【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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アウルム・ミダスティアVS脳無(アウルム・ミダスティア)

 竹林でアウルムも脳無も黄金色に輝く無数の剣や刀を縦横無尽に動かし相手の剣や刀を弾き飛ばしながら相手を戦闘不能に追い込む一手を狙っていた。

 剣を弾き飛ばした直後、脳無の肉体が変容し増えた腕や足から何十発と同時に打たれた殴打をギリギリの所で避けるがアウルムの表情が苦悶に歪み腹部の傷からの出血がじわりじわりと滲んできており早急に決着を着けなければならない。

 何より……アウルムの数100メートル背後には市街地が見えており竹林より外に出てしまう訳には絶対にいかない。

 何よりも……市街地に出た場合の危険性は他ならぬアウルム自身が1番理解していた……。

 アウルム自身の個性をそのまま使用できるというのであるならば……あの脳無が市街地に降りた場合何が起きるかなど想像するのは非常に簡単である。

 最小の被害予測で見ても周囲にある県5つ全てが黄金に呑まれてしまう。

 そうすれば如何に黄金に干渉出来るアウルムといえど対処が不可能となる……。

 

「ゴホッ……しかしながら……あの時か(・・・・)?」

 

 口腔内に溜まった血を吐き捨てながらアウルムは自身が攫われたあの時を思い返す……血を採れるとしたらあの時しかない。

 アウルムは殴打の嵐を掻い潜って一瞬の隙を突いて脳無の懐へと入り込むと肉体に触れてその手で直触りで黄金化させる。

 一瞬で黄金の彫像へと変化する脳無だが、脳無自身が千切り投げ飛ばした脳無自身の頭部がアウルムの背後でカタコトの言葉で語りかけて来た。

 

「ヨ……ヨワイななな……オマエ」

 

 脳無の頭部を黄金化して砕こうと振り向いた刹那、瞬き程の一瞬で脳無の肉体が完全に再生されてアウルムの動きよりも、アウルムが操る黄金の動きよりも速く脳無の貫手が放たれてアウルムは腹部に空いていた穴を更に深く広く貫かれた。

 完全に貫通していた箇所を更に深く更に広く貫通しておりビクンッビクンッと痙攣し口から大量に血を撒き散らすアウルム。

 しかし、腹部を更に深く貫通され普通ならば死んでいる筈のアウルムの双眸にはまだ光が宿っていた。

 脳無はそういうプログラミングを為されていたのか完全に殺したと誤認して動きを止めていた。

 刹那の速さで自身の腹部を貫通した脳無の腕を黄金化させアウルムがその手で脳無の頭部を掴んで言の葉を紡ぐ。

 

「片言であるが喋れる知性、自らの状況を即座に理解する思考能力、そして複数の個性持ち……確かに私は弱いさ……まぁしかし、黄金に対する練度だけは私の方が1枚上手だった様だ……ゲホッゴホッ……ま、しかしながら良い教訓になったよ……自分の内臓を全て黄金化させていた場合には致命傷を喰らってもしばらくは問題なく活動できる……そして……君の敗因だ……コフッ」

 

 咳き込んで血を吐き捨てて一度言葉を切ると再度アウルムは眼前の脳無に告げる。

 

「私がこの手で創り出した黄金は……決して壊れない、私の意思以外ではね」

 

 脳無の頭部を両手で掴んで黄金化すると即座に干渉される前に黄金と化した脳無の頭部を在らん限りの力を込めて砕き割る。

 

「ッ‼︎」

 

 短い叫びをあげて脳無は糸が切れた人形の如く倒れ伏しそのまま2度と動く事が無かった。

 アウルムは更に深く貫かれた自身の腹部を見ながら力無く呟く。

 

「黄金……にしたままのスマホ……あった」

 

 動く事が難しい為に遠隔操作にて通話が繋がりっぱなしのスマホを口元近くまで浮遊させて弱々しい声を通話口へと近づける。

 口腔内に溜まった血を吐き捨てる事もできずに血で溺れかけながら繋がりっぱなしのスマホに語りかける。

 

「あいざ……せん…… ? ちょ……怪我がひどてで……すね、うご……な……い」

 

 口腔内に溜まった血で上手く発語が出来ず、伝わったかは不明だが電話口の相澤先生から伝えられた言葉で安堵の声音を漏らすアウルム。

 避難誘導に徹していたプロヒーローの1人が救急車を要請してアウルムは救急車にて付近の病院へと搬送されていった。

 

 内臓全てを黄金化していた為に内臓の損傷は一切なく千切れた血管も結紮(けっさつ)、黄金化させて縫合をしていた為に腹部に空いた大穴以外は問題なかった。

 9時間に及ぶ大手術の末に15センチ程の大穴に色々な器具が挿入されて何とか生命が維持されていた。

 翌日……アウルムは病院のベッドの上で目を覚まし時計を確認すると14時……時計を見ながらため息を吐く。

 

「全く……授業が終わってしまう……」

 

 自身の腹部に挿管されている器具を見ながらナースコールを押すとナースが急行して状態を確認。

 ドクターの診察後、人工呼吸器が外される。

 

「ドクター……私の腹に空いた大穴……どうかな? 経過は……」

 

 そう問いかけるアウルム。

 ドクターはアウルムの方を一切見ずに言の葉を紡ぐ。

 

「……大丈夫です、明日には退院できますよ……ですから今は寝てて下さい」

 

 それを聞いたアウルムは腹部に挿入されている器具を見ながら力無く呟く。

 

「ドクター……嘘は良くないな……嘘をついている人間は見れば分かる……大穴を塞がないとやばいのに対処法がないんだろ?」

 

 ベッドに横たわったままそう告げるとたっぷり5分黙りこくったドクターから告げられる。

 

「えぇ……内臓に損傷が見られないのが奇跡的な程の怪我です……貴方の腹部に空いた穴……これをどうにかしなければ……以って3時間です」

 

 それを聞いてアウルムは力無く笑ってドクターに告げる。

 

「それを聞いて安心しました……要はこのお腹の穴さえ塞げば一先ずの危機的状況は脱すると」

 

 そう告げるとアウルムはその手で力無く自身の腹に、空いた大穴へと躊躇いなくその手を突っ込み無造作に引っ掻き回す。

 臓物に触れ、撫で回す感覚が自身に襲いかかり口から血を吐く。

 

「ブフッ……ゲホッゴホ……カフッ」

 

 鮮血が口から溢れ落ち病衣を血に染める。

 ドクターがアウルムの腕を掴んで止めて怒鳴ってきたがアウルムは血を吐きながらもドクターに弱々しい声音で告げる。

 

「私の個性……ある程度なら黄金の生成状態を操作してから生成する事が可能なんです……例えば……滅菌した状態だったり、失った肉体の一部に置換する目的で生成したり……完全に馴染んでから黄金化の解除をすれば……少なくとも失った肉体は再生、治癒できます……時間は大幅にかかりますが」

 

 止まらない鮮血を吐きながら自身の腹部に空いた大穴を滅菌した状態の黄金で塞ぎ止める。

 無理矢理に穴を塞ぐと検査後……ドクターから退院許可を無理矢理もぎ取って雄英高校へと戻っていった。




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