【完結】黄金郷のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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狙撃

 1万5千フィートの上空から身体中から血を撒き散らしながら堕ちていくアウルム。

 数秒間気絶していたが意識を取り戻して自身の現況を確認し天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)を展開して落下している自身と大量のガンケースをそのまま牽引して時速750kmの速度を出して他戦域の場所へと向かう。

 

 死柄木弔は身体の細胞を一つ残らず黄金化させており黄金化の解除をしなければもう一切動く事はなく、また個性も使用できない。

 アウルムの主な勝因は3つ。

 黒霧を秘密裏に移送した病院を襲撃されており黒霧によるワープゲートが開かれる前に死柄木弔を黄金ができた事。

 オール・フォー・ワンが『泥ワープ』の範囲内に近づく前に黄金化出来た事。

 そして最後の要因は……精神(こころ)を揺さぶられた事による激怒……人間、触れられたく無いモノに触れられた時の怒りは凄まじいモノがある。

 その為に雄英高校に残っているプロヒーロー達に任せて無線を繋いで告げる。

 

「アウルム・ミダスティア……死柄木弔捕縛任務完了、これより……他戦線へと向かい援護を行……? Oh……」

 

 天空舞う黄金郷への道(エルドラド・ロード)を展開した直後に黄金操作が覚束なくなりどんどん失速していきあらぬ方向へと墜落する。

 墜落する瞬間に黄金を自身を囲む様にして完全なる球体で囲った為に衝撃を受ける事なく地面へと墜落するアウルム。

 仰向けになりながら呟く

 

「流石に死柄木弔の『崩壊』を喰らって無事でいるのは無理でしたか……動きませんね、身体……」

 

 そうは言いつつも痛む身体を無理やりに、鞭打って上体を起こす。

 その刹那、ノイズ混じりではあるが通信が入ってきた。

 

『黒霧‼︎ ワープゲート解放……オール・フォー・ワンの居場所にトガヒミコ襲来』

 

 それを聞いたアウルムは黄金で創られた馬に乗ったコンキスタドールを作り出して命令を付与する。

 即ち、最高速度でオール・フォー・ワンの場所へと連れて行けと。

 

 それを忠実に熟す思考可能型自動戦闘人形(コンキスタドール)は空中に黄金を形成し自身の主人とガンケースを纏めて持ち上げると280km/hの速度で天空を爆走して行った。

 

 そうして20分後。

 オール・フォー・ワンの居る場所へと到着し4km離れた場所で空中に形成した黄金に降ろされるアウルム、痛みが多少マシにはなった身体でガンケースからマクミランTAC-50を取り出して匍匐状態でマクミランTAC-50を操作して対象へと銃口を向ける。

 

 戦況を凄まじい勢いで掻き乱しているトゥワイスに変身したトガヒミコ。

 今真っ先に狙い撃たなければならないのはそちらだ。

 マクミランTAC-50の操作を行い黄金を弾薬として装填しレティクルを覗く。

 凄まじい暴風が荒れ狂い豪雨により普通の狙撃ならば湿度や風、果ては雨の影響すら受けるのだろう。

 だがしかし、黄金と化したマクミランTAC-50と、それから撃発される弾丸は、一切の影響を受けない。

 ただただ真っ直ぐに飛ぶのみである。

 周囲に護衛としてコンキスタドールとワッケーロを創造した後に全ての意識を狙撃に集中して撃ち込む。

 トゥワイスの分身体の身体が着弾と同時に弾け飛び黄金化が始まる。

 黄金操作を行いトゥワイスに変身したトガヒミコ及び倍々で増えているトゥワイスの分裂体を黄金の彫像へと変える為に。

 

 しかし、黄金操作は出来てもこれ以上は身体が動かない。

 数万回は死んでてもおかしくない程の『崩壊』に晒されて肉体の限界が来ていた。

 ここまで動けたのが奇跡。

 しかし、まだ全然足りない、マクミランTAC-50を操作を行い排莢して次弾を装填し次はオール・フォー・ワンへと撃ち込まなければいけない。

 常闇踏陰が押し留めている内に、爆豪勝己が抑えている内に、緑谷出久が押し留めている内に、黄金化させなければならない。

 

 震えて痙攣し続ける手でマクミランTAC-50を構えようとするが動かない。

 そして……護衛としてつけていたワッケーロとコンキスタドールが敵性反応を感知して対応しようとするが止まる。

 他ならぬアウルムが止めた、そこに居たのは……。

 

「マクミランTAC-50か、良い銃だ……手入れもしっかりなされていて、狙撃に関しては私の方が一日の長があるんだろう? それはどれだけ訓練を重ねても埋まりようが無い大きな差だよ、積んできた経験と実戦と修練の差だ……アウルム・ミダスティアが私に追いつく事は一生ない、だから指示を飛ばせ、お前は観測手(スポッター)としての役目を果たせ、私が狙撃を行う」

 

 ボロボロの、もはや衣服とは呼べない布切れを纏って何とか局部を隠しているレディ・ナガンであった。

 弾丸としても使える髪がボロボロで傷みきっており、もはや弾丸などに使えない事は一目で分かった。

 アウルムは血反吐を吐きながら問いかける。

 

「レディ・ナガン……何故? 失礼ですが私は貴女が逃げ続けるとばかり思ってました、ましてやこんな場所には来ないだろうと」

 

「あの後……各地を逃げ回ったよ……名も無い離島にだって逃げ込んだが……それでも追っ手が来て……世界から狙われた、もう疲れたんだよ逃げ回るのは、とすればその元凶を討つ手伝いくらいするさ」

 

 レディ・ナガンがマクミランTAC-50を操作してアウルムが黄金を弾薬と形成して装填する。

 マクミランTAC-50を構えるナガンにアウルムは告げる。

 

「距離4185m、その銃は撃てば放たれた弾丸は風や重力や湿度などの影響を受けずにただ真っ直ぐに飛びます……オール・フォー・ワンの身体のどこでも良いので着弾させてください」

 

 その言葉に対してナガンは言葉を返す。

 

「あんだけ高速で移動してる奴を……あんだけ個性ぶちかましてる奴を狙い撃てって? それこそ無理難題だな……ま、だけれど狙撃に関しては一家言あるんだ」

 

 マクミランTAC-50を構え、息を殺して、全神経を狙撃にのみ集中させてナガンは待った。

 必ず訪れるワンチャンスを、刹那の一瞬よりも短いワンチャンスを、2撃目はない、この初弾が最初で最後のチャンス……それを待ち続けてナガンはマクミランTAC-50のスコープを覗く。

 ナガンは世界が止まったかの様に錯覚する程の集中を見せて、訪れたワンチャンスを見逃さずに引き金を引いた。

 短い発砲音が響き渡り、オール・フォー・ワンの右脚へ着弾しオール・フォー・ワンの右脚を、膝から先を吹き飛ばす。

 

 レディ・ナガンは言葉通りに狙撃を成功させた。そして……ここからはアウルムが継がなければならない。

 もう次の機会は無い。

 ここで失敗すれば『次』は無い。

 

 だから、必ずオール・フォー・ワンを黄金化させて封じる。




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