時間は少し巻き戻りアウルムが海を漂っている時へと戻る。
アメリカNo.1ヒーローの個性は奪われたが最後に付与した『
そして……内から弾け飛んだ死柄木弔は発見出来なかったが……ラプターのパイロット曰く、途中乱入して来た者から受けた爆撃で身体の内部から弾け飛んだ事、
しかし、現最強と謳われるヒーローが敵わなかった事実に各国が萎縮し派遣の保留を即決、そして派遣を取りやめる。
そして全国各地に散らばっていた脱獄囚達も殆どがアウルムの手により刑務所へと戻された為にここに来て時間的にも人的にも余裕ができた。
緑谷も雄英に戻って来た……しかし……アウルム・ミダスティアのみが未だに見つからない、身柄を狙われている為に本気で逃げ隠れて潜んでいる彼女を見つけるのは至難の極みであった。
そして青山優雅の裏切り行為が発覚……その後色々あったが、乱入してきた少女へ対してラプターのパイロットとキャスリーン・ベイトの言葉が全てを好転させる。
付与ともう一つ……自身を助けてくれた彼女へ……36時間後に発動する様に細工した発信機を取り付けたと。
それを聞いたオールマイトがアウルムの居場所を確認すると……九州地方の端の端、最端の僻地であった。
情勢が悪化し外界が無秩序の地獄となっている中、雄英高校のあるここ、静岡からどんなに速く移動しても8時間はかかる、通常ならば2時間程あれば到着する距離なのだが……情勢が悪化し過ぎている為にここまで時間がかかってしまう。
しかし……そんな地獄を1ヶ月半、アウルムはたった1人で孤独に生き抜いたのだ……世界中の
教え子を助けに行かない教師がどこにいるのか。
そう決断して行こうとした時、根津校長より招集の電話がかかってきた。
それに対応し部屋へと入るとそこにはラプターのパイロットとキャスリーン・ベイトと根津校長、そして轟焦凍、それにA組の皆が居た。
根津校長が口を開く。
「アウルムさんの居場所がようやく判明したのさッ彼女は生きてる」
それを聞いて喜びを見せるA組の皆。
しかし居場所を聞いて一気に沈む、九州地方の最僻地、そこまでの移動手段が皆無……そして、各国のプロヒーロー達が必死に抑えてはいるもののアウルムの身柄を狙って
そう聞いて歯噛みするがキャスリーン・ベイトとラプターのパイロットが口を開く。
「何の為に戦闘機乗りがいると思ってるんだ? 旅費はタダだ」
そう告げられる、しかし発進できる機体の都合上パイロットを除いたら同乗出来るのは1人に限られるとの事。
それを聞いて、八百万百が口を開く。
「轟さん、行ってください……行って、今度こそアウルムさんを救けてあげてください……この役目は私では絶対に務まりません、勿論飯田さんや他の方々、先生方にも絶対に務まりません……貴方だけです、貴方だけなのです、この役目が務まるのは……アウルム・ミダスティアの彼氏であった貴方にしか務まらないのです、轟さん……行って……行って、今度こそ思いの丈を叫んで下さい、桔梗の花言葉を覚えてますか? 彼女は、アウルムさんは……その花言葉を反故にしてでも何よりも貴方を守りたかったんです……そして叱ってあげて下さい、それが今の彼女には最も必要な事です」
そう告げられる、そして……轟焦凍は30分という短時間でラプターのパイロットから手解きを受ける。
キャスリーン・ベイトは自身に与えられている特別指揮権授与を態と拡大解釈してラプターのパイロットへと告げる。
「私を救けてくれた、その恩には報いるべきだろう? 独断専行に加えてティアマトの発射要請で本国のお偉方によって私の、スターアンドストライプに与えられた権限が消えてなくなる前に……最後の特別指揮権行使、これにラプターの無断発進が1つ増えるだけさ、気にするこたぁない……行ってあげて
そう告げて……轟焦凍を乗せたラプターは目的地へと飛行を開始する、対Gスーツを着込んだ轟焦凍は言われた事を反芻する。
ドロップゾーンに入ったら3カウント後にベイルアウトを行う。
ベイルアウトしたら5秒後にパラシュートを展開する。
そして最も重要な事、決して焦らない事。
それを伝えられて……焦凍は無言で頷く。
ラプターが発進してから……少しして……A組の皆の前で……オールマイトはキャスリーン・ベイトとの昔話に花を咲かせていた。
「ハッハッハ‼︎ あの時に助けた女の子がまさかこんなに強くなってるとはよもや想像もつかないさ‼︎」
オールマイトがそう告げるとキャスリーン・ベイトも言葉を語りだす、A組の皆へと向いて語りだす。
「私がここまで来れたのもその昔、日本から来た留学生に……オールマイトに救われたからだよ、生憎と私はもう『無個性』だが……紡いできた道はまだ消えちゃいない……もはや正しい秩序はない、平和を護るヒーローは殆どいない、しかし、まだ可能性が残っている、だから……力の限り叫ぶがいい、惜しげなくも過ちを重ね あるゆる負債を積み上げてなお『希望に満ちた人間の戦いは、ここからだ』と」
それを聞いたA組の皆は奮起し各々のやるべき事をやる為に寮へと戻って行く。
そして、それを見送ったキャスリーン・ベイトは一度言の葉を区切って告げる。
「私も随分と好きに生きたなぁ……ああ勘違いしないでほしい、オールマイト……好きに生きる、というのは、楽に生きる、という事じゃない、自分が好ましいと思うこと。自分が最も望むもの、自分が最も望む事、その為に全力で戦う事、その為に血を吐くような途轍もない苦労をする事を、好きに生きる、と言うんじゃないかな」
そうして……道は紡がれた。
目的地点へと、ドロップゾーンへと着いた戦闘機から、焦凍がラプターからベイルアウトしてパラシュートを開いて地面に着地し今まさにアウルムが襲われかける瞬間に……焦凍は叫ぶ。
「穿天氷壁‼︎」
「攫われたあの時にはこの手が届かなかった‼︎ ミッドナイト先生の時は間に合わなかった‼︎
力無く笑う彼女を支えながら焦凍は叫んだ。