【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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黄金郷赫奕の極みに達し②

 苛立った表情を浮かべた死柄木弔の腕から大量の指が生えてきた。

 無数に膨れ上がった手、それをゆっくりと動かしながら死柄木弔が呟いた。

 

「これは『成長』だ……ただの肉体、髪が伸びる事、爪が伸びる事と同じ深化していく『個性』に身体を対応させるべく人が獲得した新たな形」

 

 そう告げながら……大量に並んだ『手』が、巨大に膨れ上がった『手』がアウルムを殺そうと、圧殺しようとしてくる。

 アウルムはしばし考える、アレは死柄木弔から生えている『手』である以上、順当に考えて膨れ上がった無数の『手』その全てが『崩壊』を発動できるだろう。

 それを踏まえて……アウルムはボソッと呟く。

 

「やっぱりクソゲー」

 

 銃器を操作して撃発するも全てが豆鉄砲程度にしかなっていない。

 ならば……黄金操作で巨大な、スフィンクス像とほぼ同サイズの黄金郷のガーディアンを創り出して対応する。

 創り出したガーディアンが死柄木弔の膨れ上がった無数の『手』を薙いで削り取るも、然したる痛手にはなってない。

 だが……死柄木弔は底冷えする程冷たい声音で言の葉を紡ぐ。

 

「無駄にデカくなるだけってのは悪手じゃねぇか⁉︎ 動きがノロイぜ‼︎」

 

 無数に膨れ上がった『手』で迷う事なくアウルムを狙って握り潰そうとする。

 無数に膨れ上がった巨大な『手』は各々が意思を持ってるかの如く動いており軌道が読めない。

 天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)で跳躍して範囲から逃れようとした刹那、無数に蠢く手の1つに脚を掴まれて黄金に変化している地面へと叩きつけられる。

 叩きつけられた衝撃で肺から空気が押し出され一時的に呼吸が止まる。

 

「カッ⁉︎ ハァッ‼︎」

 

 痛みにのたうち回りそうになるが即座に自身の脚を掴んでいる手を銃で撃ち引き剥がすと天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)で自身の体勢を立て直し反撃に出る。

 黄金を操作し液体状の黄金を自身に纏わせて、個性の限界突破を繰り返した果てに習得した自身の『黄金』その神髄、そしてその神髄の更に極致、そうして辿り着いた赫奕の極み。

 その全てを以て眼前の(ヴィラン)を倒す。

 アウルムは赫奕の極みに達している黄金をその身に纏い技の名前を呟く。

 

「黄金郷のアウルム」

 

 自身をも黄金郷の一部と化した、そして雄英高校から切り離されてどんどん小さく狭まっていく空間。

 その果ての終着を察したであろう死柄木弔。

 周囲を見回してアウルムの表情を、アウルムのそれを見た死柄木弔は全てを察した。

 

「お前……お前……まさか‼︎」

 

 動揺を隠す事なくアウルムへと向ける。

 それを見たアウルムは赫奕の極みに達している黄金を操作しながら笑顔で呟く。

 

「そのまさかだ……死柄木弔、黄金化している此処を限界まで収縮して私諸共押し潰す、大丈夫だ……君だけじゃない私も無事じゃ済まない、君のその『崩壊』と私の『黄金』は拮抗している……だから……文字通りどちらが先に折れるか、最後の勝負だ」

 

 天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)で死柄木弔へと抱きついて一気に収縮させて完全に密着させる。

 アウルムの手が死柄木弔の割れた身体に突き刺さり、死柄木弔のその手がアウルムの首へと触れる。

 自身を『黄金』と化しているアウルムは決して壊れはしないが痛みはしっかりと感じる。

 崩壊による痛みのみがアウルムの肉体を、精神をドス黒く蝕みガシガシと削り取っていく。

 死柄木弔の『崩壊』によりアウルムの脳が肉体に命じ続けている、これ以上は危険だと、これ以上先は無いと、痛みに打ち震える身体が告げる、意識を飛ばせと、断続的に襲いかかる激痛が無限に止まない警鐘を鳴らし続ける。

 しかし(・・・)、その全てを些事と、脳から送られる命令を瑣末事だと無理矢理に捩じ伏せてアウルムは死柄木弔の罅割れた肉体へとその手を刺し込んで死柄木弔の全身を黄金化させる為にただ全霊を懸ける。

 赫奕と極めた黄金を、触れるモノ全てを黄金と変えるその手を以て。

 

「言ったでしょ⁉︎ クソゲーだって‼︎ 私の身がどうなろうと知った事か‼︎」

 

 アウルム自身、肉体全てを黄金と化している為に口から流れ出る大量の血と思しき黄金の液体を吐くがそんなのを気にする余裕もなく眼前の死柄木弔へと叫ぶ。

 内から黄金化が侵蝕している為に黄金の侵蝕速度は速いが眼前の死柄木弔もただ無為に指を咥えて待っている訳ではない。

 黄金化されても問題ない様に身体機能を拡張し換装し、自身が有する大量の個性を総動員し黄金化への対処と眼前の相手に『痛み』を与える手段を増やしてアウルムを先に圧し折ろうとしてくる。

 精神(こころ)が折れれば肉体は機能しなくなる。

 故に死柄木弔はやり方を変える。

 肉体に『痛み』を送り続けるのと同時に『精神(こころ)』にも痛みを与えて圧し折る。

 

 そう、例えば『最愛の恋人』の事を守りきれず無惨にも肉片一つ残らずに死ぬ幻覚や『最愛の恋人』から告げられる罵倒や『最愛の両親』がもう一度死ぬ幻覚など、特に精神(こころ)が摩耗する幻覚を『個性』をフル活用し、総動員し数万の幻覚を、一気に見せる。

 一瞬、ほんの、刹那の一瞬、涅槃寂静の如き一瞬、アウルムの動きが止まったのを見て死柄木弔は笑みを浮かべるが赫奕と黄金に包まれるアウルムの地獄の底よりも冷たい、とてもとても小さな声音が死柄木弔の耳朶をとてもとても大きく打った。

 

「お前……よりにもよって……火に油を注いだな? お前が私の精神(こころ)を圧し折らんとみせた幻覚は、愛しの焦凍(それ)は……私を産んでくれた両親の笑顔は……決して消えることがない私の宝物だ……決して壊れない黄金に煌めく宝物だ、燦然と煌めく……黄金色に輝く私の心の宝だ……それを……人の宝物を穢してんじゃあねぇよ‼︎ 人の精神(こころ)の中に平然と土足で入り込んで来てんじゃあねえぞォォォォ‼︎ 死柄木弔ァァァァァァ‼︎」

 

 アウルムの絶叫に、アウルムの魂の叫びに呼応するかの様に死柄木弔に突き刺さっているアウルムの手が更に深く捻じ込まれる、一瞬ほんの僅かに停まった侵蝕が更に速度を上げて再開されて遂には下半身の全て、腰から下全てが黄金に侵蝕される。

 

 死柄木弔は更に速度を上げた黄金の侵蝕に対応しながら眼前の相手の理解不能な現象を理解しようと総動員する。

 アウルムは絶え間なく続く『崩壊』により激痛にその身を預けているはず、崩壊しそうな精神(こころ)を更に抉り痛みを与えて押し潰そうとしたはず。

 黄金と化した下半身を切り離して超再生で再構築して黄金化から逃れると体内を更に拡張、換装して対処する。

 

 互いに『個性』を総動員させながら死柄木弔もアウルム・ミダスティアも感じていた、この勝負、あと数分で決着が着くと。




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