【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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クラス対抗戦②

「これで良いですわ……角取さんありがとうございます」

 

 爆豪勝己が『呪われしエルドランド』を避けて移動した時と時を同じく、八百万百はダネル-NTW-20とゴム弾を創造し装填し太陽を背にして角取ポニーの角で黄金化の範囲外、遥か上空へと持ち上げてもらい、そこからダネル-NTW-20のスコープを覗いて狙撃できる位置を伺うが薄く輝く黄金がアウルムの頭上を漂っており明らかに狙撃を警戒していた。

 歯噛みして角取ポニーにアイコンタクトを取り狙撃地点を移動する。

 新たな狙撃地点に着くとスコープを覗き引き金を引く指に力を込める。

 八百万百はダネル-NTW-20のスコープを覗いて全神経を狙撃に集中させる。

 

「アウルムさんはまだ気づいていない……この1発が最初で最後のチャンス……確実に決めてみせますわ」

 

 アウルムに同じ手は通じない……確実に対策されて2度と通じなくなる。

 アウルムの頭部へと狙いを定めて……確実に一撃で決める。

 短い発砲音が響き渡りダネル-NTW-20から銃弾が放たれる。

 

 撃発させたゴム弾と金属音がぶつかり合う音が響き車椅子に座ったままのアウルムの姿勢が揺らぐ。

 スコープを覗いたまま耳に装着したインカムでチームメイトに告げる。

 

「頭部に着弾……気絶したのか対象に動きは見られません……ッ⁉︎ 待って下さい‼︎ 何かが大量に地面を蠢いて……アレは……黄金で形作られた大量の鼠⁉︎」

 

 演習場の地を埋め尽くす程に大量の黄金鼠……それが360°全域に……空中に浮遊できる者は即座に空中へと退避しそうでない者達は全員浮遊できる者達が救助して空中へと浮遊させる。

 

「何だありゃあ……」

 

 黄金化の侵蝕速度はアウルム自身が操る速度と遜色ない。

 ワッケーロやガーディアン、コンキスタドールが自動操縦で戦闘しつつゆっくりとじわりじわりと黄金化を進めていくのだとしたら……この鼠の大群は侵蝕速度を重視したモノだとチームメイト全員が理解した。

 1分もしないうちに演習場全体が黄金に染まる、もう地上に降りる事は許されない。

 地上に足を着けた瞬間に黄金化されてしまう。

 少ししてアウルムが気絶から目覚める。

 

「ケホッ……この弾痕はダネル-NTW-20……八百万百が創ったのか……さて気絶したという事は鼠が湧き出た筈だが」

 

 アウルムは周囲を見回すと気絶した時に自動発生する黄金で形作った鼠の大群が地を埋めているのを確認して空中を見る。

 それを見ながらアウルムはゆっくりと手をかざして言の葉を紡ぐ。

 

「赤き血染めのエルドリクシル」

 

 黒化(ニグレド)白化(アルベド)赤化(ルベド)

 卑金属を金へと変換する為に古来より錬金術師達が行った3工程……それを元にして作ったアウルムの新技。

 黄金で形作っていた鼠が全て崩壊してアウルムの掌へと集っていき一滴の雫になった。

 そして……それが地面に落ちた刹那……演習場の地面ばかりか演習場内の全てが黄金化した。

 それは空中に逃げていた者達すらも一切の例外なく。

 そうして黄金の彫像となった者の何人かを遠隔操作にて操り牢屋へとぶち込むとちょうどタイムアップとなり黄金化が解除される。

 

 講評となりそれぞれの立ち回りを評される。

 

 アウルムの講評は自動操縦の戦闘を爆豪勝己に接近を許してしまいそれが元で八百万百に準備の時間を与えてしまいダネル-NTW-20で狙撃された事だ……アレが起きたせいで危うく牢屋へとぶち込まれる所であった。

 講評が終わった後で爆豪勝己に怒気を滲ませた声音で詰め寄られる。

 

「おい黄金女ァ‼︎ テメェあの最後に使った技ァ‼︎ あれは何だ‼︎ あんなもんあるなら最初から使えば良かったろうが‼︎ 舐めプか⁉︎」

 

 胸ぐらを掴まれる気にせずにアウルムはゆっくりと答える。

 

「最後の技……あぁ、赤き血染めのエルドリクシルかい? アレ……アレだけには唯一発動の条件があってね……最初から無条件で放てる訳じゃないんだよ爆豪……それにアレは使用したら発動後15秒間経過したのちにその後20分間は侵蝕含めた全ての黄金の操作ができなくなってしまう……手で触れる事による黄金化は問題なくできるが……相手の中距離遠距離攻撃への対処が一気に難しくなるからね使い所の難しい技なんだよ……それに……全範囲の黄金を一度崩壊させて制御する都合上ある程度の隙が出来る」

 

 そう語ると舌打ち混じりに乱雑に言葉を放つ爆豪勝己。

 

 そうして講評が終わり寮へと戻る。

 焦凍に車椅子を押してもらいながら……。

 自分で動かせると言ったのだが焦凍は断固として譲らなかった……。

 

 寮の出入り口に入る前に車椅子を畳んでゆっくりと歩こうとすると焦凍から声をかけられてお姫様抱っこをされて寮内へと入る。

 

「……重いと思いますよ、私は」

 

 耳まで真っ赤になるのを自覚して赤面しながらアウルムは焦凍へと告げるが焦凍はかなーり鈍いのか真面目な表情でアウルムへと言の葉を返す。

 

「……? ……アウルムは軽いぞ?」

 

 そのやり取りを見ていた一部の男性陣からは囃し立てる様な声と女性陣全員からため息と共に諦観が籠った声音で呟かれる。

 特に八百万百と芦戸三奈に至っては2人とも手で顔を覆いながら深く……深くため息を吐いていた。

 

「……轟さん」

 

「轟ィ……」

 

 流石に自室前で降ろしてもらいお風呂の準備をして風呂場へと向かう。

 ちょうど他の女性陣も入浴する所であったらしくお風呂に浸かりながら雑談に花を咲かす。

 湯船にぐでぇっと浸かりながら芦戸三奈が問いかけてきた。

 

「そう言えばぁ……アウルム……デートはどうだったのぉ?」

 

 間延びしたセリフと共に問いかけられるアウルム。

 足を伸ばしてリラックスしながらその問いかけに答える。

 

「とても楽しいデートでしたよ、科学博物館を観て、プラネタリウムに行って……午後はカラオケにボウリング、露店のアクセサリーショップで購入した物が私が休みの日にいつも着けているブレスレットです……何を隠そう焦凍とはお揃いです……楽しませてもらったお礼として私からのプレゼントです」

 

 お揃い、その言葉に一気にどよめきたつ皆。

 八百万百が言の葉を紡ぐ。

 

「確か……桔梗をあしらったデザインのブレスレットですよね、良いですわねぇ……」

 

 そうゆるやかに語り合っているアウルム達であった。




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