老デウスの旅路~老デウスと龍神が人神を倒すまで~   作:考える僕

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別の再会

ペルギウスとの謁見はだいたい前回と同じ感じだった。

 

相変わらず、ペルギウスのアリエルに対する態度は冷たかったし、

『狂龍王』カオスの人形について話したザノバは気に入られた。

シルフィが俺の妻だと明かした時に、次の子に名を与えてやっても良いと言われだが…

何せずっと引きこもってる奴がつけるのだ…きっと古い感じの名前になるんだろうな…

現代でホニャララ左衛門とかつけられたら格好のいじめの的だ、

そこのところ配慮してくれることを願おう。

 

ペルギウスは長期的に滞在しても良いと言ってくれたが、

何も準備してこなかったので、その日は帰りまた後日来ることにした。

ナナホシは帰らずに城に残るということで、

ペルギウスは俺にナナホシの使っていた物と同じ笛をくれた。

龍の装飾が施されている。

 

「何かあれば、我と縁のあるところで吹け、

さすれば轟雷のクリアナイトが聞きつけ、アルマンフィが迎えにゆくであろう」

 

これでいつでも空中城塞へレッツゴーってできるわけだ、いいものを貰った。

俺はそれを懐にしまった。

空中城塞から出る前に夕日に染められた雲海を前に足を止めた。

 

「シルフィ…綺麗だね」

「う…うん、ルディ綺麗だよ…だけどさ…ここ空の上…なんだよね…」

 

シルフィの足がガクガクと震えている。どうやら彼女は高いところが苦手のようだ。

ロマンチックな夕日をバックに…と思ったがやめておこう。

 

俺達は来た時の魔法陣の上に乗ると吸い込まれるような感覚の後に、遺跡の石碑よ前にいた。

 

「では。我はここで」

 

アルマンフィは俺達が無事に着いたのを確認するとピカッと光って消えていった。

瞬間移動か…便利な能力だ。

 

―――

 

俺達がシャーリアに着いた頃には既に街は眠りにつこうとしていた。

シルフィは今日は本当は護衛の日だが、アリエルがもう遅いからと、家に返してくれた。

シルフィと俺は二人で家路につく。

 

「ルディ、ペルギウス様の言ってた話だけどさ…」

「名前の話?」

「うん。英雄が名前をつけてくれるって言うのはいいんだけどさ…

確かアリエル様の話だとペルギウス様ってずっとお城に籠ってて…

その…今とだいぶズレてたら僕みたいにイジメられちゃうんじゃないかなって…」

 

どうやらシルフィも同じことを思ってたらしい…

 

「大丈夫だよ、今とズレてるにしても、少し物語の勇者風になるくらいじゃないかな?

それに仮に変な名前だったら俺がペルギウス様にちゃんと言うよ」

「そうだね…僕も考えすぎてたかも」

「いいや、子供について真剣に考えてくれてありがとうシルフィ」

「それにそんなに考えてくれてたってことは早く二人目が欲しいってことだよね?」

「ええ!いや違っ、違くないけど…まずはロキシーだよ!」

「そうですねシルフィエットさんや、楽しみにしてますよ」

「もう!」

 

そんな事を話していたら、家に着いた。

 

「ただいま帰りました」

「おかえりなさい二人とも、空中城塞はいかがでしたか?」

 

出迎えてくれたのはロキシーだ、どうやらルーシー、アイシャ、リーリャは寝てしまったらしい。

まあ、遅いもんな。

 

「ルディ、約束ですよ」

 

ロキシーがそう言って手を広げる。

約束…そうだギュってするんだ!

俺はロキシーを抱きしめる。あったかい…

 

その後三人で夕食の残りを肴にしてお酒を飲んだ後、俺は風呂に入り、眠りについた。

 

―――

 

真っ白い何も無い世界…そこに俺はいた。

目の前にいるモザイクのかかったような奴。

『ヒトガミ』

あれ?俺は自分の体を見る。そこにはニートのたるんだ体ではなく。

俺のよく知る鍛えられたルーデウスの体があった。どういうことだ?

 

「何がどういうことなんだい?」

 

『ヒトガミ』…また会うとはな…

 

「また会うとはなって…ああ確かに前に会ってから少し時間が空いたけどさ」

「それよりどういう事なのか聞きたいのはこっちだよ、君、いつから龍族になったんだい?」

 

いつからって…いつからだろうな、俺も知らない。

 

「知らないって、まあいいよ、それよりも君の体から忌まわしい龍神の気配を感じるんだ」

「まさか生きているとは思わなかったよ、そこにいるんだろう」

 

そこにいるんだろう?どこに?俺の見える限りここには俺とお前しか居ないぞ。

 

「違うよ、君の中にいるんだよ」

〘久しいな『ヒトガミ』よ〙

 

俺の体の中から声が!?

 

「さすがはトカゲモドキ、とんでもない生命力だね」

「でも魂だけってことは肉体は持たなかったようだね、笑えるよ」

「君さ僕を閉じ込めたんだから、それで満足しなよ、もう十分だろう!」

「僕ももう報いは充分受けたはずさ!あとは何を望むんだい?」

〘報いを受けたか…ふざけるなよ。俺はお前を殺す。それが望みだ〙

「全くだよ…いつまでも龍族ってのは…」

 

不思議な気持ちだ、龍神の魂と『ヒトガミ』が会話をしている。

でもなんで今まで龍神は俺に話しかけてこなかったんだ?

 

「なんでって、ここは魂の空間、普段君がいる現実では魂が語りかけることはできないからさ」

「それよりも君に悲しい知らせだよ」

 

悲しい知らせ?お前、俺の家族になにかしようってのか?!

 

「まあ、大方あってるよだけどね、標的は君の家族だけじゃない……君も標的だよ」

 

俺も標的…なぜだ…というか標的ってことは俺も殺されるのか…

いや、俺は何も害は無いはずだが…

 

「僕は未来を見る力を持っている、それによるとどうやら、未来で君は君の子供と、

オルステッドと共に僕を殺すらしい、その他にも仲間はいたけどね…」

「僕だって黙ってやられる訳には行かないからね、僕が死ぬとこの世界は滅ぶんだよ」

 

神が死ぬと世界が滅ぶ…確かに龍神の話のままならそうだ…

 

「残念だけど、君には死んでもらう、僕は直接手をくだせないけど確実に君を殺すよ、せいぜい怯えて待ってるんだね」

 

おい、ちょっと待ってくれよ、それは何とかならないのか…

 

〘無駄だな〙

「無理だね」

 

龍神と『ヒトガミ』の言葉が被る。

 

「まだ居たのかい龍神、とっとと消え失せてくれよ」

「そういうことだから、君には死んでもらう。もうここに君を呼ぶことは無いからね」

「じゃあね、せいぜい余生を楽しみなよ」

 

そういうと『ヒトガミ』はヒラヒラと手を振って笑っていた。

その姿が薄れていく…

 

―――

 

目が覚めて俺は飛び起きた。

俺は体を見て手をグーパーさせる、良かった生きてる。

『ヒトガミ』が俺を殺しにくる…

そう思うといても立ってもいられなくなってきた…

俺は死んだもループできる。だが、本当にできるのだろうか?

できない可能性だってあるじゃないか…そうなったら本当に終わりだ…

分からない可能性にかけて死んでみようとかはできない。

生き返れないかもしれない…

そう思うと、急に不安が大きくなった。

とりあえず落ち着くためにランニングに出かけよう。

 

まず、『ヒトガミ』はおれに直接物理的な何かを与えることは出来ない…

ならば、誰かを操って俺を殺すのだろう…

俺だけじゃない、シルフィもロキシーも戦えるとはいえ、

ルイジェルド級の奴が来たら正直俺だって厳しい。

家族を守りながら戦う…シルフィは最悪空中城塞で守れるが、ロキシーはそうはいかない。

どうするべきか…

 

俺が強くなる…だが一日やそこらでできることでは無いし、俺は闘気が纏えないという決定的な弱点がある。

それに俺一人が強くなったところで、所詮一人だ、全部を守り切れるとは思えない。

 

……仲間を増やそう…

 

俺のしばらくの目標、共に戦う仲間を作る。それだ。

 

―――

 

その日、アリエル一行と共に再び空中城塞に向かった。

アリエルたちは長期滞在を見越してか、荷物が多く、従者も連れていた。

遺跡で笛を使いアルマンフィを呼んだ。

しばらくしてアルマンフィが参上し、転移装置を俺たちに手渡した。

 

「ルーデウス。今日は貴様に客人が来ている。ナナホシの客人かと思ったが。今日は貴様にも用があるようだ。城に着いたら案内してやるから。奴にあってくれ」

 

客人…ナナホシの客人…あれ、嫌な予感が…

 

「しばし待て」

 

俺達は魔法陣の上に着いた。そこでアリエル達と別れ、アルマンフィについて行く。

手入れの良くされたアスラ王宮にも勝る庭園、その一角に客人はいた。

シルヴァリルに出されたのであろうお茶を飲みくつろいでいた。

その反面顔はくつろいでいない。怖い…

ナナホシ関係の客人と聞いて俺もだいたいは察しが着いてはいたが、そのようだ。

銀髪…金の目…一時も忘れたことは無い。うん、オルステッドだ。

 

よし、逃げよう。そう思って振り返るとナナホシに止められた。

 

「ルーデウス、前に殺されかけたのは分かるけど、今日は彼も危害を加えるつもりは無いって言ってるのよ。話くらい聞いてあげてくれないかしら?」

「でも、もしも襲いかかってきたらどうするんだよ!」

「その心配は…」

 

ナナホシがハッとして俺の後ろを見る。

俺も後ろを見る。

 

「ルーデウス・グレイラットだな、貴様に話がある。」

 

オルステッドが後ろに来ていた。

 

「ぎゃああああああ…」

 

俺は悲鳴を上げて気を失った。

 

―――

 

目覚めるとベットに寝かされていた。

良かった生きてる…

俺は体を起こす。

俺のベットの足元の方、ほぼ目の前にオルステッドがいた…

 

「あの件は悪かった…謝罪する」

「だから、俺の話を聞いてくれ」

 

オルステッドにそう言われて俺は少し冷静さを取り戻す。

そうだ、殺す気なら今俺は死んでる…なら話があるのは本当なのだろう。

良く考えれば、人の顔を見て、叫んで気絶なんて失礼な話だ。謝ろう。

 

「オ…オルステッド…様?その、俺の方こそ、申し訳ありませんでした…顔を見て気絶するとは…」

「それは別に良い、慣れているからな」

 

オルステッドがすこし悲しそうな顔をする。

 

「それよりも、お前いつから龍族になった?」

 

オルステッドとの会談が始まった。

 

 

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