老デウスの旅路~老デウスと龍神が人神を倒すまで~   作:考える僕

7 / 9
たまに間話(ホノボノ回)を書きます。不定期です。


間話 シャーリアのオヤツ

 

ロキシー・M・グレイラット

彼女は甘いものに目がない。

彼女が甘いものに目がない理由、それは簡単だ。

彼女が生まれ育った魔大陸は全体的に料理の味がお世辞にも良いとは言えない。

食に精通した魔王の治める地域の食事は人族とほぼ同じ水準だというが、

彼女が生まれ育った地域は例に漏れず魔大陸の味だった。

彼女は冒険者となるべく、家出し放浪の旅をする中で出会ったのが甘いものだった。

今まで味わったことのない人族の味は彼女を一撃で魅了した。

そのせいだろうか、彼女の中でミグルド族=甘いものが好きという迷信が生まれた。

 

―――

 

今日は学校の教職が休みなのに、ルーデウスもシルフィも空中城塞へ出かけて行ってしまった。

私もついて行きたかったけど、魔族はダメらしい。

結果として、私は今暇している、いつもの休日ならみんなでお茶をしている時間だ。

このままボケーッとして過ごすのも悪くはないが、せっかくならオヤツを食べに行こうと思った。リーリャさんやシルフィの作ってくれるオヤツも美味しいけど、たまには街のお店に行ってみるのも悪くは無い、せっかくなら今家にいる皆を連れていこう。

 

台所でリーリャさんとアイシャが何か作ろうとしていた。

 

「あの、リーリャさん」

 

呼ばれてリーリャが振り返る。

 

「あ、奥様、オヤツならもう少しお待ちください、今から作りますので」

 

私が台所で声をかける=オヤツ…

まあ、本当のことだから否定はしないけど。

 

「いえ、今日はお店でオヤツを食べようと思いまして」

「でしたらルーシー様も連れて行ってあげてください」

「いえ、今日は皆で行きませんか?」

「私めは気にせずに…」

「えっ、やったー!行こー!」

 

リーリャが遠慮しかけた時にアイシャが遮るように言った。

 

「こら!アイシャ遠慮しなさい」

「いいじゃないですか、たまには一緒に行きましょう」

「ほら、奥様もそう言ってるし、じゃあ私ゼニス様とルーシちゃんの準備手伝ってくるね」

 

アイシャはそう言って二階へ駆け上がって行った。

 

「アイシャがすみません…」

「いえいえ、ほら、リーリャさんも早く準備してきてください」

 

リーリャさんは申し訳なさそうにしていたが、誘ったのは私なのだ。

リーリャさんにも楽しんで欲しい!

 

―――

 

しばらくして、皆の準備が終わり、出発した。

メンバーは私、ルーシ、アイシャ、リーリャさん、ゼニスさん、あと荷物持ちのジロー。

甘いものと言っても、この街にそういう料理を専門とする店はない。だが、店ごとにデザートに工夫を凝らしており、その中で美味しいものを探すのだ。

私は仕事柄良く生徒たちと話すのだが、その中でよく美味しいオヤツの話題になる。

仕事が忙しく、休日も家で過ごすことが多かったため、中々行く機会がなかったが、生徒から教えて貰った知識はある。

 

半刻ほど歩いて目的の店に着いた

 

「子鷲の隠れ家」

 

情報によるとこの店は値段は安くは無いが、甘いものが美味しく、メニューも豊富らしい、つまりデザートに力を入れているわけだ。

私たちは中に入る、フワァと甘い匂いがした。ここにいるだけでも幸せかもしれない…

客層はまばらだが、学生や若者が多いように感じる。

席に座り皆に宣言する。

 

「今日は私が普段お世話になっている皆さんへのお礼の気持ちを込めて、私が奢ります!遠慮せずになんでも頼んでください!」

「やったー!奥様ありがとー!」

「わーい!」

 

アイシャとルーシーが喜んでいる一方で

 

「私はゼニス様のお手伝いですので、私の分は大丈夫です」

 

リーリャは遠慮している。

 

「リーリャさん、今日は私から日頃の感謝を込めて皆さんにご馳走するんです。食べてくれないと私の気が済みません。ほら、遠慮なさらず」

 

リーリャのことをゼニスがさっきら揺さぶっている、遠慮しないでってことだろう。

 

「すみません、ではありがたくいただきます」

 

 

全員が注文し、届くのを待っている。

そういえば、ここら辺の美味しいものにはナナホシという言葉が着いていることが多い。

なんでも特別生のサイレント・セブンスターは料理にも精通していて、色々と案を出すらしい。

彼女は自分の考案した料理には決まってナナホシとつけるのだそうだ。

新しい食べ物のハズなのに、ルディは懐かしいなあとか言うのだ。不思議…

ここのメニューにもナナホシの単語が目立つ…

 

しばらくして店員が頼んだ物を持ってきた。

私とゼニスさんは「ナナホシ氷」

ルーシーとアイシャは「果物の砂糖固め」

リーリャは「ナナホシパン」

 

ナナホシ氷は氷という名の通り、冷たいが舌触りはガリガリとしておらず、柔らかい…

舌に乗せると溶けだして、甘ーい味がするのだ。

ひと口ひと口が私を祝福してくれる…後半になるにつれて溶けてしまうが、溶けたのも甘くて美味しい…

 

「ああ…幸…せ」

 

思わず声が漏れてしまった。

ゼニスさんも表情こそ薄いが、両手でほっぺたを抑えている、たぶん私と同じ感じだ。

 

ルーシとアイシャの物は果物を丸ごと溶けた砂糖で包んで固めたは至ってシンプルなものだが、

食べてる時に砂糖の甘みと、パリッパリッという音が癖になるらしい。私も食べたい…

 

リーリャさんのナナホシパン、パンと言っても普段食べているゴワゴワとしたものではなくて、ふっくらとしていて、フワフワしている。それの上に甘い蜜をかけて食べるのだ。

あんなに遠慮していたリーリャさんも一口食べたら止まらなくなった。私も食べたい…

 

皆が食べ終えて、会計をする…するとビックリのお値段…まあ、たまにはいいですよね…

帰り道、皆甘いものを食べて満足したのか終始笑顔だった、

私は思う。甘いものは世界を救うのではないだろうか…

 

―――

 

後日、ルーシーから聞いたのか…帰ってきたルディとシルフィも、行きたいと言い出したので、三人で行くことになった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。