【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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あゝ死よ

 3月下旬……小隊と分隊にて編成されたヒーロー達が山の麓とある地域の病院に同時に奇襲をかける為に集まっていた。

 かくいうアウルムもそれに召集されておりアウルムは病院の方へと配置された。

 2.5km離れた100名を超えるヒーローや警察が集結しているブリーフィングルームからコンクリートの地面の下を黄金化させて病院内の全てを把握する。

 その瞬間にアウルムの脳内には津波の様な勢いで、荒れ狂う激流の如く、膨大な情報が一気に流れ込んでくる、脳無の正確な数と付与された個性の正確な個数とその個性について、そして病院長と思われる大量の同一人物の情報を手元のタブレットに細かに記しあげる。

 病院の正確で細かな見取り図、避難させるべき人達の数と位置、病院の院長とされている人物が複数おり、トゥワイスの2倍で複製体となっている事を確認……そして、本体の院長は死柄木弔の強化に付きっきりでおり他事一切を複製体に任せているとの情報が流れ込んでくる。

 アウルムは鼻血を垂らしながら、脳が情報の洪水に押し流されて肉体の気絶(シャットダウン)をしてしまう前にそれらを5分で詳細に纏め上げると隣に居た塚内さんへと渡した直後……急激に流れ込んできた膨大な情報の洪水を一先ず処理する時間を作る為にアウルムの脳は強制的に肉体の気絶(シャットダウン)を選択する。

 その刹那、アウルムは鼻血を垂らしながら荒い息で浅く短い呼吸を繰り返しながら床に倒れ込む。

 床に倒れ込む寸前、隣に居た婦警がアウルムの手に触れない様に抱えて簡易的なベッドの上へと運ぶ。

 ベッドの上で短い間隔で苦しそうな呼吸を繰り返すアウルム、それを見ながら塚内さんが敬礼をして言の葉を紡ぐ。

 

「……良くやってくれた……ありがとう……」

 

 そして、ヒーロー達に情報が共有される。

 30分後、塚内がヒーロー達に言の葉を叫ぶ。

 

「各自アウルムの得た情報を確認したな‼︎ こちらの潜入調査でも得られていない情報が事細かに纏められている‼︎ ここまで詳細な情報が得られたんだ‼︎ アウルムの頑張りを無駄にする訳にはいかないッ‼︎ 絶対に捕えるぞ‼︎」

 

 その言葉を皮切りに病院と解放戦線の両方に突入が開始される。

 

 病院の方にはエンデヴァーを先頭にプレゼント・マイク、イレイザーヘッド、ミルコやロックロックやマンダレイらが急襲する。

 

 アウルムの得た情報はまさに値千金であった、あの情報が無ければエンデヴァー達は目の前に居た院長を捕縛する為に無駄な時間を掛けてしまう所であった。

 複製体というのが分かってるが故に、イレイザーヘッドは容赦なく操縛布で締め上げるとやはり……合宿の時に対峙した(ヴィラン)と同様に身体が泥となって崩れて消え去る。

 

「各自‼︎ 目標へ最短で移動しパッケージを確保せよ‼︎」

 

 そう塚内が叫びヒーロー達が脳無と対峙している最中、ミルコより全体に向けた緊急通信が入る。

 曰く、ホンモノと多数の脳無、それに死柄木弔を発見、絶対に起こしてはいけない存在になったと。

 エンデヴァーが脳無の処理をした刹那、衝撃音が響いて病院内が僅かに揺れる。

 エンデヴァーは即座にジェットバーンの応用で移動して、プレゼント・マイクとイレイザーヘッドもそれを追いかけると左脇腹と左眼を抉り取られたミルコが血を吐きながら叫ぶ。

 ミルコは最上位個体(ハイエンド)と目されている脳無の半数を戦闘不能に追い込んでいたが流石に無傷でという訳ではいかなかった様で内臓も損傷しているのか喀血なのか吐血なのかは不明だが血を吐いていた。

 イレイザーヘッドとプレゼントマイクが掃討を担当して唯一炎が扱えるエンデヴァーが左脇腹の傷を焼灼止血で応急処置して傷口から大量に流れている血をこれ以上流れない様に焼いて塞ぐ。

 

「潰せぇッ‼︎ 奥にある死柄木弔の入ったカプセルと‼︎ ジジィ‼︎ 絶対起こさせるな‼︎ 死柄木弔を‼︎」

 

 プレゼントマイクがその声を持ってプレゼントマイクの必殺技『ラウドヴォイス』にて死柄木弔の入ったカプセルとその周囲の物をぶち壊していく。

 そして、ラウドヴォイスで気絶しかけている殻木球大を捕縛すると殻木球大は堰を切ったように、諦観が混ざった様な表情で、狂気に満ちた表情で、しかし涙を流しつつ……絶望を浮かべて無念の言の葉を紡ぐ。

 

「あ……あぁ、仮死状態にして定着の負担を軽減させていたのが……溶液が……定着促進・維持・蘇生装置が……死柄木弔()の為に生きてきた‼︎ 終わる‼︎ 終わってしまう‼︎ 魔王の夢が‼︎」

 

 殻木球大の魂の叫び……その数秒後……死柄木弔が息を吹き返し……死柄木弔の周囲にあった全てが3秒もかからずにチリとなって崩壊した。

 しかも……以前の死柄木弔の崩壊は周囲の物体を伝播する事は決して無かった。

 しかし……今は違う、崩壊は死柄木の指が一本でも触れれば、触れたものに接触する全ての物体に対して無差別に効果を作用させることが可能になっていた。

 ひとたび死柄木弔がその個性を発動すれば、死柄木の手からそれに連なるあらゆる物体に崩壊が伝播してゆき、死柄木を中心とした円形の範囲内に存在する全てのものを塵に変えてしまう。

 今までの『崩壊』とは違う……『伝播する崩壊』と化した……。

 プレゼントマイクやイレイザーヘッドがリューキュウに助けられて脱出している最中、その現象を見て……朧げながら理解した事があった。

 炎やレーザー、衝撃波といった物理的に接触することができない現象とは相互に干渉しなかった。

 それを見た3人は推察する、死柄木弔のこの崩壊が発動するものはあくまでも死柄木の手で触れたものと、それに連なるもののみであり、人の手で掴むことができないものにまでは崩壊の効果は及ばない。

 つまり、手で触れることができない攻撃を死柄木は防ぐことができないが、それと同時に、この個性に対しては明確な防御手段がほぼ存在しないということをも意味している。

 土の壁や氷の壁で防御することは不可能であり、衝撃波等の飛び道具で崩壊の伝播を押し返すこともできない。

 そのため崩壊の発動圏内に入ってしまった場合は、空中に逃れるか、もしくは全身に崩壊が及ぶ前に接触部分を切り落とすしかない。

 

 そう推察しつつ伝播する崩壊から距離を取った……そして都市の3分の1程を崩壊が飲み込んだ。

 

 唯一の救いは民間人に絞った場合のみ人的損害は一切無かったことであろう。

 しかし……ヒーローは既に30人以上が崩壊に巻き込まれて死んでいった。

 

 更地となった中心地で死柄木弔がゆらりと動き出そうとした刹那、エンデヴァーが、爆豪勝己が、緑谷出久が急襲して死柄木弔を堰き止めようとしていた。




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