊理ちゃんの要望を聞いて雑談に花を咲かせるクラスメイト達とアウルム、それに壊理ちゃんであるが湯船に浸かって疲れがどっと出たのかアウルムの膝に座っている壊理ちゃんはカックンカックンと船を漕ぎ始めておりそれに気づいたアウルムは皆に一言告げながら自室へと戻る。
抱き抱えている壊理ちゃんを起こさない様に慎重にベッドへと寝かせるとアウルム自身は床にシーツを敷いてバスタオルで簡易的な枕を作りタオルケットを布団代わりにして就寝した。
アウルムが眠りについて2時間後……アウルムはあの時以来ずっと見ていた悪夢よりもずっと酷い悪夢を見た。
10年前のあの地獄のIF……私が誰にも助けられなかったもしもの、あったかも知れない、有り得たかもしれない地獄を。
幼い私は血に塗れた衣服や両手を観ながら絶望して……吐いて、泣き叫んで……泥が纏わり付く様な重苦しさが粘っこく包んできて……そこで目が覚めた。
小さく叫んで飛び起きると……ベットではすやすやと寝る壊理ちゃんが確認でき……観ていたものが悪夢だったと再認識する。
「ハッ……はぁ……はっは……はぁ……まだ……心だけが地獄に取り残されて……心だけが永遠に囚われ続けている」
自然と溢れ出る大粒の涙を拭って……泥の様にベタベタと纏わり付く嫌な汗を流す為に壊理ちゃんを起こさないように再度シャワーの準備をして自室を出るアウルム。
スマホで時間を確認すると21.25分……共有スペースには皆がおりまだ歓談をしている。
歓談していた芦戸三奈がアウルムに気づいて歓談に混ざりにきたと思ったのか手を振るってこちらを見たが……私の顔を見た瞬間にその場に居たクラスメイト皆が駆け寄ってきた。
「アウルム‼︎ ねぇアウルム大丈夫⁉︎ 酷い顔してるよ‼︎ あー‼︎ ちょっと轟‼︎ あんた彼氏でしょ聞いてあげて‼︎」
そう告げられてアウルムは鏡で自身の顔を確認する。
そこに写ったのは幽鬼の如き表情で涙を流している自分であった。
アウルムと轟焦凍が付き合っているのは既にクラスの周知である……林間合宿のあの時にクラスメイト全員にバレた。
たまたま廊下を通りがかった焦凍を芦戸三奈が呼び止める。
「んー? 呼んだか? 芦戸……て……アウルムどうした? その表情」
彼氏からそう問いかけられるがアウルムは幽鬼の如き表情をし止まらない涙を流したまま震える声音で焦凍へと告げる。
「みなさん……大丈夫です……ご心配ありがとうございます……ちょっとだけ夢見が悪かっただけです……お気になさらず」
悪夢を見たせいなのかズキズキと酷く痛む頭を抑えながら嗚咽混じりにそう告げるアウルムだが……焦凍はアウルムの事を抱きしめながら優しく告げる。
「大丈夫に見えないから皆そう言ってるんだよ……俺らが付き合う時に約束したろう? 溜め込んで押し潰されるのはやめようって……そういう時には潰れる前に互いを頼る事にしようって……俺はお前の彼氏だろう? 頼ってくれよ」
焦凍からそう告げられて溜め込んでいたモノが決壊する。
大粒の涙を流しながら彼氏の胸の中に顔を埋めて嗚咽混じりに言の葉を絞り出す。
「しょう……と……焦凍おぉ……わた……わたしぃ……」
ずっと胸につっかえていたモヤモヤを彼氏の胸の中に顔を埋めながら吐露する。
「私はあの地獄からいまだに抜け出せてはいない……少しは楽になったといえばそうだが……目を閉じて、眠る度に思ってしまう……本当は皆といるここが夢の世界で本当の私はまだ、暗くて狭い……あの地獄の中に死ぬ迄、永遠に閉じ込められているのではないかと……そう思わない時はない……私の心はずっとあそこに……10年前のあの地獄に囚われ続けている……私の心は……ずっと弱いままです……私の心は……あの地獄の底に取り残されている」
そう吐露するアウルム……それを聞いた焦凍やクラスメイト達はアウルムを優しく抱きしめて語りかけてきた。
「アウルム……俺はここにいるぞ、もう此処は地獄の底じゃあない……もう一度言うぞ、俺はお前の彼氏だ……頼ってくれよ」
焦凍がそう告げると八百万や芦戸達も声をかけてきた……大分救われてはいるが……やはり心の傷はいまだに深く深く私に突き刺さっている。
私に刻み込まれた、10年前の地獄で刻まれた肉体の傷以上に……私のこの心の傷は……如何ともし難い。
焦凍の胸から顔を上げて皆に頭を下げる。
「えぇ……ありがとうございます焦凍……それにみなさん……お恥ずかしい所をお見せしてしまいました……もう一度シャワーを浴びてきます……」
そう言ってアウルムはお風呂場へと足を運んだ。
それを見届けたクラスメイト一同。
完全にアウルムの姿が見えなくなった事を確認して芦戸三奈が焦凍へと語りかける。
「そういえばさ……轟さ……アウルムとはどこまで進展したのさ」
そう問いかけられた焦凍は頬を掻いて語る。
「別に……特にこれといった進展はしてないな……休日に時間合わせてデパートで一緒に買い物したり……アウルム手作りのクッキーやお菓子貰ったり……互いに暇な時雄英の敷地内を一緒に散歩してるくらいだよ、あ……でもこの前会った時には凄いめかし込んで気合い入ってたな……綺麗だって言ったら嬉しそうに笑ってた」
その言葉に対して芦戸三奈を含め女性陣が沸き立つ。
「デートじゃん‼︎ それデートじゃん‼︎ しかも手作りのお菓子をもらったぁ⁉︎ それ‼︎ ちゃんとアウルムに感想言ったんでしょうね轟‼︎」
「轟さん、アウルムさんがめかし込んできた時ちゃんと言葉は選んで褒めたんですよね⁉︎」
女性陣から唐突にそう叫ばれあまりの事にしばしフリーズした後に告げる。
「あ……あぁ、お菓子ありがとう、美味しかったよって……あとめかし込んで来た時は綺麗だな……ってそうアウルムへと告げたが……」
そう告げた焦凍だが……その言葉を聞いた女性陣全員から一斉に溜め息を吐かれて……女心についての授業を2時間みっちりと受けた焦凍であった。