明日は部活で早いし、速く寝たいのに妙に頭が冴えちゃう。
必死に考えないように目を瞑り、瞼の裏を身続けていると、突如、ふわふわと浮かんでいるような感覚に陥った。
「わぁ〜」
今まで感じた事のない。得も言われぬほどの快楽、不思議に思って目を開けてみても全く見えない。体を動かそうとしても、何かに阻まれているようで動けない。
―――意識が次第に消えていく。
「なん、だ、これ……ゴッ」
咳をしてしまって言葉が上手く発せはしなかった。
―――いつか見た夢に、悠久の果てに、生とは無限大である。
「なん、だ、ここ」
目を開けても視界が安定しないがこれだけは分かる。外にいるそれも公園のような場所ではない。というか、手足の感覚が無いし、頭もクラクラする。もしかすると、ここは夢かもしれない。
「んだぁ、このネバネバした液体はなんだ?いや、俺のか、らだから出てる、か?」
体の使い方が不思議な操作感だったが、起き上がって体を見てみると………。
「粘、液のヤツ……もしかして、スライムになってる、のか?」
しかし、その事に気がついても成雪は焦りもしなかった。その理由は、夢だと感じているからだ。当然、他の人間でもスライムになったとしたら、夢だと思うだろう。
そして、成雪はスライムとして平原?を彷徨うのだった。
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「くぅそぉぉぉぉお。全っ然、何にも、みつからないぃ。能力値でもみれたらいいのに。というか、
かなりの時間(体感一時間)探し回っても、草が
―――それは、味覚や触覚などの能力が思考と視覚以外を除いて失われていたことだった。おそらく、他人から見てみればスライムが風を吹いているようにしか見えないだろう。
ガサッと草の中を突き進む音が聞こえてきた。
「だ、だれだ!」
成雪は意味の無く叫んだ。それは、未知のものに感しての恐怖―――。ただ、草むらから少し姿が見えたが、革によって作られた鎧を着て武装をしていた少年だった。その少年が何かを見ていたようだったので、近づいていく。
「蝟ー繧峨∴、蛹悶¢迚ゥ!」
その少年が見ていた先には、同族のスライムがいた。
少年が剣を取り出して、スライムに向かって斬り掛かった。
スライムが触覚のような、鞭のようなものを伸ばして対抗するが、力及ばずスライムの粘液が飛び散った。
「あ、これ、無理だ!死ぬぅ」
成雪は草の音が出ずに進むために一本の線のようにして、少年と距離を離していく。しかし、恐怖や分かりあえないかもという不安の他に興味深い、そう考えて最後の最後まで見続けていた。
すると、少年はしゃがみ込んで粘液と謎の石を採取していたのが見えた。
「ファンタジーアニメの魔石?かな?」
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「ふぅ、ここまで避けきれれば大丈夫かな?まぁ、最初から俺の事を気にしてないようだったし良かった。まさか、あんな瞬殺とは………スライムが弱いのか。人間が強いのか分からないな」
あのスライムが対抗しようとした時の事を考える。鞭のようなものを出していたが、俺にも出来るんじゃないかと、狩りを出来るようになるかもしれないと―――。
そう考えた成雪の行動は早かった。
自分を一本の線のようにしたのは成功しているので、腕を生やすように思い描きながら体を変化させる。
「あれ?失敗?」
最初の試みは見事に失敗だった。十数cmほどの縄のようなものにはなったが、すぐに持続出来なくなり、通常の状態に戻ってしまったのだ。
う〜ん、持続力の問題か。それとも、太さの問題かなぁ。
技についての思案をしていると、目の前の土が盛り上がってくる。
「な、なんだ。敵、か?」
土から何かが飛び出したその姿は、モグラだった。モグラは周囲を見渡した後に地上に上がり、何かを探し求める。
その姿に成雪は唾を飲みこむ。
「………丁度良い、餌だ。飢餓感がめっちゃ気になってたし、草じゃあ満腹感出ないし、どうせ夢だしさ」
本能的に体の伸ばし方を理解し、掴みかかり喰った。
「お、おいしい!味、分からないのに、あの人間は……いや、夢でもその発想はな」
飲み込んだだけで得た快楽。それは、空腹時にステーキを、寿司を食べるよりも良い気分だった。
そういえば、スライムは食事中はどうなるのか、その思考が頭をよぎり、恐る恐る見てみると………
「うわっ、グロ!」
強酸性なのか皮がボロボロになり始め、目からは血が水に垂れるように広がっていく。
思わず、目を背けた。
そして、夢なのにどうしてこんなに現実的なんだと、驚きながら思考を続けた。