10数時間後、あらゆる情報を集める為にアウルム達はレーベティラスに囚われている壊理救出の為の詳細な動きを決める為に秘密裏に動いていた。
そして、残り50時間を切った。
窓ガラスが割れて散乱し薄汚れた廃工場の一室でアウルムは集まってもらったクラスメイト達に語る。
「さて……こんな場所に集まってもらって申し訳ない、レーベティラスにはその傘下となっているプロヒーローが多数います、ここに居る貴方達は私が知る限り最も誠実で優秀と思えるヒーロー達で、私が全幅の信頼を寄せる友人で、雄英で共に切磋琢磨して同じ道を志し、そしてプロヒーローとなった21人です…… 疑う訳ではないですが一通り身辺調査はさせてもらいました……万全の身辺調査は叶いませんでしたがこの中に内通者は絶対に居ないと信じています……手元にある資料を見ての通り、およそ20時間前、私と焦凍の娘、轟壊理が拉致されました……拉致を行った者は過去に私と焦凍、爆豪と緑谷でチームアップしてその商売ルートから関連組織、そして大元となる組織そのもの、それらの全てを完膚なきまでに叩き潰し、根絶した筈の人身売買組織『レーベティラス』です」
レーベティラス、その言葉を聴いて歯噛みする緑谷と爆豪。
私や焦凍も緑谷も爆豪も鮮明に覚えている、救えなかった被害者達を、今も見つからずに居る被害者達を、今も必死になって攫われた娘を探し続けている家族達全員を。
それを見て話しを続けるアウルム。
アウルムは床に膝をついて、床に頭を擦り付けて、土下座をして友人達へ頼み込む。
「調査の結果……『コントラクト』は刑務所内で『レーベティラス』の一員と親しく関わる様になってよく話しをしていたと……今度こそ、完全に……『レーベティラス』を根絶します、しかしながら……現在位置も完璧に特定できた、
土下座をして、涙を流しながらそう頼み込むアウルム。
「頭を上げて下さい……貴女は何も悪くないですわ……壊理さんは雄英の寮で私達と一緒に過ごし……轟さん達の娘として引き取られましたが……私達の家族と言っても過言ではないですわ、私は家族を攫われて黙っている様な女ではないのです、必ず救い出しましょう」
八百万百がそう告げて、それを皮切りに口々に『力を貸す』と告げられる。
そうして皆と一緒に詳細を確認する。
「壊理の現在位置はフランスのパリ郊外の屋敷、壊理はそこでオークションにかけられる……あと48時間、諸々の準備や移動時間を含めると猶予は24時間を切ります……敵は全員軍隊に匹敵する程の装備で固めています、全員が高度な戦闘訓練を受けて人を殺す為の技術を鍛え上げた者達、そして傘下となっているプロヒーローが100人……そこに居る敵対勢力は少なく見積もってプロヒーロー達を除いて500人……まさに鉄壁です、しかしここしかない……確実に救い出せるチャンスはもうここしか……」
既にレーベティラスを知っている爆豪勝己と緑谷出久は2人とも今度こそ確実に組織の息の根を止めると言っており、普段表情を表に出さない焦凍も憤怒の表情を抑えきれずにいた。
レーベティラスの情報を知らなかった者達も詳細を纏めた資料を見て顔つきが変わる。
そして秘密裏に行動を開始した。
フランス・パリ郊外にある屋敷、そこの一室に壊理は監禁されていた。
華美なドレスを着せられているが四肢には逃走防止の手枷と足枷が厳重に装着されており……自分がどんな目に遭うのかは壊理には大体想像がつく。
女だからこその……そういう目に遭うのだろうと、永遠に……。
もうお母さんとお父さんの所には一生帰れないのだろうと。
最後に交わした会話を思い出しながら壊理は泣きながら呟く。
「……こんな事になるなら……あんな酷い事言わなければ良かったなぁ……最後に交わした言葉があんな言葉なんて……なんであんな……お母さんの事とても大好きなのに……ほんとつまらない事で……」
扉が開いて手枷と足枷が外されて数人の男達に乱雑に掴まれ引き摺られる、別の部屋へと無理矢理移動させられて敷かれたマットの上に突き飛ばされる。
そして何語かは分からないが男達が会話してドレスを破り壊理は殆ど裸に近い格好となる。
そして眼前の男達は下卑た視線で私を見て犯そうとしてきた。
手を掴まれて身動きが取れない、壊理は涙を流して、泣き叫ぶ。
「いやっ……いや、離して‼︎ 嫌ァァァァァァ‼︎」
その刹那、スタングレネードの爆音と閃光が響き渡り、それをモロに喰らった男達が感覚を取り戻す前に、数発の銃声が響き渡り今まさに自身の事を犯そうとして来た眼前の男や見張り役としてドアの近くに居た男達が全員倒れ伏す。
そして……2度と会えないだろうと思っていた人達が、2度と聞けないだろうと思っていた声が、聞こえてきた。
「私達の大事な娘に穢れた手で触れるな、言ってる意味が分からないか? 君達の言葉で話そう Ne touchez pas notre précieuse fille avec vos mains non bouclées‼︎」
そう叫びながら目にも止まらぬ速さでその手に持った銃で正確に眼前の男達を撃ち抜く母、即座に黄金の彫像へと変える。
そして部屋の安全を確認してから部屋へと入って来た母と八百万さん……装着したインカムへと母は叫んだ。
「パッケージ確保、クリエティ、何か着る物を……えぇよろしく……テンタコルとイヤホン=ジャックで周囲の警戒、デクとバクゴーで殲滅‼︎ ピンキーとレッドライオットは遊撃‼︎ ショート‼︎」
殆ど裸の状態だったが八百万さんが『創造』で作ってくれた衣服を着終わるとお父さんとお母さんが抱きついて来た。
お母さんは私以上に泣きながら私に告げてきた。
「……とても……心配したんだぞ……無事かい? 何もされてないかい?」
壊理は堪えていた涙を流し嗚咽混じりの声音で母に告げる。
「うん……うん……へいきだよ……大丈夫だよ」
お父さんも私以上に涙を流して無言で優しく私の頭を撫でていた。
八百万さんも私を優しくギュッと抱きしめてきた。
お父さんとお母さんと同じ様に大粒の涙を流し嗚咽混じりの声音で無事で良かったと何度も何度も何度も何度も繰り返していた。
護衛しつつ部屋の外へと出ようとした刹那、レーベティラスに魂を売り払ったプロヒーロー達が襲撃してきたが部屋に入ってくる瞬間に爆発が起きて吹き飛ばされる。
「テメェら‼︎ まだ任務は継続中だぞ‼︎ ぼさっとしてんな‼︎ 壊理……怪我ねぇか⁉︎ 何もされてねぇか⁉︎」
壊理は爆豪の言葉に対してコクリと頷く。
それを見た爆豪もボソリと『良かった』と呟く。
爆豪は私の無事を視認した後にインカムへと叫ぶ。
「パッケージ回収完了‼︎ 無傷だ‼︎ 主だった武闘派メンバーやプロヒーロー達は俺とデクがシバき倒した‼︎ 残るはザコだけだ‼︎ テメェら絶対逃すなよ‼︎」
その言葉に対してインカムから了解という応答が為されたのを確認した爆豪は母と父に向けて叫ぶ。
「おい黄金女と半分ヤロー‼︎ テメェらは間違っても掃討に参加するなよ⁉︎ テメェらの娘だ‼︎ しっかり見とけ‼︎」
そういうと爆豪さんは即座に移動して大爆発をぶちかまして殲滅を開始する。
そうして……レーベティラスは完全に壊滅した。
そして、しっかりと保護されて、日本に帰り……メンタルケアを1ヶ月間受けて……日常へと戻っていった。