老デウスの旅路~老デウスと龍神が人神を倒すまで~   作:考える僕

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再会

目覚めると隣には我が神がいた。

幼くあどけないとも見える寝顔で寝息をたてていた。

 

「ロキシー…」

 

目から自然と涙がこぼれて止まらなくなっていた、これは夢か幻か、願わくば現実であって欲しい。そうしていると神はお目覚めになられた。

 

「ん……ルディどうしたんですか?まだ早いですよ…おやすみなさい」

 

あぁ、寝ぼけている我が神を前にこれは現実なんだと、夢じゃないと俺はそう思った。

涙が止まったらロキシーを起こそう、そう思ってしばらく我が神の寝顔を見ていることにした。

 

ふと部屋を見渡す、よく見知った俺の部屋だ。だが、鏡を見た時驚いた…

あれ、俺の髪が…銀色…

確か俺の記憶だと、俺の髪の色は金髪っぽい茶髪だったはずだ。それが銀色になっている。

顔自体は俺の顔だが、なんというか全体的に違和感がある。そういえば龍神が多少見た目に変化があるとか言っていた気がするが…変化が多少じゃない!

 

だがこれでハッキリしたことがある、俺は龍神の転生術によって、開始時期に飛んだのだ。秘術をかけるために龍族の血を俺の体に流した結果こうなったのであろうから、確実だと思う。

 

そして何より、ロキシーが生きている。ということは俺の開始時期はまだ、皆が生きている時期に来るということだ。良かった、まだ皆を救える。

『ヒトガミ』を殺す、そして俺の家族を守り抜く、やってやろう。

 

そんな事を考えていると、何やら台所の方が騒がしくなり、ドタドタドタ、トントントンと廊下を誰かが走る音がした。そろそろ起きよう。

 

「ロキシー、朝ですよ、おはようございます」

 

俺が少し揺さぶると神は眠たそうな目を開けて体を起こした。

 

「ルディ……おはようございます……」

「っ、ルディ、どうしたんですかその髪!」

 

俺を見るや否やロキシーは驚いた声を上げた。

えっ、うそぉ…まさかの昨日までは普通だったのに、起きたら突然変わってたって感じなのか…

転生術について説明するか…いや、説明したところでよく分からんだろうし混乱するだけだ。

 

「髪がどうしたんですか…?」

「ルディの髪の色って確か茶髪だったじゃないですか…今は銀色になってます…」

「それとも私の目が…あ、ルディ…私の目おかしいですよね…」

「いえ、ロキシーの目はおかしくないです、俺も起きた時急に色が変わっていてビックリしました。」

「それじゃあ、染めた…訳でもないのですね…」

 

ロキシーが俺の髪を触りながら言う。

 

「不思議ですが…そういえばシルフィも前は髪の色が違かったとか言っていましたね…なにか共通点が…考えても仕方ありませんね」

「そうですねロキシー、とりあえず、着替えて朝食を取りに行きましょうか」

「えぇ、そうしましょう」

 

俺がリビングに降りるとそこにはシルフィとルーシーが居た。

 

「あっ、ルディ、ロキシーおはよう!って、ルディその髪どうしたの?!」

「えっと、朝起きたらこんなってて…」

「僕の髪も突然色変わっちゃったし、そういうこともあるのかなぁ…?」

「でも、その…銀髪のルディもかっこいいよ…」

 

そう言うとシルフィはエヘヘっと笑った。

そう、この笑顔、俺がまた見たいと願った笑顔だった。

俺は反射的にシルフィに抱きついた。

 

「わっ、ルディ、急にどうしたの?」

「シルフィ、可愛いよ」

「エヘヘ、ルディありがと…」

 

シルフィが言いかけて俺の背後の方を見る、俺も背後に視線を感じて振り向く。

ロキシーがジトーっとした目でこちらを見ていた。

 

「すいません、ロキシーも来てください」

「いえ、私は別に…」

 

遠慮しようとするロキシーを俺は抱き寄せて、シルフィとロキシーに抱きついた。

二人からすれば、今日の俺はおかしいと思われているだろう。

だけど俺にとっては辛い別れからの久しぶりの再会なのだ、許して欲しいね。

 

俺が二人に抱きついていると、誰かがリビングに入ってきた。

 

「おはようございますー!朝からお盛んなお兄ちゃんと奥様方

今日の朝食はだいたい、いつも通りでございます!」

 

アイシャだ。

最後に見た時よりも、かなり幼くなっている。俺が戻ってきたんだからそりゃそうか…

するとアイシャの後ろからもう一人入ってきた。

 

「アイシャ、朝食の内容くらいちゃんと説明しなさい!」

 

リーリャだ。

リーリャともなんだかんだで、久しぶりだ。

 

「えっと…今日の朝食は…なんだっけ…やばっ…」

 

アイシャはそう言ってリビングから逃げ出した、リーリャがコラッ!と追いかける。

アイシャさんや、ふざけるのはちゃんと覚えてからにしてくださいよ…

しばらくして、リーリャとアイシャが戻ってきた、アイシャが頭の上を抑えている。

可哀想に…ゲンコツでも貰ったのだろう。

 

「えっと…今日の朝食はヨコ豆とお芋のスープとパン、

そして栄養たっぷりの馬乳でございます…」

「よろしい、では少しお待ちください」

 

そう言ってリーリャは二階へと上がって行った。

しばらくしてリーリャに連れられ、ゼニスが降りてきた。

最後に見た時と変わらない、虚ろな目をしている…

 

全員が揃ったところで食事を開始する。

 

「いただきます!」

 

一つの大きなテーブルで集まって楽しく食事をとる。

こんな日がいつまでも続いて欲しい。

久しぶりの心暖まる暖かい食事を取れた、そう思う。

 

―――

 

幸せな再開の一時にすっかり忘れてしまっていたが、今はいつなんだろう?

今日は何の日?とシルフィに聞いてみたけれど、僕の日って返ってきた…

嬉しいけどそうじゃない…

俺の左手の「ザリフの義手」があると言うことはロキシーは教師になっている…

とりあえず、今日は学校らしいので俺も準備をする。

 

「いってきまーす」

 

妻二人を右と左に三人で学校へと向かう。

校門のところで二人と別れた。ロキシーは職員室、

シルフィはフィッツとなって護衛の仕事へ。

一人残った俺…さてどこへ行こうか…

とりあえず図書館で今後のことを考えよう。

 

―――

 

図書館の読書席、窓際の気持ちのいい席だ。

俺はその席に座り『世界の始まり』という子供の読むようなお伽話の本を持ってきた。

お伽話だが、意外にも龍神の言っていた事と合致する点がある。

随分前にどこかで読んだ時はお伽話だろうで済ませていたが、龍神の話を思い出す限り、意外にもこの本は事実を書いているように思う。

 

『ヒトガミ』を殺す…目標は決まっているが、そのために何をすればいいのか全く分からない…

今後を考えるのは良い事だと思うが、全くもって進まないのでは意味が無い…

とりあえず目標を決めよう…

 

俺の知っているこの世界の物知りと言えば、ルイジェルド、バーディガーディ、ペルギウス…

そんなところか、ルイジェルドに関しては何処にいるか分からないし、

バーディガーディもルイジェルドと会ってからどこかに消えてしまったし…

結局残ったのはペルギウスだが、あいにく、今がいつだか分からないため、

まだ空中城塞に行ったことがない時期かもしれない…ナナホシに頼んでみるか…

 

そんな事を考えているとザノバと息の上がりきったクリフ先輩がこちらに向かってきた。

普段二人とも図書館に来ることなんて滅多にないのに、

本を読みに来たのだろうか?

 

「師匠ー!探しましたぞー!」

 

どうやら違うようだ。

 

「おい、ルーデウス…ナナホシ…との約束すっぽかして何を…してるかと思えば…

呑気に読書だと…おい、あと…その髪はどうした…」

 

余程走ったのかクリフ先輩は息絶え絶え、言葉も絶え絶えだ。

約束?やばい、分からない…

 

「今日はナナホシ殿がなさっている召喚の研究の大事な実験をすると、

一昨日お話になられたではありませんか…」

「まさかお忘れだったのですか…?」

 

ザノバが、じっと俺を見てくる、大事な実験…

もしかしてスイカのやつだろうか、確かその後お礼にって言う話でペルギウスのところに連れて行ってもらったから、ナイスタイミングと言うべきだろう。

 

「すみません、つい読書に夢中になってしまいまして…今行きます!」

 

俺とザノバは全力疾走を開始した、クリフ先輩ごめんなさい…

 

―――

 

ナナホシの研究室、そこに行った時、めちゃくちゃ不機嫌なナナホシが居た。

朝から張り切って待っていたらしい、今は…昼ちょっと前、そりゃキレるよね。

 

「ルーデウス…随分と遅かったけど、何をしてたのかしら?髪まで染めて…」

 

やばい、めっちゃ怒ってる…

 

「すみませんでしたー!」

 

謝るのが一番!

 

「謝罪じゃなくて、私は何をしてたかって聞いてるの、約束をすっぽかして何してたわけ?」

「えっと…図書館で読書を…少々…」

「少々ね…まあ良いわ、今日はこれを試すわ」

 

俺の目の前には石版みたいな紙の集合体、これは間違いない、スイカのやつだ。

 

「じゃあ始めてちょうだい」

 

ナナホシの合図で魔法陣に魔力を流し始める。

相変わらず凄い勢いで吸われていく、

そして魔力の吸い込みがピタッと止まった時。

ゴトン

という音がした、魔法陣の上、黒と緑色の球体、スイカだ。

 

「やっっったぁ!」

 

ナナホシが嬉しそうにスイカを抱きしめる…スイカを…

 

「なんか不吉そうな色をしているな…大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ、これは野菜の一種です」

 

スイカは果物じゃない、そんな前世の豆知識がここで役立つとは…

 

―――

 

その日の夜は飯屋で宴会をやった。

参加者は俺、ナナホシ、クリフ先輩、ザノバ、シルフィ、ロキシー、ノルン、エリナリーゼ。

俺の身内が半数、ナナホシのお祝いなのに変な感じだか、それはそれだ。

ナナホシが飲みまくりエリナリーゼに愚痴をこぼし、ロキシーとザノバ、クリフが難しい話を初め、俺とシルフィがイチャイチャしていたら、ノルンが来た。

 

「ノルン少し居心地が悪かったか…?ごめんな」

「いえ、兄さん楽しいです!一つお話がありまして…」

「なんだい?」

「私、生徒会に入ろうと思うんです」

 

あ、これは知ってるぞ、俺が色々と心配して困らせたやつだ。

前の記憶だと、ノルンはちゃんとやれてたし、OKを出してやろう。

 

「ノルン、今やっていることも、ちゃんと続けられるか?」

「はい、できます!」

「よろしい、ならば許可しよう、精一杯頑張れよ!」

「はい!ありがとうございます兄様!」

 

ノルンの顔がぱあぁと明るくなった。よしよし。

 

宴会も終わりに近づいた頃、ナナホシがこちらに来た。

飲みすぎだ、足元がフラフラして、目も虚ろだ。

 

「あの…まず解毒かけてもらっていいかしら…」

 

はいはいという感じで解毒をかけた。

 

「ありがとう、えっとその、見返りの話なんだけど…」

「あなた少し前に召喚について知りたいって言ってたじゃない?」

「私が教えるよりも、私に召喚について教えてくれた方に聞いた方がいいと思うの」

「だから、見返りはその人にあなたを紹介するってことでいい?」

「その人って、まさか空飛ぶお城に住んでたりするか?」

「えっ、なんで知ってんの!?」

 

図星か、やはりペルギウスのようだ。

 

「いえ、図書館で召喚について調べていたらその方の名前があったので、もしかしたらと思って」

「ふーん…まぁそういうこともあるのかしら…」

「とにかく、それで良いかしら?」

「ええ、それでお願いします」

 

そんな話をしていると、ザノバとクリフも興味があると言い出して、結局行くことになった。

 

「ねえ、僕も行ってみたいんだけど…」

 

そう言ったのはシルフィだ、確か前回はルーク、アリエルも一緒に行った気がする。

結局、ペルギウスを説得できずに強行して…その話は置いておこう。

 

「まあ、あなたにも世話になったし良いわよ」

「やったあー!」

「あの…アリエル様も言っちゃダメかな…?」

「その、ペルギウス様ってアスラを離れてから結構たっちゃうけど、

それでも、国内での発言力があるんだって、だから…その、今後を考えるとね…」

「アリエル…まぁ、いいわ、連れてきても」

「ありがとう、アリエル様よろこぶぞ!」

 

―――

 

後日俺達は徒歩で、シャーリア北に半日ほどのところに来た。

そこは崩れた遺跡みたいな所で、なんというか古代ギリシャみたいな感じだった。

メンバーは、

俺、ナナホシ、シルフィ、ロキシー、アリエル、ルーク、ザノバ、クリフ、エリナリーゼ

前回と変わらないメンバーだ。

 

「ルーデウス様お久しぶりです。少し見ない間に、

シルフィから聞いていましたが、髪の色がお変わりになりましたね、素敵です

よ。」

 

カリスマ性溢れる声で喋る、それがアスラ王国第二王女アリエル・アネモイ・アスラだ。

 

「ありがとうございます。アリエル様も相変わらず麗しいですよ」

「うふふふ、嬉しいですがそういう言葉は妻にかけてあげてください」

 

見ると後ろでシルフィとロキシーがむくれていた。ごめんよマイスウィートハニー…

そんな感じで遠足気分で歩いていると、ナナホシが足を止めた。

 

「着いたわ」

 

そこは移籍の真ん中、そこにぼんやりと光る石碑がひとつあった。

七大列強の石碑だ。

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