成雪は複数人に囲まれて質問をされていた。異常に緊張が走る場所で一人がこう言った。
「あなた、精霊を信じていないのですか?」
(やばい事になった―――)
俺はわざわざ東の魔物がいるところから西の場所に移動して、門をくぐりやっと冒険者ギルドというところを見つけた。そこで精霊について知らないという風に言ってしまったのだ。どうやら、そこが地雷だったらしい。
「あぁ〜、そこはですねぇ、まぁ、教育が緩くてですね。う…んと習わなくてよくて」
「ふむ、どこらへんから来ました」
「へ?あぁ、西のうんと遠くだし、田舎ですね」
「教育をしっかりさせないといけませんね。最悪は村長を……」
話がついていけないが精霊の話でここまでとは、と成雪は困惑していた。彼らは話が終わったようなので、近づいてきて次の質問に移った。
「魔力については扱えますか?」
「(良かった。普通の事を聞いてくれた)はい、扱えます。魔力運用するところを見せた方がよさそうですかね」
「そうしてもらえると助かります」
「では………」
体内で回していた魔力をジワリジワリと外側に押し出して見えるようにする。魔力は色などの差が出たりしないので擬態魔術を使わずにすむしとても楽だ。
数人が魔力を注視していると、突然驚き出した。
(え?もしや、仲間のスライムに偽情報教え込まれた?)
「これは……」
「あぁ、間違いない……」
「もう、そんな……」
不安に駆られて魔力運用を解いて、審査員に慎重に聞いた。
「何か、まずいことでもあったのでしょうかぁ」
「いやいや、逆だよ。魔力の中に‘‘オーラ’’があったんだよ」
「オーラっていうのわな。魔力と生命力とか魂とかが混ぜ合ってできるものなんだよ」
「そして、君のは無色だったって訳、精霊の力を直に持ってるのなんておとぎ話の勇者とか……まぁ、全世界で二十人くらいしかいないよ」
「あぁ、精霊を知らないなんて嘆かわしい」
急に三人で一挙に詰められてしまい、成雪は困惑しかなかった。しかも、精霊の話がまた出てきてしまった。
「………普通はどうなるんですか?」
「普通は取り憑いている精霊によってオーラが変わってくるんです。特殊な魔術を除けば色に合わせて得意な魔術が決まります」
「オーラは精霊の象徴ということでしょうかね」
「そうです!そうです!このまま冒険者にしようと思いましたが戦闘をしてもらいます。近くにいた1〜10のランクの内5ランクのカムイにしましょう」
そういえば、他に人いたっていうか、戦闘してもらうってどういうことだよ。と、成雪は面倒そうなキレそうな頭をしていた。
◆◇◆
「新入りも大変だな。ここは宗教が根付いてるし、ま、気軽に話かけに来い」
剣を物騒に構えながら、カムイという男は喋っていたのだ。
「オーラは分からないし、魔力で潰す」
開幕の合図は無しに戦いは始まった。体を武器に変えるのを擬態魔術で隠しながら攻防。肉体はあくまで未熟であるため魔力で強化をしたり、実際に無いところに幻影を創り出す。
「がら空きだなッ!」
「ぐはっ……!」
カムイの攻撃が一回でも当たると、彼の流れになっていった。
鞭を造っても、剣を造っても届かない。体を複製するのに手間取って分体を作り出せない始末だ。
「体が追いついてないな。お前は2ランク。下から二番目くらいだな」
これにより、冒険者になるための試験は終わった。