老デウスの旅路~老デウスと龍神が人神を倒すまで~   作:考える僕

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空中城塞

『七大列強の石碑』

 

かつて、技神によって作られたとされており、世界各地にこうした石碑はある。

俺も前回列強二位の『龍神』に殺されかけたことがあるが、

歴戦のルイジェルドを完封してしまう、まさに人智を超えた化け物である。

できれば二度と会いたくない。

そういえば、俺に転生術とやらをかけた奴も龍神と名乗っていたな…

それにオルステッドの父ということは、龍神は襲名するものなのだろうか?

うーん…

会いたくないが、そのうち会ってみた方がいいのだろうか…

考えておこう。

 

とりあえず俺が今日ペルギウスに聞くのは、

・『世界の始まり』という本の作者

・龍族の秘術

・オルステッドについて

この三つだ。

 

今後について考えた時、まずは過去を知る者を探して聞くのが良いだろう、

そのために、『世界の始まり』の作者を探してみようと思う。

次に龍族の秘術についてだが、教えてくれるかは分からない…

企業秘密という可能性もあるのだ、確かぺルギウスは龍族だったから、何か知っているだろう。

そのまま転生術についても聞ければ嬉しい。

そして、オルステッドに関してだが、一度会ってみようと思う。

前回会った時は殺されかけたが、今回は最悪殺されても転生術がある。

そう思うと自然と死というものに対する恐怖は薄れる。

確かオルステッドにも同じような秘術がかけられているそうだし、聞く価値がある。

でも、怖いな…

さて、遺跡の真ん中でナナホシが笛みたいな物を取り出して吹いた。

ホイッスルみたいな形をしているが、フスゥというだけで音はならない。

 

「これで行けるのか…?」

 

とクリフ先輩。確かに俺も最初はそう思ったが、まあ見ててくださいよ!

 

「呼んだからしばらく待つわよ」

「呼んだ?どういうことだ?何も聞こえなかったぞ…」

「呼んだは呼んだのよ、見れば分かるからしばらく待ってなさい」

 

七星はそう言うとそこら辺の瓦礫に腰をかけた。

俺の記憶だと瞬間移動する精霊が来るはずだ…えっと確か名前は…瞬間移動するから…

瞬間のアルマンフィ!

遠くで何かが光った。

 

「光輝のアルマンフィ。参上」

 

あ、絶妙に違いました…ごめんなさい。

黄色の狐を模した仮面を被った少年…仮面の下絶対イケメンだろう…オーラがあるもん。

 

彼は俺たちを見るとナナホシに話しかけた。

 

「随分と多いな」

「12人までは大丈夫って言ったじゃない?」

「人数は問題ない、だが魔族はダメだ」

 

ロキシーがあっけに取られた顔ををしている。えっ、なんでって感じだ。

よく考えてみれば、前回もそうだったじゃないか…

すっかり忘れてしまっていた、ロキシーごめんよ、ここまで連れてきたのに…

 

「なんとかならないの?」

「ペルギウス様は寛大なお方だが、魔族はお嫌いだ」

「いえ、そういうことなら私は大丈夫です。家に帰って留守番をしています。

皆さん私は気にせず楽しんできてください」

 

彼女は行けないと分かるとすぐにそう言ったが、残念そうだ…

うう…ロキシー本当にごめんよ…俺が覚えていれば…

俺はロキシーをギュッと抱きしめた。

 

「ロキシーごめんなさい、お土産を持って帰りますから…」

「ルディお土産なんて大丈夫ですよ、帰ってきた時にまたこうしてくれれば大丈夫

です」

「元々私もペルギウス様と聞いてから多少覚悟はしてましたから」

「シルフィ、ルディ、家のことは私に任せて楽しんできてください!」

 

そういうとロキシーは自信たっぷりに胸を張った。

 

「ごめんねロキシー、僕とルディだけなんて…」

「いえいえ、たまにはお二人で行ってきてください」

「ありがとう、じゃあお言葉に甘えるね!」

 

二人がこういうやり取りをしているのを見ると自然と心が和む、

うん、二人の仲が良いいのはいいことだ。

 

「済んだか?」

 

おっと、アルマンフィさんすみません…

 

「これを持て」

 

俺は見覚えのある金属の棒を受け取った。

他の面々にも同じものを渡している。

ワープ装置、今考えても凄いものだ。

 

「む、我があるじが呼んでいる…しばし待て」

 

そういうとアルマンフィはピカッと光って消えた。

 

―――

 

少ししてアルマンフィは戻ってきた。

戻ってきたアルマンフィは俺を見て

 

「おい、そこの銀髪のお前。主がお呼びだ」

「ナナホシ。悪いがもうしばらく待ってもらうぞ」

「ええ、私は構わないけど…ルーデウスがどうかしたの…?」

「まだ教えられない。確定では無いからな」

 

えっ、怖い…

俺一人だけお呼び出しって、前回はこんなのなかったぞ…

まさか行ったら殺されちゃうとかないよな…

 

「お前。何やら心配そうな顔をしているが別に悪い話じゃない」

「むしろ。主は嬉しそうにしていたぞ」

 

嬉しそうって…逆に怖いんですけど…

まあ、悪い話じゃないって言うなら行ってみるか…

 

「皆さんすみません、少し行ってきます」

「ルディ大丈夫?なんだよね…」

「ペルギウス様は騙し討ちみたいなことはするような方じゃないから大丈夫よ」

「でも……」

「シルフィ俺は大丈夫ですよ、聞いた感じ少しお話をする程度だそうです」

「うん…」

「じゃあそういう事なので行ってきます」

 

俺を心配してくれるシルフィ嬉しいな…

いかん、俺は妻に心配してもらって喜ぶような男ではないぞ、断じて…

 

「持ったな。少し待て」

 

そういうとアルマンフィはまた消えた。

そして少しして、俺の意識は棒の中に吸い込まれた。

 

―――

 

気づくと俺は地面に立っていた。

床には巨大な魔法陣がある、前回も何回か訪れた見覚えのある場所だ。

とりあえず、召喚されていきなりグサリとかはないようだ、だがまだ安心はできない。

『空中城塞ケィオスブレーカー』

前回来た時と何も変わらない。

広がる雲海の上、そこに建つ巨大な城。

夕日を見たら綺麗だろうな…

前回と違うところと言えば、案内役がシルヴァリルではなく、アルマンフィというくらいか。

 

「急ぐぞ。主はもうお待ちだ」

 

俺はアルマンフィに着いていくと、着いたのは謁見の間ではなく庭園だった。

庭園の一角、茶会ができるような椅子とテーブルのある所に彼は居た。

銀髪、オルステッドに似た顔、そして王者の風格…ペルギウスだ。

 

「よく来たな。我が『甲龍王』ペルギウス・ドーラだ」

 

あれ、前回初めて合った時は威圧感みたいなものがあったが、今回はない。

むしろ古くから知った友と再会を喜ぶ感じだ。おかしいな初対面のはずのに…

 

「初めまして、ルーデウス・グレイラットと申します」

 

俺いつも通り貴族式の礼をする。

 

「堅苦しい挨拶は良い、少しが話したい、そこに掛けよ」

 

俺は言われるまま椅子に座る、目の前にはぺルギウスが居る。

一対一だなんて…緊張する。

シルヴァリルがお茶と茶菓子を持ってきてくれた。

しばらく沈黙の時間が流れる…気まずい…

先に口を開いたのはペルギウスだった。

 

「ルーデウス・グレイラットよ、貴様の一族に龍がいたという伝承などはあるか?」

伝承…?うちに特にそういうのはなかったと思うな…

あ、でもパウロの実家なら有り得るかもしれない…あとは教えてくれてないだけか…

まあ知らないし…

 

「いえ、特には」

「そうか…だが貴様から龍族の気配を感じる。

多少なりとも龍族の血が流れているはずだ」

「貴様、出身はどこだ?」

「アスラ王国のフィットア領です」

「アスラのフィットアか…あの辺に龍族はいなかったはずだが…まぁいい」

「多少とはいえ龍族は皆同胞だ、この城への出入りを許可しよう」

「ありがとうございます」

 

正確には俺は龍族ではないのだが、まあ龍神様の血が混じっているのだし、

有効的に活用しよう。

 

「ペルギウス様いくつかお聞きしても宜しいでしょうか?」

「良かろう、探究心は龍族に共通するものだ。我の知ることであれば答えよう」

「では、この本の作者はご存知でしょうか?」

 

俺はそう言って『世界の始まり』を取り出してペルギウスにみせた。

 

「懐かしい本だな…これは我が世に出した物だ」

「では、作者はペルギウス様ということで宜しいでしょうか?」

「いや、世に出したのは我だが、作者は我では無い、作者は今は封印されている」

 

そう言うとペルギウスは渋い顔をした。

 

「その本の作者は『魔神』ラプラスだ」

 

え…ラプラスと言えばペルギウスが生涯の敵としているやつじゃないか…

そんな奴の創作物をなぜペルギウスが世に出したのか、理解ができない…

 

「えっと…ラプラスというのはペルギウス様の敵では…?」

「うむ、確かに貴様の言う通りだ、だが奴の作った物は我も評価している、

特に奴の残した書物は面白い、それに龍族としては都合のいいものだったからな」

「これは戦後処理でラプラスの隠れ家で見つけたものの一つだ。主に龍神に関して

書かれていたはずだが…時代が流れればこんなものか…

誰が書き換えたかは知らぬが、我の知る物とは内容が大きく違う」

「では、元の物とは内容が違うということですか…」

「うむ、確か龍神を悲劇の主人公にしたものだったと覚えている」

 

ということは、仮に封印から目覚めたラプラスに聞いても意味が無いということか…

噂とか伝説とかの類は、時間を重ねるにつれて少しづつ変わってしまうものだ、

しょうがないだろう。だが、世界を滅ぼす悪の龍神と悲劇の主人公龍神…

全くもって正反対だ。

実際に会った俺としては悲劇の主人公龍神を信じたいところだが、ここまでし違うとなあ…

まあ、裏で何があったにしても、滅ぼされた側からすれば龍神は悪だ…

ルイジェルドの呪いほど上手くは行かないだろうが、

少しづつ龍族のイメージもアップさせて行こう。

 

「ラプラスの書いた原本が確か図書室にあったはずだ、

気になるのであれば後で貸し出してやる」

 

原本があるのか…情報収集が振り出しになってしまったし、読んでみるだけの価値はありそうだ。ありがたい。

 

「ありがとうございます。ではお借りさせていただきます」

「うむ」

「それで、他にあるか?」

「転生術と龍神の秘術について教えてください」

 

俺がそういうとペルギウスは渋い顔をした。

 

「なぜ、それの存在を知っている…」

 

怖い、顔が怖い…

これは話さなきゃダメだろうか…いや、話した方が良いだろう。

 

「実は………」

 

俺は龍神との会話とその後に髪が銀になっていたことを話した。

 

「そうか…貴様の祖先には龍族はいないか…」

 

ペルギウスがちょっと残念そうだ…久しぶりに同胞に会えたと思ったら、

ただ血が混じっているだけのやつだったんだから、しょうがないか…

 

「悪いが、龍神の秘術については我も良く知らん」

「知っているのはオルステッドか『技神』くらいだろうが、

どちらもどこにいるのか分からない」

 

そうか、ペルギウスでも分からないのか…

 

「貴様が龍族の流れを組んでいないのは残念だが、

龍神に会い、血を分けられ、転生術までかけられたのだ」

「きっと何かしらの運命だろう、我は貴様を同胞として歓迎する」

「龍神の秘術に関しては知らぬが、龍族の技については我も知っているものがあ る」

「今度我が直に教えてやろう」

 

龍族の技?もしかしてあれだろうか、オルステッドが使っていた、

龍の彫刻を召喚するやつ。

開け…龍門!

そうか、俺も使えるのか、あれは便利だし、何よりかっこいい。

無詠唱は便利だが、たまには何かを唱えて呼び出したりしたいものだ。

嬉しいな、楽しみにしておこう。

 

「ペルギウス様に教えていただけるとは…嬉しい限りです!

よろしくお願いします」

 

俺はわざとらしい喜び方をした。

 

「我らは同胞だ様などかしこまらなくて良い」

「いえいえ、親しき仲にも礼儀ありです、そこははっきりとしておきましょう」

 

伝説の英雄にペルギウスー!なんて恐れ多いったらありゃしない。

様はつけますよペルギウス様。

 

「そうか……ナナホシ達を待たせてしまったな…話はここまでにしよう」

「ええ、そうしましょう」

「久しぶりに面白いことを聞いた。感謝するルーデウス・グレイラットよ」

「いえいえ、感謝するのは俺の方です。色々と教えて下さりありがとうございまし た。

今度またよろしくお願いします!」

「そうか…我もできる限りの努力をしよう」

 

それだけ言いペルギウスがアルマンフィに目配せをすると、

アルマンフィはピカッと光って消えた。

そして、しばらくして下で待っていた皆が魔法陣の上に現れた。

俺はそちらと合流する。やっぱりロキシーは来れなかったみたいだ…

 

「皆さん、ご心配をおかけしました」

「ルディ大丈夫だったの…?」

 

シルフィが心配そうに俺の所へ来る。

 

「ああ、お茶をしながらお話しただけだよ」

「そうなの、じゃあ良かった!」

 

シルフィは安心したのかニコッと笑った。

いや安心した顔をしているのはシルフィだけじゃないな、他の皆もだ。

呑気にお茶をしてたから罪悪感が芽生える…謝ろう。

 

「皆さん本当にすみませんでした」

「いや、ルーデウスが悪いわけじゃないさ気にするなよ」

 

クリフ先輩…

俺たちが感動?の再会をしていると、俺の後ろに一人たっていた。

シルヴァリルだ

 

「私はペルギウス様の第一の僕、空虚のシルヴァリルと申します。

皆様よくぞおいでくださいました。城内は私が皆様を案内させていただきます。」

 

彼女はそういうと頭を下げた。それは誰が見ても洗練されている礼だ。

 

「私はこちらにおわす、アスラ王国第二王女アリエル・アネモイ・アスラ様の騎士、 ルーク・ノトス・グレイラットと申します。

丁寧な挨拶痛み入ります」

 

早い、シルヴァリルの挨拶が終わると同時に即座に挨拶をするルーク。

さすが王女の騎士だ。

 

「アスラ王国第二王女、アリエル・アネモイ・アスラと申します。よしなに」

 

次に挨拶をしたのはアリエル、こちらは丁寧に優雅に礼をした。

さすが王女!

 

その後、順番に挨拶をし、最後に俺が挨拶をして出発した。

 

道中シルヴァリルが建築物一つ一つを説明しながら進んでいく。

改めて見るとさすが英雄の城だ、細部までこだわられているのが分かる。

ちなみにジルヴァリルの説明に対してザノバが付け加えたり、

さらに質問したりしていた。しばらくはシルヴァリルも楽しそうに返していたが、

流石のシルヴァリルも、

ザノバの質問&解説100を超えたあたりから相槌を打つだけになった。

伝説の精霊にも勝るとは…さすがだよザノバ…

 

俺たちはしばらく歩いて謁見の間にたどり着いたが、

そこでアリエルが身支度をしたいと言い出したので、しばらく待つ。

前回も思ったが、ほんの10分足らずで整えてくる辺り、すごい。

 

「お待たせしました」

「よろしいですね…ペルギウス様はすでににお待ちです。

ペルギウス様は寛大なお方ですが、くれぐれも粗相の無いようにお願いします」

「ではどうぞ」

 

そう言って扉を開ける。

俺たちが中へ入ると、そこには玉座に座り、

圧倒的な存在感を放つペルギウスがいた。

さっき俺と庭園で合った時とは全然違う。

誰が見ても『甲龍王』偉大な英雄であるのだと認識できる。

アリエルとは違うカリスマみたいなものだ。

 

「お進み下さい」

 

シルヴァリルに言われ、俺達はペルギウスの前まで行く。

 

「我が『甲龍王』ペルギウス・ドーラである」

 

その言葉を初めとして英雄ペルギウスとの謁見が始まった。

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