車椅子に乗り雄英高校へと戻って教師陣に状況説明をした後にクラス対抗戦をやっているという事を聞いて会場へと向かう。
車椅子に乗ったまま到着し手を振るとクラスメイト達が泣いて抱きついて来た。
B組の小大さんや拳藤さんからも心配したとの言葉を賜り相澤先生からもちょっとしたお小言と共に良かったと告げられる。
「そういえばクラス対抗戦は終わってしまいましたか?」
そう告げると丁度5戦目が終わったところであったらしく車椅子に座ったままの私は和やかな笑顔を浮かべながら口を開く。
「まだ時間は有るのですよね? スペシャルマッチと行きましょう……私1人VS……A組B組+心操さんを加えた40名です、ルールは変わらずに投獄された時点でリタイア」
そう告げると一部の者から否定的な意見が生じる。
「いや……戦うってその状態でか?」
「まだ病み上がりというか……9時間越えの大手術の後でしょう?」
それを聞いてアウルムはご心配なくと前置きして語る。
「何ら問題ありません……腹の傷は黄金化して塞いでおりますし……歩けはしませんが別に車椅子からでも私の個性は使えます」
相澤先生とブラドキング先生、オールマイト、ミッドナイト先生の方を向くと何やら話し込んでおり……5分後に許可が降りる。
「良いだろう……しかしこちらが危険と判断した瞬間に即刻中止するからな」
そう告げられて……B組の面々はアウルムの状態を鑑みて手加減を思案していたが常日頃からアウルムと模擬戦をしているA組の面々は違っていた。
緑谷や轟、切島に八百万、爆豪らがどう対処するかを決めあぐねていた。
「先ずはあの黄金をどう回避するよ」
「スタート直後で轟か爆豪が一撃で気絶させるしかなくね?」
「それが失敗したらタイムアップまで警戒されて2度と同じ手が通じなくて負けだぞ? 分かってんのか?」
余りにも異なる空気にB組の面々は沈黙を持って答えていた。
「しかし……見事に近中距離しかいないな……この事実をどうするか」
「しかもアウルムの個性は単純すぎてそれ故に対応の幅が恐ろしく広い……高速移動、制圧、捕縛、探知、近距離、中距離、遠距離、どれをとっても出来ない事はほぼない……最近だと新しい技も作ったらしいしな……」
「かっちゃんのAPショットは……」
「体育祭以降何度も何度も模擬戦やって一度も当たってねえ……あの黄金女……常に自身の周囲を黄金の破片でガチガチに固めてやがるからな……黄金の破片で作られる防壁を抜く手段も考えねえといけねぇ……何より黄金にほんの僅かでも触れたら実質そのままリタイアってのが最悪だ……この時点で近距離しか戦闘手段ねえザコ共は何の役にも立たねぇ……」
「でしたら……範囲外から1発で仕留めれば良いだけですわ」
舌打ち混じりにそう呟く爆豪。
八百万百が指で銃を形作って撃つ仕草をするとそれを基盤にして作戦立案を開始、そしてスタートの合図がなされる。
試合の開始が合図されると索敵組がアウルムを索敵する。
そして叫ぶ。
「居たッ‼︎ でもアウルムはスタート地点から動いてない‼︎ 距離1.8km‼︎ ッ⁉︎ 四足歩行で駆ける音がいくつも聞こえる‼︎ 何か来るよ‼︎」
耳郎響香や障子が索敵範囲内に居る謎の何かを感じ皆に叫ぶ。
黄金化されている馬やライオンが現れて襲いかかって来た。
馬やライオンが地を踏み締めて走る度にじわりじわりと地面が黄金化していく。
アウルム本人の侵蝕速度と比べれば遅々とした速度だが黄金化したそこかしこから黄金化している盗掘者たちが生成されている。
「しかもこの騎乗した奴やライオンや人形……徹底して範囲攻撃持ちを狙って来てる‼︎」
ライオンや人形や馬が狙って来ているのは轟焦凍や爆豪勝己、骨抜柔造などの一定範囲に影響を及ぼす者達。
骨抜柔造が地面に触れて黄金で生み出された全てのモノを地面を柔化させて地中深くに沈めて対処する。
「……? 黄金郷のワッケーロ、ガーディアン、コンキスタドールの動きが止まった? 動かせない……液体化した地中深くに纏めて埋まって沈んでいってる……黄金の侵蝕速度よりも沈む速度の方が圧倒的に速い、これ以上は無理か……」
アウルムはスタート地点から自動操縦で動かしていたそれらの動きが止まったのを感知して黄金化させていたワッケーロ、ガーディアン、コンキスタドールの黄金化を解除する。
そして、次なる一手を打とうとした刹那、背後より声が聞こえた。
「APショットオートカノン‼︎」
爆炎がアウルムを包むが爆豪勝己は仕留めたとは思わずそのまま連続して撃ち込む。
数十発撃つがアウルムの声音が聞こえてくる。
「そう言えば……言ってませんでしたが私が遠隔で操作した黄金……解除した
それを聞いて爆豪勝己の舌打ち混じりの叫びが聞こえる。
アウルムの周囲、何も無い筈の空間から黄金郷のワッケーロが、黄金郷のガーディアンが、黄金郷のコンキスタドールがそれぞれ2体ずつ湧き出て爆豪勝己へと襲いかかる。
凄まじい反射神経と爆破による変幻自在で縦横無尽の立体機動で避けながら爆豪勝己はアウルムへと叫ぶ。
「ハッ‼︎ じゃあ何で全部戻さねぇんだ⁉︎ 明らかに数が減ってるじゃあねえか‼︎ 戻せる数に限りがあんだろ⁉︎ そしてあん時、体育祭で見せた俺の爆破すら侵蝕したのをやってこねぇって事はそっちにリソースを割きすぎてるって事じゃあねえか‼︎」
立体機動を行い即座に車椅子に座ったままのアウルムの死角へと回り込むと気絶させる為に爆破を放つ。
しかしアウルム自身も伊達に体育祭以降何十回も爆豪勝己と模擬戦を繰り返してきた訳ではない。
「呪われしエルドランド」
そうアウルムが呟くとピキリッと音が生じてコンクリートの地面やが異常な速さで黄金に侵蝕されていく。
爆豪勝己は即座に理解し立体機動で範囲外に離脱した。
アウルムが呟いた『呪われしエルドランド』自体は傍目から見れば『
そして、範囲内であれば侵蝕速度は『呪われしエルドランド』の方が数10倍速い。
黄金化されたら負けが確定する為に爆豪は即座に範囲から離脱する。
「チッ……あの新技……範囲よりも精度に重点を置いてやがる」
そう苛立ちながら言の葉を紡いで爆破のしすぎで痛む腕を黙らせて爆破を行い続けて移動を続ける爆豪勝己であった。