アウルムは
廃工場に目的のソレは居た。
愉悦の表情を浮かべ自身の個性の範囲内に来るように無言で指し示しながら言の葉を語る。
「来たか、アウルム・ミダスティア……俺は逮捕されてからお前が嫌がる事をずっっっっっっっと考えていた‼︎ そうして刑期満了でシャバに出て……お前の娘が1人で誰も居ない公園に居るのをみて心底神に感謝したよ……俺は……アッ……ガァァァァァァァ‼︎ あ……脚が‼︎ な……何故私の声を聴いてるのに‼︎ 何故‼︎ ……ッ‼︎ お前‼︎ その耳から流れ出ている血‼︎ まさか自分で自分の鼓膜を‼︎」
「言いたい事はそれだけか? ならもう喋らなくて良いぞ? 記憶だけよこせ」
読唇術で相手の発語を読み取って関係が無いと断定したアウルムの表情は氷の様に冷たく……マグマの様に熱く溶けそうな殺意を抑えきれない程に憎しみが籠っていた。
氷の様に冷たくマグマの様に熱い殺意を込めた眼で眼前の
左脚を撃ち抜かれて痛みに悶える『コントラクト』の右胸をその手に持ったSIG SAUER M17で躊躇う事なく撃ち抜き黄金の彫像と変えて全ての記憶を読み取る。
破れた鼓膜を黄金化させて即時再生させると焦凍へと電話を掛けて告げる。
「壊理は黒のワンボックスに乗せられていた、ナンバープレートは……」
詳細に伝えた後に警察へと連絡Nシステムの使用許諾を求めて即時許可を貰う。
既に優秀なウチのスタッフ達がアウルムヒーロー事務所及びショートヒーロー事務所は本案件を誘拐事案として処理し警察や他ヒーローへと通達、協力体制を求めていたが故にここまで迅速な許可が降りた。
既に県境まで行かれているが問題ない、この程度の範囲ならば……。
即座に
事務所へと照合確認をしてもらい2秒後、照合完了し確実に犯人の車だと確認が取れた為に既に展開して誘拐犯の1人を捕縛しようとしている爆豪勝己とデクが耳に着けているインカムに割り込む形で告げる。
「犯人は今君達が追っている黒のワンボックスに乗っている……しかし生体反応が運転席以外には感じられない……2人とも、犯人を足止めする時に気絶はさせるな、起こすのが面倒だ……何よりそのクズには問いただす事がある」
2人の肯定の言の葉を聴いて即座に下降すると既に犯人を捕らえていた爆豪勝己と緑谷出久に礼を告げてなおも逃走しようとしている犯人の脚を黄金化させて逃げられない様にする。
そして男の首を掴み雑に引き摺ると車のドアへと男の身体を叩きつけてSIG SAUER M17をホルスターから引き抜いてセーフティを外すと躊躇う事なく男の顎に銃口を当てて殺意を込めて語る。
「……一緒に乗せていた女の子は……私の……私達の大事な娘は何処だ? 実に勿体無いが3秒間をお前の為にくれてやる、まだ明日の朝日を拝みたいだろう? 答えなければどうなるか? 分からない程馬鹿じゃないだろう? とっとと答えろ‼︎ 死にたくなければな‼︎」
凄まじい鬼気を放ちながら……余裕がないのか焦りを見せつつそう怒鳴るアウルム。
鬼気迫る表情で問い詰めるアウルムに対して諦めが混じった様な口調で、しかし馬鹿にした様な口調で口を開く。
「ハッ……もうオメェの娘はパリにある本拠地にワープさせられた、今はオークションの為の準備をされてる頃だろうさ、ハッ哀れだな‼︎ お前は娘1人助けられずに……ガッ⁉︎」
その男の言葉は最後まで続く事はなかった。
車のドアが破砕する程の威力で叩きつけられて気絶した為に……。
黄金化した際に読み取った情報を照らし合わせて虚偽ではない事を確認すると気絶している男を爆豪勝己へと投げ渡すが爆豪勝己は苛立ちながら叫ぶ。
「なんで俺に渡すんだよ……テメェが捕まえとけよ黄金女ァ‼︎」
その言葉を聞くや否やアウルムは殺意を抑えきれない表情で気絶した男を睨みつけながら爆豪勝己へと告げる。
「私が捕縛してると絶対殺してしまうからだよ、今も必死になって抑えてる……そいつをどうやって惨たらしく殺してやろうかって気持ちを……ヒーローにあるまじき発言だと軽蔑するか? ……良いさそれでも……だが君達も知ってるだろう? レーベティラスに攫われた対象は72時間以内に救出しないといけない、あとたったの65時間を切っている、余裕がない……今は一分一秒が惜しいんだよ」
そう2人に告げるとインカムに入った通信を聴いて表情を曇らせるアウルム。
了解、そう短く返してインカムを外すよう爆豪勝己と緑谷出久にハンドサインで告げる。
その意図を読み取った2人はインカムを外して語りかけてくる。
「……何があった? 黄金女……」
「アウルムさん、何か進展が?」
「とりあえず……良いニュースと悪いニュースが入った、良いニュースからいこう……壊理の居場所が完璧に判明した、監禁場所や
そこで一旦言葉を切るアウルム。
「悪いニュースは……壊理の誘拐に、いいや……レーベティラスという組織にプロヒーローが一枚噛んでる……しかも複数、国籍や人種や性別、果ては扱う個性すら戦闘向き非戦闘向きとバラバラだが……最低でも100人は取り込まれてる、ある者は提示された報酬の誘惑に、ある者は自身の欲望に負けて、ある者は私と焦凍に対する嫉みから……だから、今この瞬間から、信用できる者は私と焦凍とチームアップをしている貴方達と1-Aのクラスメイト、それに心操人使とラブラバだけです……以降の通信は全て暗号化された秘匿回線で繋がっているこのインカムで行います」
そう告げて元々着けていたインカムを外す様に無言で告げて2人から渡されたインカムと自身のインカムを踏み砕いて完全に壊すと別のインカムを2人に渡す。
プロヒーローが一枚噛んでるとなればHNは使えない。
こちらの動きが広く知られてしまう。
故に……1-Aのクラスメイト達とラブラバ、それに心操人使を加えた、たった22人でヒュドラの如き巨大な不死の化け物となっている闇組織を今度こそ壊滅させなければならない。
残り・63時間と17分24秒。